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非常勤ですが、なにか?♯13 作文添削の巻
作文添削してはいけませんか?‼️
1月7日㈫始業式 課題提出日
さぁ、これから作文を添削し、努力を褒めたたえ、本人と相談、指導しながら幾度か練り直し書き直しさせて審査会に持ち込む。
長期の休みは、日頃挑戦しづらい原稿用紙5枚程度の作文に落ち着いて挑戦できる良い機会なのだ。
この機会を上手く活かして多くの生徒に力をつけてやりたい。
夏休み明け同様に、いや、今回はあのときのおよそ倍の量の作品が提出されている。
生徒はこちらの期待にかなり応えてくれている模様。
心なしか、以前より字が綺麗に整っている様子の生徒もいる。
1学期は未提出だったが2学期に頑張って自信が付き、初めて提出してみたという者がいる。生活文の他に随筆や意見文や詩歌に挑戦した者もいた。
1月8日㈬
私は週4日出勤で、水曜日をお休みにしている。基本はボランティアの日だが、この日は家で1日作文添削をするつもりで空けていた。朝9時頃から始めて11時過ぎ。波に乗って来た頃に学校から電話がかかってきた。
国語科のH先生(30代男性)だ。
「先生、すみません!昨日作文の校内締切、来週の月曜日って言ったのに、地区の審査会が10日の金曜日だそうです!」
「なに~っ!明後日?!今直してるのを生徒に返して書き直して・・・時間がないっ!」
H先生も困っている。しかも、審査会に誰が行くのか、まだ決まっていないという。なんだ?この職場…。
「先生、早めに知らせてくれてありがとう~。できる範囲でやるしかないよね。また明日詳しいことがわかったら教えてください。」
こう告げて電話を切る。
審査会に出せる作品は30編程度。
本当は多めに校内審査を通して、出品できない生徒にも一緒に書き直しさせて満足できる作品に仕上げ、評価してやることはできる。
今回はその取り組みまでは手が回らない。
一気にやる気が萎えた…。
それでも急いで100を超える原稿から選んだ約30編をできるだけ手直しなしで出品することにして、できるだけ軽く添削した。
1月9日㈭
朝、5人ほどの生徒に添削した原稿と新しい原稿用紙渡して「よく書けていたよ。本当に悪いけれど、休み時間や放課後今日帰るまでに書き直して。担任の先生にはお願いしたから。」
と声をかけた。
中には、添削された部分を見て「もっと考えて直したいので、明日の朝一番に持ってきます。」という生徒もいた。
急いで原稿を取りまとめ、審査会の準備をしながら国語科指導教諭T先生(40代女性)と話をした。
私「今年、ちょっと審査会早すぎますよね。添削する時間もないなんて、設定したの誰ですか?仕事する気ないのかしら?」
T先生「先生、うちの学校、添削できないんですよ。」
…添削ができない???????
私「なんで?」
T先生「うち、そういうのはやらないんです。転勤してこられたときに言えばよかったですね。私は夏休みの作文を取っておいて出すとかしますね。」
…いや、U先生は「どんどんやってください」って言ってたよ。
最初から上手いのだけピックアップしてあっちからこっちへ流すだけ?
それ、指導?国語科の仕事って…教えることですよね。
私「いや、夏のももちろん良いのは取ってありますよ。もう添削してあるし、出すのもありますよ。でもね、2学期に力を付けて冬休みに頑張った生徒もいるんです。作文は長期の休みに精一杯頑張って書いたのを褒めて添削してやって、考えてまた書き直して…っていうときに一番力も自信も付くんじゃないですか。」
T「先生は、それを信じてるんですね。でも、うちの学校ではできないんですよ。」
はぁ?
信じてるんじゃないよ!
事実そうだよ。長年実践、実感してここまでやってきてるんだよ。
「そこで指導してやるのが国語科の仕事でしょう!できないなら、私がやりますよ。(それだけやりたくて教諭辞めたようなものですから)審査会だって私が出ますよ。本当はA先生(新卒男性)が行った方が勉強になって良いと思うんですけど。」
T先生「Aさんは3年団だから無理なんですよ。」
私「3年だろうが、何年だろうが関係ありませんよ。よその学校の国語科の先生方はみんなどんなに忙しくてもやってらっしやるよ!」
T先生「うちの学校はやらないんです」
そばにいた学年主任がオロオロしながら間に入ってきて「ケンカはいけませんよ~」と小声でささやいている。
これ以上喋ってもムダだ。
かわいそうなのは生徒たち。
私が今受け持っている学年は、去年T先生の受け持ちだった。1学期の中頃だったか、私が毎週金曜日の授業はの初めに様々なテーマで「200字作文」を書かせているのを見て
「私、作文苦手だから、全然書かせてないんですよ〜。よろしくお願いします~。」と彼女は言った。
なるほど、みんな書き慣れていないと思った。2学期には8割位の生徒が5分間で200字スラスラ書けるようになったし、やはり慣れるって大事。
…でも、この200字作文指導は、授業で毎時間(!)実践していた先輩の真似をしただけだ。
あの先生も教諭で、休み明けにたくさん仕事を抱えながら妥協を許さず添削、出品を欠かすことはなかった。素晴らしい作品が文集に掲載されて、皆嬉しそうで誇らしげだった。その後の人生でもきっと文章を紡ぐことを楽しんでいるはずだ。
地区の審査会には他の教科の先生が行くことになったそうだ。
「できないんですよ」「やらないんですよ」
は、働き方改革でしょうか?
確かに国語科、審査会多いし、授業の準備もテストの採点も時間がかかります。作文の添削は一番時間がかかりますよね。
でも
「作文添削はできないんですよ」
Tさんの背中の向こうに国語科新卒Aさんの後ろ姿が見える職員室で、国語科の教員が…この言葉は絶対言ってほしくなかった。