わたし、没入(エッセイ)
私は最近、昔のドラマの再放送を見ている。
男女7人夏物語。
男女7人秋物語。
出演されている芸能人の皆さん皆若い。
見ていてワクワクすると言うか、今のドラマにはないドラマの雰囲気や色香があり、者珍しさが凄い私。
……今でもこういうドラマが見たい。
そんな事を密かに思う。
そして今現在は男女7人秋物語の第8話を見たところ。
何というか、この8話……。
私はよくテレビに向かって、自分の色々な反応を言葉にして話してしまう方なのだが、この8話ではリアクションせずにはいられなかったし、心から湧き上がった感情がそのまま言葉にして繰り返された。
大竹しのぶさん演じる桃子と、明石家さんまさん演じる良介。
元々恋人同士だったのが桃子が仕事で渡米し遠距離になり、そのまま自然消滅の様な状態に。
今みたいにスマホがないから、連絡手段なんて限られていて、それですれ違い。
桃子は新しい恋人と一緒に日本へ帰ってくる。
お互いにまだ燻り続けている気持ちを隠しながら、でも、それを自覚しないようにしながら、お互いにまた新しい恋人ができるのだけれど、今回の8話で桃子に良介は、産婦人科へ一緒に来てほしいと懇願して、言い合いをしながらも結局二人で、産婦人科へと行く。
桃子は、妊娠をしていた。
どうして……と、良介は桃子に怒りをぶつけるのだけれど、それに対し桃子は長い沈黙の後、本当に妊娠していたら良介にさよならを言わなければ行けない。それが嫌で一人では行けなかったと伝え、二人は抱擁してしまう。
私はこの場面を見たときに
「なんで?ねえ、だったら、何で?」
と、何回も何回も繰り返し言っていた。
ドラマの中なんだから、ここまで没入する必要はないし、正論なんか言って論破するなんていけ好かないとは思っていたものの、言ってしまった。
「だったらどうして、そういうことをした?男女なんだからさ〜。
わかるじゃん。どうして、ちゃんとすることしなかったの……?」
と。我ながら嫌な論破野郎である。
正論なんかいらない。
きっと本人は痛いほど分かってる。
けれど、傷つくのが桃子と良介だけではなく、二人の恋人にも影響が及ぶ。
中途半端な関係が、拗れなくていい糸を絡ませ、粉々にさせる。
現実の話ではない。だから、ここまで思わなくてもと思えども、私は正論を独り言で振りかざしていた。
私の嫌な所。
……駄目な所。
けれど、それ程までに没入させてくるドラマ。
本当に凄いし、最後まで没入しようと思う。