あくまで、私の好み 651文字#シロクマ文芸部
『爽やかな』という商品のキャッチコピーの様に、一部の俳優さんにも『爽やか』という言葉がつく事が多々ある。
あくまで私個人の話になってくるが、私はそんな「爽やか俳優」とテレビで言われる俳優さんが、少しやさぐれた様な役を演じている姿を見るのが凄く好きだ。
見慣れない無精髭を少し生やし、髪の毛はキチッと決める訳ではなく、まぁ、纏まってればいいやくらいで整えられた少し長めの髪。
そして、瞳に翳りが見える様な虚ろな目を見ていると、トキメイてしまう。
話し方も、いつもより声が少し低くて静かに落ち着いて話す姿。
「これを、色気と言わずになんという?」
思わず、夜のテレビドラマを見ながら独り言を言ってしまった。それ程、俳優さんが役を通して溢れ出した色気は、私をドキッとさせた。
「内から溢れるものなのか、演じている役が、俳優さんの持っている魅力を引き出したのか…」
溢れ出した色気にウットリしながら、私は冷蔵庫から炭酸を取り出す。
今は、色々な価値観が変化して言って、私は全てを掴むことが出来ていない。
そんな勉強不足を補おうと、最近関連書籍を購入してきたばかりだ。
「よいしょっと」
冷蔵庫から持ってきた炭酸のフタを開けて飲んでいく。
テレビ画面には、私が勝手に色気を感じてしまった俳優さんが喋っている。
「……はぁ〜、かっこいいな〜」
外で言うわけではないから、私は自分勝手思った事をどんどん口に出していく。
色気を感じているのも私だけの秘密
かっこいと思っているのも私だけの秘密
私だけで収めていく。
それが安全で、波風など立たないから。
〜終〜
こちらの企画に参加させて頂きました。
ありがとうございました。