襟裳の風#4
私には小さい頃、可笑しな癖がありました。
ヨチヨチ歩きができるようになった頃、父母が昆布採りで出かけて留守の時など、度々家の前の道路を後ろ向きで歩く癖がありました。
家の前の黄金道路は当時まだ車の通行量が少なかったので、車に轢かれずにすみましたが、後ろ歩きをして、道路から海側下の岩場に落ちる。ワンワン泣いている自分をたまたま通りがかりの人が発見してくれましたが、頭から血が出て化膿し、頭が膿だらけになりました。
それが一回ではなく何回もあったのです。両親は心配して、二歳上の姉に私の世話を頼み海岸に出て行ったようです。
いまだに私の後頭部には五ミリから一センチほどのツルッと禿げた場所が三ヶ所ほどあります。
頭を打ったわりには、いまだ正常に脳が機能していますので、死ぬまでたぶん大丈夫でしょう。
また、私の体質なのか、太陽の光が眩しくてすぐ涙目になったものです。
頭の毛が伸びたら涙目にもなりました。
そういうわけで、小さい時分の私はいつもツルツルの坊主頭でした。
昔玄関で撮ったセピア色の写真には、自分だけ眩しそうに片目を瞑った姿で写っています。
その後年齢を重ねるにつれその現象は徐々に減少していきました。