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頭の中と部屋の関連


私は長らく汚い部屋の住人でした。

元々片付けは苦手な方で、実家で暮らしていた高校生までの間も、綺麗とは言えない部屋だったと思います。
小学生から制服でしたが、脱いだらハンガーにかけるという習慣が全くつかず、よく親から小言を言われていたものです。うちの親は勝手に子の部屋を片付ける親ではなかったので、限界が来たら自分でやるというスタイルでした。
まぁ、うちの親も綺麗好きではないし、ほどほどに散らかってるのが家という概念が形成されていたわけです(盛大な言い訳)。

そんな元々片付かない部屋で暮らしていた20代半ば過ぎ。
仕事での異動があり、在宅時間が減り始めました。
入所型施設・交代勤務は変わりはなかったのですが、拘束時間がより長くなり勤務変更が度々ある部署になったことで、よいしょ、と腰を上げる機会が激減。
休みの日、出勤前は出来る限り寝てたいという気持ちでいっぱいでした。
洗濯は何とかするけれど、畳んだりしまったりは億劫でソファがみるみるうちに服を置く場所と化しました。
その頃、急激に太り、サイズ変化で大量に買い増したことも大きかった。

服の山が出来上がり、見つからないからまた買うの悪循環が始まりました。
片付けないから家がどんどん汚くなり、ゴミ捨てが億劫でゴミも溜まる、掃除ができないからますます汚なくなる、の負のループ期が10年以上。
リアルに足の踏み場がなく床が見えない家となりました。

思えば、セルフネグレクト状態だったのです。

仕事では入所児のために衣食住をしっかりと提供する義務を果たしつつ虐待など心のケアに努める日々。
急な勤務変更、休日出勤、時間外対応は当たり前で常に張り詰めていました。

同じような勤務をしていても、自分の生活をしっかり営める人もいるけれど、私はそうじゃなく、オンオフ切り替えが下手なタイプだったのです。

上手に周りに頼る、任せるというのも苦手なので、あれをやりたい、やらなくちゃ、次はこれで、とタスクで頭がいっぱい。
自分のことにまで頭が回らない状態。

脳がものすごい速さで回り続けていて、勤務で宿直してても眠れなかったり。
かと思えば休日は過眠状態になったり。

精神科に通って安定剤や眠剤を使っていた時期もありました。
精神的な不調は冗談めかして言えても、汚部屋であることは絶対に隠さなければならない、知られてはいけないと頑張っていました。

そんな状態で良い養育ができるはずもなく、最後は多大な迷惑(なんて言葉で済まないレベルでしたが)をかけて退職となりました。

退職の数ヶ月前、オンライン研修を在宅で受ける日々となったことで24時間汚部屋にいることになったのです。

そこが転機でした。

研修を受けるテーブルを置くスペース作りのためがきっかけでした。
出勤できない現状からの逃避でもあったように思います。
何かしなければ、この家にいるしかないなら、と始めたのです。
1週間、2週間と時間が経つごとに服やゴミの山が無くなり始め、床が見えて来ました。
処分するもの、残すものの選別をしながら、頭がクリアになりモヤがかかっていたような状態から抜け出していく感覚。
身動きが取れなくなっていた体を動かせるようになったというか。
もはや退職しかないと分かっていたけど決められなかった気持ちに踏ん切りをつけられたのです。

あれから2年が経ちます。

汚部屋に逆戻りすることなく、過ごせています。
床、ちゃんと見えてます。

まぁ、隅っこにはモノがありますけど。

先日のこと。
職場でストレスチェックを受けることになっていて、先輩と話したあとにふっと部屋の状態が頭に浮かんだのです。
いまの私は、洗濯物をしまわず床に置いちゃう時もあるけど数日内にはしまうし、掃除もする余裕がある。多少ストレスはあるけど、生活を送れてる。
そう思えたのです。
そして先輩に2年前まで汚部屋だったことを話したのです。
綺麗好きに見られるけどそうではない、仕事としてはやるが自分の家は自分が不快にならないとやらないが、いまは人を呼べるレベルをキープできている、と。
笑いながら先輩は言いました。

自分だってそうだよ、いいんだよ。
でも、片付いているんなら今は大丈夫ってことだね。
家の状態がバロメーターなんだね。

セルフネグレクトだったと自身で認められたし、人に言えるようになったことに自分でも驚きましたが。

部屋の状態が、頭のなか、心の中がいまはある程度整理されている、タスク管理が適度にされているかのひとつの指標として、生かしていけると思いました。





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