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「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」展 in パナソニック汐留美術館
2/13(火)に、パナソニック汐留美術館で開催中の「開館20周年記念展/帝国ホテル二代目本館100周年 フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」展に行ってきた。
1月11日(木)〜 3月10日(日)
*休館日:水曜日(ただし3月6日は開館)
*2月17日(土)以降の土曜日・日曜日・祝日 及び 3月1日(金)以降は日時指定予約(当日空きがあれば入場可)
週末は整理券がでて、2時間待ちだとかという話も聞いていたけど、平日の午後ならさほどの混みではないだろう、と思っていた。
ところが3時前に到着すると列ができている!
数分すると整理券が出て、15分後を指定されたので、座ってビデオを見ていた。フランク・ロイド・ライトのインタビューで、ちょっと退屈だったが(笑)、立って並ぶよりはずっといい。
10分ほどのビデオを見てロッカーに荷物を預け、ほどなく入場開始。
全員、入場時にチケットを買うシステムなので、これも結構時間がかかったりする。
ちなみに入場料が一般1200円(ウエブページの割引券でさらに100円引き)は、今どきとしてはかなりお安い。
会場内も混雑しているだろうと覚悟していたが、狭い割にはうまく区切られていて、鑑賞できないほどではなかった。
残念ながら撮影は不可。でも、おかげで無駄に立ち止まる人がいなくてストレスは少ない。
ドローイングや写真が多いとはいえ、展示数は膨大だ。作品リスト(字が小さすぎて、会場では全然役に立たなかった、笑)を数えたら、なんと428点!(展示替え分はチェックしていないので、もう少し少ないとは思うが)
アメリカ近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト(1867–1959)。
「カウフマン邸(落水荘)」や「グッゲンハイム美術館」で知られるライトは、「帝国ホテル二代目本館(現在は博物館明治村に一部移築保存)」や「自由学園」を手がけ、熱烈な浮世絵愛好家の顔も持つ、日本と深い縁で結ばれた建築家です。
会場は、7つのブロックに分かれている。
セクション1:モダン誕生 シカゴ―東京、浮世絵的世界観
浮世絵がどう結びつくのか?と不思議だったが、フランク・ロイドは1893年のシカゴ万博で日本のパビリオン「鳳凰殿」を知り、日本文化に興味を持ち、その後浮世絵の収集をはじめ、なんと213点もの広重の作品を、1906年のシカゴ美術館でお披露目したそうだ。
その展覧会では、出品だけでなく、会場設計やカタログ作成まで行った。
そのほか建築とセットで浮世絵を販売することもあったよう。
浮世絵の影響は、設計図にも表れ、余白を大きく取ったり、近いものを拡大して描く独特な構図や新しい図面の描き方も考案した。といっても素人目には、細かくて美しい設計図、というくらいしかわからないが。
フランク・ロイド・ライトは、ウェールズ出身で、ケルトの宗教に触れていたため、日本文化理解の下地もあったのでは?と説明されていた。
セクション2:「輝ける眉」からの眺望
フランク・ロイド・ライトが設計した、プレイリー・ハウスの建築の数々が写真や設計図などで紹介されている。
初期のプレイリー・ハウス(草原様式)は、アメリカ中西部を象徴する平原や原生植物から着想され、さらには日本の変化に富んだ地形、山や滝のある風景、日本の植物との出会いもライトの創造力を刺激し、やがて代表作「落水荘」へと結実。
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プレイリー・ハウスは、屋根が低く、水平に伸びる深い軒でラインを強調、暖炉を中心とした回遊性、窓が多く屋内外をつなげる、といった特徴がある。
「クーンリー邸」(帝国ホテルみたい!)、「ロビー邸」、「山邑邸(現・ヨドコウ迎賓館)」、「小田原ホテル計画案」などの例が。
「輝ける眉」=タリアセンとはライトの祖先が話したウェールズ語であり、ライトの自邸兼スタジオの名前。
アリゾナ州のソノラ砂漠に築いた第二の拠点タリアセン・ウェストは、サボテンをモチーフにしている。
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セクション3:進歩主義教育の環境をつくる
ライトは家庭生活や教育のあり方の変革に取り組んだ女性運動家たちともネットワークを形成しました。シカゴ郊外のオークパークの初期の自邸とスタジオは、建築の実験と、家庭生活や職場環境の近代化に対応し増改築が重ねられ、設計室や幼児教育のためのプレイルームを備えました。
(中略)
帝国ホテル設計のために滞在した日本では、ライトは羽仁もと子の依頼で「自由学園」を手がけています。
「自由学園 明日館」は、去年見たばかり。
次のセクションの帝国ホテルとともに、今回この展覧会に行くきっかけにもなった。
セクション4:交差する世界に建つ帝国ホテル
すでにここまでにずいぶん勉強になっているけど、今回のメインはやっぱり「帝国ホテル」。
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昨年明治村に行って、実物(といってもほんの一部だけど)を見てきたばかりなので、興味深かった。
帝国ホテルでは、家具や食器までデザインそうだ。
模型や設計図なども展示されていた。
セクション5:ミクロ/マクロのダイナミックな振幅
ライトが生涯にわたって抱いたコンクリートへの関心と、ユニバーサルな建築システムの探求、またそのシステムを用いた住宅を紹介します。
ライトは小さなものから大きなものまで展開可能なユニット・システムによる建築を考案しました。全体と部分とがダイナミックに呼応するライト建築の発想の根幹には、彼が幼少時に体験したフレーベルの教育ブロックがあったと言います。
ユニット・システムっていうとなんかおしゃれ。
プレファブ住宅っていうと安っぽい感じがするけど。
ライトはまた素材についても強い関心をもち、地域に根ざした材料を用いる一方で、コンクリートの持つ一体性に着目することで、グッゲンハイム美術館のような巨大建築も実現しました。
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またユニット・システムの実践例であるユーソニアン住宅の原寸モデルを展示し、実際の空間を体験いただきます。
今回撮影できた唯一の写真。
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セクション6:上昇する建築と環境の向上
プレイリー・ハウスから帝国ホテルまで、水平方向への広がりが印象的なライト建築ですが、垂直に伸びる高層建築にもライトは早くから関心を示しました。
ジョンソン・ワックス・ビルや、プライスタワーなど、高層建築も設計しているとは知らなかった!
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セクション7:多様な文化との邂逅
多文化的な要素を取り入れた作品が多数。
ゴルフ文化と先住民の建築の実践を融合させたナコマ・カントリー・クラブ計画案。
ヴェネツィアの運河沿いに計画したマシエリ記念学生会館。
イスラム文化との出会いから生まれた美しい都市像、大バグダッド計画。
メソアメリカ文明への関心。
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情報が多すぎて、ちょっとおなかがいっぱいになってきた。
もともとの知識が少なすぎるので、展覧会で得た内容をつなぎ合わせてまとめるために、いろいろ検索していたら、フランク・ロイド・ライトさんについての記事をいろいろ発見。
落水荘について。
ジョンソン・ワックス・ビルについて。
展覧会では今一つ伝わってこなかった、波乱万丈の人生や家庭環境について衝撃を受けるとともに、ライト設計の有名な建物の写真などもふんだんに載せていらして、勉強になった記事。