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BMWというステータス

 フィットはどこへ行くにもなんの不満もない車だった。ただそれ以上でもそれ以下でもなかった。だから僕はビーエムを買った。

 車を潰したのは夏。ガードレール代を払い終え貯金ができてきた頃にヤフオクで見つけたのがこのE46だった。昔僕の住んでるマンションの駐車場にE46のM3が止まっていてそこからずっと好きな車だった。吊り目の後期型の顔はM3には無いと気づいたのはその後だったが。

 納車された当日、僕はそのまま第三、首都高を抜けて大学まで行った。なんだか大金持ちになった気分だった。当時この車を新車で買った人はどんな人なんだろうと思いを馳せるのも中古車の醍醐味だ。そんなE46は10ヶ月僕を楽しませてくれたしいい男にしてくれた気がした。車というのは単なる移動手段ではなく人生や自分のステータスにもなると僕は思っている。

 10ヶ月後故障後怖くて手放した。この車は今も走ってるかもしれないし、鉄屑になったかもしれない。だが僕はそれを知る術がない。僕の中でこのE46は永遠の命を手に入れたのだ。それでいいのだ…


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