やや偏った紀行文のすすめ       ―開高健・椎名誠—

前回自分の一番好きな小説について書き散らしたのが、思いのほか楽しく、書かないと言語化できない部分も再認識できたため、機会があればまた好きなものについてだらだらと書きたいと思った。今回はその第2弾である。

紀行文はいいぞ、というお話

読書が好きな人がまず入るのは大体小説からではなかろうか。そこから伝記とか、図鑑とか、読む本のジャンルが増えていくパターンな気がする。自分がそうだったから偏見もいいところだが。そこであえて、読書好きの人はもちろん、本の良さにはまりかけの人に私は提案をしたい。

紀行文を読みませんか。

ここでいう以降分とはいわゆる「土佐日記」だとか、「おくの細道」とかではない。どちらかというと旅行記に近いが、格好がつくからそう言っているだけである。私がお勧めしたいのは次の二人だ。

  • 開高健

  • 椎名誠

この二人である。二人の紀行文は共通点がある。釣りと酒である。日本全国、はてはブラジルからモルディブまで釣りに行き、釣った魚を料理して酒を飲む。私が好きで読んでいる二人の紀行文はどれもだいたいこんな感じなのだが、その表現が抜群に上手い。

開高健は『裸の王様』で芥川賞を取っているから、国語便覧とかで見たことがあるかもしれない。そんな人は絶対に読書はじめたてではないのだが。彼は特に風景の描写と酒の味の伝え方がうまい。遠い異国の地であっても気温、湿度、におい、肌触り、音などをその表現力を余すところなく使ってあたかも自分もそこにいるかのような文章を読むことができる。

おそらく彼の描写をそのまま作れる機械があれば、それはそのまま異国でできる体験と全く同じだろうという確信めいたものがある。酒もそうである。飲めるわけもないただの中学生が、成人してからなんか味を知ってる気がするくらいにはリアリティーがある。

彼のおすすめの紀行文は

『オーパ!』・・・ブラジル釣道中。この一冊で私は彼にはまった。

である。結構古いので古本屋で安く売っているはずだ。ぜひとも。

椎名誠は飯とビールの描写がマジでうまい。開高健と比べるとやや砕けた文体で読みやすく、どちらか一方ならまず彼の方を進める。主に「怪しい探検隊」「怪しい雑魚釣り隊」と称して仲間とわいわいいろんなところでうまいものを食べ、うまい酒を飲み、釣りをするシリーズが人気なのだが、そこに出てくる食べ物が本当に上手そうなのである。彼にかかれば釣り用に奥さんが作ったのり弁ですら格別なごちそうのように思えてくる。彼のおかげで(せいで?)私の初酒はビールであった。

おすすめの紀行文は

インドでわしも考えた
怪しい探検隊 海で笑う』・・・両方とも海外旅行記であるが本当に楽し  
                そうで、このような生涯の友人を作るこ
                とが中学からの目標である。

である。

以上、酒とつりに偏った紀行文紹介を終わろうと思う。自分の書く文章はやたら長いから読みにくいかなあと思って短くしてみたが、それでも好きなもの過ぎて1200字を越えてしまった。次回はもっと短く書くつもりである。

ぜひ読んでみてね。それでは。



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