朱に交われば赤くなる(10)
学校に登校し、授業を受ける
教室に入り、周りを見るといつものように、僕以外、女の子は皆セーラー服を着ている。
僕はドキドキしてきた。
僕も、夢だとは言え、昨日は皆と同じセーラー服を着たんだ。
おまけに、彼女達のとは色、形が多少違うとは言え、同じブラとショーツも身につけたんだ。
僕は彼女達と同じ女子高生の仲間になれたんだ。
でも、・・・
今自分の着てる服は、男子なら当たり前の詰め襟の学生服。
僕は、所詮、このクラスでは、皆の中に溶け込めれない。
落ち込みながら、椅子に座る時、隣の左の女の子に、いつもの様に、くすくす笑われる。
僕がスカートを穿いている様な所作で、椅子に座ったの可笑しく思ったんだろう。
何故か、今日は右隣の女の子にも笑われる。
えっ、ま、まさか、昨日、僕が夢の中でセーラー服を着た事を知っているんでは?
い、いや、そんな事は絶対ありえない。
僕が、そのことを顔に書いていない限り。
両隣の女の子達は、目配せしながら、「ほらね」と、呟いている。
ち、違うんだ。完全に誤解されている。
僕が、お尻に手を添えながら、座るのは、決してスカートを昨日、穿いたからじゃなく、皆につられて、つい、無意識にしてしまう癖なんだ。
僕は、口に出かけた言葉を、飲み込みながら、おとなしく座った。
最近気付いた事だが、両隣の彼女等は意気投合しているようだ。
先生は話し出す。
「皆さん、お早うございます」「お早うございます」
「皆さんには、残念なお知らせがあります。今日は、授業で一日かけて人物画のデッサンをする予定でしたが、専属のモデルが急に、熱を出し、来れなくなりました」
先生は、ぶつぶつと小さい声で、愚痴り出す。本当に困ったもんだわ。
まる一日自習にするわけ出来ないし、他の先生もびっしり予定が組まれてるし。
先生の嘆きが生徒全員に届いているようだ。
「先生!」
右隣の女の子が左隣の女の子のアイコンタクトを受け発言する。
「モデルが来れないんだったら、このクラスの誰かがやればいいんじゃないですか。
このクラスは誰も自習なんか望んでません」
クラス全員が頷く。
「でも、、モデルになった子はデッサンを描けないのでは?」
「モデルになった子は、目の前に姿見を置き、自画像を描けばいいのでは」
先生は唸る。
「う〜ん、GOOD IDEAですわ。凄い突破力!そこまで、頭が回るのであれば、もう既にモデルの選定と絵画のテーマも決まっているのでは?」
「勿論です。
モデルは私の隣に座る男の子、そして、テーマは男の娘」
誰も反対しなかった。