朱に交われば赤くなる(12)
僕は先生に委ねる
先生は、ハンガーに掛かったままのセーラー服を僕の身体に優しく押し当てる。
「大丈夫ね。サイズは合いそう。ところで、あなた、セーラー服は着たことあるの?こっそり妹さんのを拝借して着てるとか」
僕は、ぶんぶんと首を振り、
「あるわけないです」
それを聞いた先生はいつもと違う真剣な面持ちで、
「じゃあ、私の言う通りにすることね」
先生の目の奥から怪しい光が放つ。
「セーラー服をこれから着る限り、晴れてあなたは、女生徒の一員になれるのよ。嬉しい?おめでと」
ここ最近、確かに僕は、セーラー服を着る事に、取り憑かれている。
でもこんな形で皆の前にお披露目するなんて。
嬉しい反面、すごく不安だ。
皆、僕のセーラー服姿を受け入れてくれるんだろうか。
「じゃぁ、取り敢えず下着姿になって」
僕は恥ずかしかったけど、言われる儘にした。
「あら、トランクスに、丸首のアンダーシャツ。以外だわ。てっきり、ショーツにブラと思っていたわ」
「以外でもなんでもありません。学生服の下がブラとショーツだったら変態じゃありませんか」
「確かにそうね。
でも、これからあなたが着るセーラー服の下がノーブラでトランクスだったら?」
・・・
「別に問題ないと思います」
・・・
「セーラー服のモデルなんですから、下着を見せるわけでもないし」
本当は、下着も女性用かもと期待してたけど、あまり、主張するのも、なんだし。
「確かにね。女性用の下着を用意してなかった私が悪いんだけど、そう言ってもらえると安心したわ」
スカート、セーラー服を先生から着替えさせてもらう。
何だか、不思議な気分だ。
まるで、母親から、初めてのセーラー服の着方を教わっているようだ。
世の中の女の子は皆、経験している事だろう。
僕も経験出来て嬉しい。
先生も、
「うふ、何だか、娘に初めてのセーラー服を着せてるみたい。
以外とおとなしくしてるわね。もっと、はしゃいで、喜んでいいのよ」
はい。わーい、わーい・・って
はしゃげるわけない。
恥ずかしくて、顔も上げられない。
白の短いソックス、ピンクのスニーカを優しく、履かされる。
先生は僕の髪に触れ、
「さらさらの髪ね。女の子みたい」
先生は僕の唇を見つめ、
「少し、ざらついているわね」
そう言って、ポケットからリップを取り出し、僕の唇にそっと塗った。
「先生、そのリップは?」
「最近、校則違反で没収したものよ。でも、あなたはモデル。
特別に許して、あ・げ・る」
鏡に映った僕のセーラー服姿は女子高生そのものだった。
鏡の中の少女は、脚を軽く閉じ、両手を前に組み、微かに首を傾け、恋人に見せる様な笑顔を漂わせていた。
先生も感心した様に、
「気にいったようね。
でも、まじ、あなたは、よりにもよって、セーラー服を着て、40人もの女子高生の目にさらされる。
あなたの勇気には感心する。
幸運を祈るわ。