短編小説「別杯」(あらすじ)
【あらすじ】
短編小説『別杯』は、高齢化社会と謂われて久しい昨今、三人の後期高齢者とそれを取り巻く話題を追って展開しています。
北海道出身の私こと、鈴木。そして、近所の友達の榎、カラオケ店経営の蛭間。この三人の無精ひげを生やした傘寿を越した三人組が織りなす物語です。
人間は(特に男性は)年を重ねるに従い、友達がいるのといないのでは、生活のハリが違ってきます。孤独死が増えてきた近年、人とのかかわりが非常に大切になってくるのです。
そういう危惧など、まったく感じない三人は、いまだに社会貢献を模索します。三人のそれぞれの心の変化をユーモラスに描き、しかも身近で起こる出来事・事件に向き合っていく様を、コミカルに描いていきます。
日頃、暇を持て余す三人が、世の中に何か役になることをしでかそうと相談しますが、いざ実行となると良い案が出てきません。いつも立ち寄る喫茶店での三人の掛け合いが始まります。
また、本小説は、老人による事故・事件の新聞記事などを題材にして展開し、また、高齢化社会のひずみを考察しています。
鈴木(私)が、スーパーでの万引き行為に遭遇。蛭間の浮気や、蛭間の経営するカラオケ店に高齢者が運転する車が突っ込み、従業員が怪我をするなど、老人が増えたことによる社会のゆがみや、老後問題を赤裸々に表現していきます。
後半は、鈴木(私)の出自を回想するなど、楽しくも真面目に物語が展開していきます。
齢八十の坂を超えた三人。その中の一人、榎に膵臓癌が見つかります。癌はいまや二人に一人が罹患する厄介な病気です。
入院中の榎を、病院に見舞う鈴木(私)と蛭間。
禁止されている病室での飲酒を隠れて実行(小説ですからお許しを)、榎との最後の別れをし、この物語は終わります。
14回に亘って連載予定です。
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