Part5の非常事態に備えた文法・語法力の養成

非常事態!

タイトルを読んで「意味不明」と感じた方は多いでしょう。

一方で、TOEIC満点を目指して何度も挑戦されてきた方は「わかる」と言うでしょう。

僕も何度も経験しています。本当に「ドキッ」としますよね。

そうです。

Part5に時々出てくる「見たこともないヤツ」です。

基本的に満点を目指すなら、リーディングでは0〜2ミスが条件です。
※ただ、2ミスでは満点が出ないことの方が圧倒的に多いですし、1ミスしてもいいと思っていると2ミスして満点を逃すかもしれません。

つまり、いきなりPart5でミスをすると、絶体絶命の状態でPart6・7に向かうことになるのです。

Part6には厄介な接続副詞問題、文選択問題が待っています。

Part7は膨大な量の英文が襲いかかってきます。

できたら何の問題もなくPart5を通過したいですよね。

満点を目指す人だけでなく、万人に大切なこと

では、そんな非常事態に備えて満点を狙う人はどんな勉強をすべきでしょうか。

「そんなの簡単!難問を解きまくればいい!」

という声も聞こえてきそうですが、僕の答えは「No」です。

理由は単純です。

TOEICは「定番」の問題も多いです。

(Part1でwheelbarrowが出てきたときのあの安心感w)

一方、一定数は「初出(またはそれに近い)」です。

つまり、超能力者かTOEICの中の人(アイテムライターと言うそうです)にしかこれから出てくる問題はわからないわけです。

それなのにいくらもいくらもTOEICに出ないもしくは出るかどうかもわからないような難問を解き続けても埒が開かないです。

それに、体系的ではないむやみやたらな学習では真の意味での文法・語法力は身につかないと思います。

今回はPart5の緊急事態に備えて、文法・語法力を最大限まで高めておく学習法を提案したいと思います。

満点を目指していない人でも、このような力は必ず英語力全体をレベルアップしてくれる重要なものですので、よかったらご参考ください。

非常事態の回避の仕方の例

そもそも非常事態の回避の仕方とはどういったものなのでしょうか。

僕が実際にあった体験談などを踏まえ、お話ししていきます。

ただし、前述の通り、満点を目指す方以外も読者として想定しているので、あまりに小難しいものはやめておきます。

例えば以下のような問題です(実際に僕が満点を取ったときのものです)

She must provide - - - - - - - collapsible table at the job fair.

※tableの前は何か長い形容詞がついていた気がしますが、思い出せないので適当なものにしました

普通、provideを見たら多くの人が「provide 人 with 物」(人に物を供給する)を想定するでしょう。

しかし、選択肢の中にないのです。

それなら、稀な用法ですが「provide 人 物」の第4文型の用法があるかなと期待するも

ありません!

1〜2分焦りながら思考を切り替え、

一旦別の角度から問題を考えてみることにしました。

この態度は僕自身よく使います。

※本職は大学受験の予備校講師なので、TOEICとは比じゃない難易度の文法問題によく出くわすので…

「この問題、無理かも」と思ったら「視点を変えてみる」ことは本当におすすめです。

僕はこの問題で、「provideの語法にこだわるのをやめよう」と考え直し、

一度、冷静になってから問題文を読み返す

「あ!tableって可算名詞なのに冠詞がないじゃん」

とあっさりと気づくことができ、答えの中に冠詞がきちんと含まれるものを探しました。

しかし、ありません。

「ならば冠詞に相当するものはあるかな」

考えをまた改め

「これや。her ownだ」

と事なきを得ました。所有格は冠詞相当語です。

ただ、provideがこうした第3文型をとる形はその時は知らず、多少不安でしたが、他の選択肢には冠詞もしくは冠詞相当語がなかったので、よしとしました。

カッコつけた言い方かもしれませんが、「他の選択肢がダメと断言できれば残りは絶対正解」です。

ちなみにprovideのこの用法は珍しく、受験後念の為確認したら、僕が持ち合わせている辞書ではコンパスローズ英和辞典にしかこの用例はありませんでした。

※他にはジーニアス第5版、ウィズダム、ランダムハウスを持っています

Students must provide their own textbooks.
「学生は確実教科書を用意すること」

コンパスローズ英和辞典より

視点を切り替える力をどう身につけるか

見知らぬ初見の問題に対応するには、「視点の切り替え」が重要だという持論を、何となくお分かりいただけたでしょうか。

TOEICに出るかどうかもわからない難問ばかり解いていても、こうした力は身につかないと思います。

では、そうした力をどう身につけるか、と言う事ですが、答えは単純です。

基礎を完璧にしてから、TOEICに出うる再現性の高い難問集で「切り替え練習」を大量に積んで慣れる

それだけです。


①基礎を完璧にする

これも持論ですが、4択の文法問題集ばかりを解いていても、文法の真の基礎力は身につきません。

書き換えや並び替え、英文和訳・和文英訳や、正誤問題などといった多様な形式が含まれる「大学受験用」の文法問題集をお勧めします。

「総合英語Evergreen 完全準拠文法問題集 文法の基礎力を身につけるトレーニング」(いいずな書店)などが好適でしょう。

いやそのレベルは流石に余裕で、満点まであと少し、という場合は旺文社の「基礎英文法問題精講」(中原道喜著)あたりが相当力がつくと思います。

なお、少しでもわからないところが出てきたらめんどくさがらずに文法書を調べる癖もぜひ早いうちから身につけてください。

その際は「イメージ」などで理解するタイプより、硬派な正統系の文法書をお勧めします。

ちなみに語法に関しては4択問題集でガンガン解くのがお勧めです。「Next Stage 英文法・語法問題」(桐原書店)の語法のセクションを5周くらい回すと良いでしょう。

ところで、ここまで読んだ方の中には「それこそ大学受験用の文法問題集なんか解いてもTOEICに出ないじゃん」と思うかもしれません。

ここで勘違いしないでいただきたいのが、この段階ではTOEIC対策というよりかは「文法力」を身につけることを目的としているということです。

TOEICの参考書より詳しいものが圧倒的に多く、先ほど紹介した3冊は良問も多いです。

ちなみに満点を目指している方であればTOEICに出そうな問題の対策は「1駅1題!TOEIC L&R TEST文法特急」(朝日新聞出版)や「TOEIC L&Rテスト 文法問題でる1000問」(アスク)などで完成していますよね。

満点を目指しているわけではなく、これから900点台を目指す方はまずはこれらを終えたほうがスコアUP自体は早いと思います。

②難問に当たって視点の切り替えの練習をする

それでは実際に視点の切り替えの練習をしてみてください。

TOEICに出そうもない難問を解くのではなく、TOEICに出るであろうギリギリの難度を攻めた良問集で勉強しましょう。

おすすめはもちろん、はま1000こと「TOEIC L&Rテスト 990点攻略文法・語彙問題1000」(旺文社)です。

その後、余力があれば「TOEIC L&R TEST 990点獲得 Part5&6 難問模試」(ベレ出版)もお勧めです。

あとは、「精選模試シリーズ」(ジャパンタイムズ出版)もお勧めです。

語彙問題はどうする?

語彙問題に関しては「TOEIC L&R TEST 上級単語特級 黒のフレーズ」と「TOEIC L&R TEST 上級単語特級 暗黒のフレーズ」(朝日新聞出版)に掲載されている単語をすべてしっかり覚え、はま1000の語彙問題も完成させることができたら相当安心はできるでしょう。

余力があれば、はま1000に出てくる全ての未知語を覚えることも重要です。

あとはthe japan timesやTHE JAPAN NEWSなどの英字新聞のビジネス欄だけでいいので一定数読み、知らなかった語彙を吸収していきましょう。

読解力も身につき、一石二鳥なうえ、話題も日本のことが多いので楽しめると思います。

終わりに

ここまで読んでくださった方の中には「文法なんか完璧でなくてもいい」とお思いの方もいるかもしれません。

もちろん、会話ではそうかもしれません。

しかし、Part5ではそんな言い分は通用しません

今一度、文法の重要性を再考してみるのはとても重要なことだと思います。

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