iPhoneは民藝品なのかも。
先日、富山県美術館で開催されていた「民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある」を観てきました。
美術館といえば、絵画。鑑賞するという言葉がぴったりな感じがしますが、今回の展覧会は、日常の生活、衣食住の中にある「美」を慈しむことがテーマとなっています。
展示されているものは、普段着ていた服や毎日使う食器、毎晩使う照明など、生活に密着しているもの。
いわゆる「芸術作品」のような華やかさはありませんが、質素だけれども実用性の中にある美しさを感じるものといった感じでしょうか。
家に飾っておきたいという芸術作品というのは、たくさん紹介されていてそれももちろんいいのですが、普段使いながら、その美しさを感じることができるというのは魅力的でいいですね。
芸術作品はいくらの価値があるのかと言うのがわかりづらいですが、民藝品は庶民が普段使うことができる商品なので、いわゆる高級品でないというところがいいですね。
高級品でないとは言うものの、自分自身が使っている商品に比べると少し高いものにはなります。
毎日気に入ったものを長く使おうという風に考えると、少し高くてもいいのかもしれませんね。
ところで、民藝品の特性を柳宗悦は次のように説明しているそうです。
実用性。鑑賞するためにつくられたものではなく、なんらかの実用性を供えたもので ある。
無銘性。特別な作家ではなく、無名の職人によってつくられたものである。
複数性。民衆の要求に応えるために、数多くつくられたものである。
廉価性。誰もが買い求められる程に値段が安いものである。
労働性。くり返しの激しい労働によって得られる熟練した技術をともなうものである。
地方性。それぞれの地域の暮らしに根ざした独自の色や形など、地方色が豊かである。
分業性。数を多くつくるため、複数の人間による共同作業が必要である。
伝統性。伝統という先人たちの技や知識の積み重ねによって守られている。
他力性。個人の力というより、風土や自然の恵み、そして伝統の力など、目に見えない大きな力によって支えられているものである。
すべてが当てはまるわけではありませんが、自分が使っているiPhoneやiPadは現代の「民藝品」と言ってしまうと言い過ぎでしょうか?
スティーブ・ジョブズが日本の食器を気に入っていたと言う話もありますしね。