短編小説「別杯」4
大晦日が近い火曜日の午後、いつもの喫茶店に三人が集まった。
私(鈴木)は、榎さん・蛭間さんの二人に先週の火曜日にスーパーで起こったことを話した。結局その話で盛り上がり、蛭間さんがスーパーに三人で行ってみようと提案し、行くことにした。
私は店内を巡回していた店長を見つけ、その後の経緯を聞いた。
店長の話を要約すると、
先週の木曜日にその婦人が、またスーパーに来たとのこと。事前に従業員全員に注意喚起をしていたらしい。
閉店と同時に店内の防犯カメラを調べたが、カメラの死角で、万引きの現場は映っていなかった。
後日、ガードマンを一人雇い、監視・巡回させていたところ、その婦人が万引きしている現場を見つけ、現行犯で捕らえ、警察に引き渡したとの事。
常習犯だった。
個人情報保護の関係で、それ以上詳しいことは店長から聞けなかった。私は改めて店長からお礼を言われた。
正月の四日、喫茶店に集合した。
我々が住んでいるこの地域に少しでも貢献しようということになったのだが、意見がさっぱり纏まらない。
あっという間に二月になった。榎さんの奥さんは神戸から帰ってきて、
私は妻と二人で閉じこもりの生活に入ったのである。
ひねもすのたりが始まった。