25.鉄馬旅人の魂の叫び
LAS VEGASまで14mile
フリーウェイの側道に相棒を止める
遠くにLAS VEGASの街並みが見える
相棒のメーターが示す数字は
7000mileを超えている
バイクのミラーに写る俺の顔、
真っ黒に日焼けしている
俺は間違いなく本当に旅をしてきた
北米の11の州を旅してきた
旅を始める前の俺
63㎏の俺
絞りに絞った身体
それが見る影もない
随分と肉付きの良い身体に
なっちまったもんだ
しかし
顔つきが自信に満ち溢れている
そうだ・・・
俺はなぜ旅に出たんだっけ・・・
「破局」
そう、破局が原因だった・・・
25歳の時に出逢った
本当に綺麗な3つ年下の娘
初めてのデートは
横浜の港の見える丘公園
そこでキスしたんだ
俺は人生で初めての恋に夢中だった
こんなにも人を好きになるなんて・・
本当に夢のような日々だった
俺が30歳の時、彼女が
「そろそろ入籍しよう」
その時俺は何故だか
すぐに返事をしなかった
心の奥底が反応しないんだ
で、結局返事を保留にしたまま
10日ほど経ってしまった・・・
で、その結果・・・
なぜあの時
返事をすぐにしなかったのだろう
何が俺をとどめた?
何の力が働いたんだ?
大好きだったのに・・・
なぜ・・・
「ずいぶんと考え込んでるなぁ
もう終わったことだ
いくら自分を責めても
事態は好転しないぞ?」
俺
「え?・・・」
「久しぶりだな
長旅、楽しかったか?
顔つきが
素晴らしく良くなった
なぁ・・・
お前、普通の人生送りたかったのか?
結婚して家買って車買って
週末にどこ行くでもなく
一生懸命洗って
ピカピカにした車見て満足して
月曜になったら出社して
渋々嫌々仕事して
会社帰りに飲みに行けば
人生の愚痴垂れ流して・・・
それで満足なのか?」
声の主の方に意識を向けると
そこにいたのは
見事な羽飾りを誇らしげに頭に付けて
浅黒くて筋肉質な身体を晒し
まだら模様の馬に跨って
ニヤニヤしながら
俺を見下ろしている長身の男がいた
俺
「あ・・・ニューメキシコで・・・」
「そう
お前の過去生だよ
久しぶりだな
ずいぶんと逞しくなって・・・
俺は嬉しいよ
やはり旅はいいもんだな
人を磨き上げ逞しくする
今回のお前の身に起きた破局
これは
お前の人生の中で
クリアしないとならない
最重要課題だったんだ
今後お前にやってもらわないと
ならないことが沢山あるんでな
だから’’俺ら’’が結婚にストップをかけた
ここまで意味解るか?
ついてこれてるか?」
俺
「な、なんとなくわかる氣が・・」
「よし
そして次に起きることは
お前は帰国してから
とある仕事に就く
そこでおまえは揉まれに揉まれる
それも重要な課題なんだ
’’俺ら’’はお前に
それを乗り越えさせて
人間的に飛躍的に成長させる」
俺
「げっ・・・」
「ここで一気に加速させていかないと
間に合わなくなる恐れがある
まぁ心配するな
’’俺ら’’が常に見守っている
ま、2024年になれば
これらの全ての意味が解るだろうな
’’8の数字’’
’’直感’’
’’閃き’’
軽く見るんじゃないぞ
それこそが導きであり加護なんだ
解るだろ?・・・
お前なら解るはずだ・・・」
ブヮっと風が舞った
一瞬
俺の意識が散った
再び意識を戻した時には
もうそこに過去生の俺はいなかった
今は2005年・・・
19年後20年後の2024年に
一体何が起こるってんだ⁇
いきなり
そんなこと言われてもなぁ・・・
続く・・・・・