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雨の日、私は子供の頃の私になった(エッセイ)
また今年も梅雨の時期が本格派してきた。
雨は留まることを知らず、一日降っている。
私は雨が得意ではない。
髪は広がるし、濡れるし、嫌なことばかり。
ところがある日。
テレビで雨のことをテーマに扱っていた番組があり、番組の中で『私は雨が降っていたら散歩に出かける』とコメントをしている演者さんがいた。
いつもの私なら、『嫌だ。そんなの』と、思っていただろうが、この時の私は違う。
なんかそれいいかも。楽しそう!
と、何故か思ってしまったのだ。
そしてその番組が放送してから2日後。
見事に一日雨☂の天気。
普段だったら、『明日でいいや』と思う買い物だか、今回の私は違う。
演者さんが言っていたコメントに感化された今の私。
行く気満々!である。
近くへの買い物だった為、濡れてもいい様に裸足。
そして裸足のままペタンコ靴を履いて買い物へ。
外へ出ると、すぐに、傘に伝う雨のしすぐの音。
無音ではない空間。
傘を少し手前に傾ければ、すれ違う人と顔を合わせることこない雨の日。
苦じゃない。
今日は楽しい…。
何だか、とっても楽しい!
そう思いながら、買い物を済ませ、家路に着く帰り道。
いつもだったら避ける深い水たまりや、普通の水たまり。
けれど、今日の私は無敵!気にせずにパシャパシャ踏んでいく。
この水たまりにパシャパシャ入る感覚。
靴がグニョグニョに濡れて気持ち悪くなる感覚。
雨の冷たい感覚。
雨の日が嫌になった今。
けれど、もしかしたら小さい頃の私にとっては、雨が降った日は楽しかったのかもしれない。
ふっと、そんな事を思った。
『ダメよ!』と叱られる、雨の日の子どもの遊び。
私は大人になってしまったけれど、この日の私はあの頃の幼い私。
童心に帰ったかのように、次々と水たまりを踏んでいく。
こんなに楽しいと思うことがなくなっていた雨の降る日。
けれど、今日だけは、特別な感情とともに、小さい頃の私に少しだけ帰って、雨の中を軽やかに帰っていく。
パシャパシャ
パシャパシャ
……と。