女子高生の悪巧み
1
この女子高生には、変わった趣味があった。
これはと思った男の子を女装させることだった。
でも、筋骨隆々とした、背の高い子は申し訳ないけど、対象外。
世の中には、男、男とした人を、女装させて、辱め、屈服させる事を趣味としてる子もいる。
たまたま、私は違う。
華奢な男の子にセーラー服を無理矢理、着せて、恥ずかしがる、姿を見ていたい。
でも、もしそんな男の子に出会えてもどうやって、セーラー服を着てもらえるかしら。
バケツをひっくり返して、ずぶ濡れにして着替えさせる。
えー、無理、無理、きっと濡れたまま帰ると言うに決まってる。
新学期になり、私は、考えてるうちに、ある男の子と出会った。
私の願い思った通りの、外観の男の子だった。
私は、ひらめいた。
それからの、私は、がらにもなく教室で読書にひたっていた。
「えー?、何、読んでんのよ。彼氏の影響?」
私は受け流していた。
私は、静かに読んでいた本を机の上に置いた。
私の視線の片隅には、彼が存在していた。
彼は、私の机に残った本を、興味深げに見た。
「さ、催眠術?」
「えー!、なに見てんのよ。ひどーい」
彼は、私の本を勝手に見ていた。
「ごめん、ごめん」
彼は、私と話す機会が欲しかったのが、
ありありだった。
彼は、催眠術にはあまり興味がなさそうだった。私は彼とは関係なしに読書に集中した。
「ふーん、催眠術かあ、でも一体誰にかけるんだよ?相手がいなけりゃ、ただの無用の
知識だよな」
私は、ピクッと唇を震わせた。
「な、なによ、あたしだって、友達いるんだからね」
「わかってるさ、でも、友達ってさ、催眠術
にかかったフリするのが友達なんだろ?」
私は、図星をさされたかのように、俯いていた。
彼は、意気揚々と、
「そんなら、俺が一丁、付き合ってやるかな」
私の目論見がなかったら、私はこの時、彼を張り倒していただろう。
「うん」
私は怒りに震えながらも、この先の彼の災難
を、想像すると、怒りを抑える事がなんとか出来た。
2
部室内には、メトロノームの単調なリズム
が、鳴り響いている。
友達の部室の一室を借りているから、誰にも
邪魔される事はないと思う。
「いい、このメトロノームの音は、あんた
が催眠状態になる入口なんだからね。
そして、この音がなければ、あんたは、催眠
状態から抜け出せない。
わかった?」
「はい、はい、好きにやっていいよ」
彼は、はなっから、催眠術というものを
信じてないようだった。
私の口から思わず微笑みが浮かんだ。
いいのよ、信じていようが、信じていない
ようが、あんたはもう既に、私の術中に
嵌っているんだから。
彼は考えていた。
所詮は、女子高生の考える、催眠術の
お遊びだ。
右手を上げて、左手を上げて、はい。
それに従ったら、彼女は確信に触れてくるかもしれない。
男子の間で一番人気の女子は誰?
イケメンのあの子は誰が好きなの?
メトロノームの音が耳に鳴り響く。
「さ、終わったよ}
顔を赤くしたした私に、彼は不審げに聞く
「え?何が?」
彼は、何も分かってないようだった。
「だから、催眠術は無事に終わったの」
彼は不安げに聞く。
「えっ?俺は、何にも覚えてないんだけど」「馬鹿じゃない、だから催眠術じゃない。
あんたの術中の記憶は、やばいからすべて消しといた」
おかしい、俺が催眠術にかかったという、
痕跡が全く、見当たらない。
それに、俺の記憶では、確か、彼女は
最初、セーラー服姿だった。
それが、途中ジャージ姿に着替え、また、今の彼女はセーラー服でいる。
何故、わざわざ、着替えてきたんだろう。
彼女は微笑む。
「どう?良かったら、又、催眠術受ける気
ある?」
俺は、無意識の内に頷いていた。
3 二度目の催眠術だった。
この前と同じように、メトロノームの単調な
リズムが部室内に響いている。
今度こそは、催眠術の内容を掴みたい。
この前と同じ結果に陥ったなら、気持ち悪くてしょうがない。
・・・
「はい、終わったよ」
そ、そんな馬鹿な、まだ始まってから、あきらかに1分もたってないぞ。
俺は催眠術なんかに決してかかっていない。
彼女は答える。
だって、あんたの記憶を消してるから、
当たり前じゃん
ぐっ、だが、俺は信用できない。
そうだ、証拠をみせてくれ。
俺が、催眠術にかかっている動画をスマホでとってくれ。
彼女は優しい微笑みを浮かべ、
「えっ、スマホで撮っていいの?
あんたの恥ずかしい動画が、永遠に、記録に残ってもいいんだったら」
恥ずかしい?俺は、そんな恥ずかしい事を
したんだろうか?
彼女の目をじっとみつめる。
彼女の目は笑っている。
だ、駄目だ、動画の件はなしだ。
彼女は悪魔の取引を提案してきた。
4
部室内、今までとは、違い、
メトロノームの音が聞こえない。
「いいの?本当に?」
彼女は不安げに聞く。
俺は震えながら答える。
「多分、大丈夫」
取引の内容はこうだった。
じゃあ、催眠術をかけない状態でどんな
ことが起こっていたか再現してみよっか
俺は頷いた。
但し、途中で、あんたが、もう嫌だ、こんな事に付き合ってらんないと、ギヴするんだったらそんでいい。
その代わり、あんたは催眠術でどんな事を
していたか知る機会を永遠に失う事になる。
わ、分かった。お手柔らかに。
私は微笑んだ。
じゃ、ちょこっと着替えて来るから、待っててね。
着替える?何故、着替える必要があるんだ?
確か、彼女は俺が恥ずかしい事をしたと言った。
そうだとしたら、俺はこのまま、しらふでいられる自信がなくなってきた。
しょうがない。俺は、今からでは遅いが、
催眠術にかかっている演技をしてもいいかも。
5
彼女が戻って来た。ジャージ姿だが、
・・・
えっ?両手には、さっきまで彼女が着ていたに違いない、
セーラー服に襞スカート、そしてその上には、ちょこんと
白いブラとショーツが形よく乗っている。
彼女は顔を赤らめている。
当然だ。自分が着ていた下着やセーラー服を
、親しくもない異性に差し出している。
分かった。俺は全て理解した。
彼女はきっと、俺が、それらを、犬のように
くん、くんと嗅ぎ、ご褒美に俺の頭を優しく撫で、良く出来ましたと、言いたいのかもしれない。
もし、そうならば、
もう嫌だ。俺はこの茶番に幕をおろそうかなとも思った。
でも、彼女の言葉は違っていた。
あなたは、女の子のセーラー服や下着を身に付ける事が大好きです。
毎日、毎日、同級生の女の子のセーラー服を見ては、自分も着たいと、憧れています。
でも、あなたは、心は、あくまでも、男の子です。
女の子の可愛い格好をするのが、大好きなだけなんです。
(こんな、可愛い男の子を心まで女の子にしてしまうなんて、勿体ないもんね)
だから、あなたは、自分の女装に協力してくれる女の子を限りなく尊敬し、彼女の言う事には全部従います。
俺は、びっくり仰天し腰がぬけそうになった。
まさか、この女、面白半分、冗談でやってるんじゃないだろうな。
彼女の目を見つめる。
(お願い、あたしの夢を叶えさせて。あんたになら素質は充分あるんだから)
ふむ、俺を騙す様な目ではない様だな。
でも、いかがなものだろう。
大の男が女の子から、私が着ていたセーラー服、それどころか、脱ぎたての下着まで着て
と要求されるのは。
(なんか、迷っているみたい。
大丈夫だってさぁ、あんたの身長は私と同じくらい。
それに、肩幅も狭いし、あたしのセーラー服、楽勝で着れるって)
二人は見つめ合っていた。
6
俺は、引き寄せられるように、彼女の持つ
衣服に近付いた。
「いいか、これは、催眠術でどんな事が起こっていたか知りたいだけで、女の子の下着、ましてや、セーラー服なんかに、俺は興味ないからな」
「もち、そんな事ぐらい分かっているわよ」
あたしはため息をついた。
(あーあ、男って素直じゃないんだから)
あたしは或ることを思い出した。
(あれ、あたしって、今、ジャージを着てるんだけど、下着は付けていなかったんだ。
やだ、、今、あいつはあたしの、裸を想像してるんじや)
(おや、彼女は一体どうなってしまったんだろ?何故か顔をほんのり赤らめ、もじもじ、
しだした。
ははん、おそらく、ジャージに着替え、体が冷えて、トイレに行きたくなったんでは。
やっぱり、女の子なんだなぁ、
素直に言えばいいのに)
俺は、この状況を打破しようと、
優しい言葉遣いで、
「トイレに行きたかったんなら行ってもいいぞ」
(はああ?トイレ?あんたは、あたしの裸を浮かべていたんとちゃうの?)
あたしはキレそうになった。
でもその時あたしには全てが分かった。
鈍感なのは、あたしだ。
彼は、私の前で、自ら、裸になって、ショーツを穿き、ブラを着け、襞スカートを履き、セーラー服に袖を通すのって、死ぬほど恥ずかしいんだ。
なぁんだ、そんな事だったんだ。
早く言ってくれればいいのに)
あたしはトイレに行く前に、
「一人にするけど、頑張ってね。あんたなら、絶対、できるから」
彼はキョトンとした顔だった。
7
彼女はトイレに行った。
残されたのは、彼女がさっきまで身に着けていたセーラー服と下着。
今まで気付かなかったが、今、落ち着いた状態でいると、男性物とは違う、僅かな柔らか
香りが漂っている。
俺は、その今にも壊れそうな、下着にそっと、触れる。
思わず震えだす。やはり、無理だ、男の俺が、この神聖な世界を蹂躙するのは。
部室の扉を少し開けた状態で、あたしは、トイレには行かず、彼の様子を盗み見していた。
(うふ、なぁんだあ、なんだかんだ言って、結局、あたしのブラを人差し指と親指で摘んで、顔を赤らめてるじゃん)
ここで、作者である私からの提出書類があります。
某リサーチセンターによる、アンケート結果。
女性の脱いだばかりの下着に興奮する男性の割合はどれくらい?
100人中、99人。
片や、男性の脱ぎたてのブリーフに興奮する女性の割合は?
100人中0人。
私は、この時の彼の行動に誇りを持っています。
彼は、いつのまにか、全裸でいた。
そして両手で、あたしのブラを持っていた。大切な物をいと惜しむように。
彼は、ブラのストラップの輪に右腕を差し込み、そして残る左腕を潜らせようとしていた。
やったぁ! 男の子のファーストブラに立ち会えるなんて、あたしってなんてラッキーなの。
ガタン、バタン、し、しまった。
あせったあまり、半開きのドアが、空いてしまった。
彼は、ブラの後ろのホックを閉じようとする動作のまま固まっている。
ご、ご、ごめんなさい。邪魔しちゃったわね。
いいから、続けていいわよ。
この状況では簡単には続けられない。
俺は彼女に打ち明けた。催眠状態の俺は一体何をしていたのか、知りたい。
そして、顔を赤らめながら、つい、ふらふらと男の欲望のまま、ブラに興味をもってしまった事を。
なぁんだ、そんな事なの。
第一、あたしの方からあんたに女装してと催眠術をかけたのよ。
あんたは何も悪くない。正々堂々と女装すべきよ。
俺は、ブラを留めようとしていた、腕が痺れてきたので、彼女に頼んだ。
お願い、私のブラのホックを留めて下さい。
彼は気付いてはいないようだった。
自分の事を、俺ではなく、私に変わった瞬間だった。
8
あたしは優しく彼の背中のブラのホックを留めた。
い〜い、男からはブラを優しく留めてくれる事は絶対、無いわ。
男が、ブラに手を触れようとする時は、無理矢理、裸にしようとする時だけ。
覚えておいて損はないわ。
はい、彼は頷く。
おっしゃる通りです。