日記(11月12日)

起きたのは夜中2時半。
いや、2時だったかも知れない。
悪夢とトイレで目が覚めた。
トイレを済ませても再び寝付くことはなかった。
わたしにしては珍しい。

朝の7時頃、だるくなってきた。
今なら寝直せるかも。
そうは思ったけれど、作業所に行く支度をした。
わたしの今の作業は、ぶたのぬいぐるみ作りだ。
うさぎからぶたにステップアップしたばかりの、難しいところだ。
2時間作業に取り組んで、今日は帰らせてもらった。

昼寝してはいけない。
夜に眠れなくなってしまってはいけない。
そう思った。
散髪したい、と思っていたところだったし、美容院の予約を入れた。
髪をのばそうとも思っていたけれど、わたしの髪はくせ毛できれいじゃない。
のばしてもチリチリと汚い。
やっぱり短くするしかないよな、と思った。
ホットペッパービューティーのショートカット画像を検索したけれど、特にこれというものはなかった。
寝不足で脳が疲れていたのか、わたしは中谷美紀がショートカットにしたときの画像を検索した。
そしてそれを美容院で見せた。

ショートカットの中谷美紀

「こんな感じにできますか」
美容師さんに聞いてみた。
「似たような感じにはできますよ」
と美容師さんは答えた。
けれど仕上がってみると、わたしの髪型は、10代の頃の内田有紀みたいになっていた。

冗談じゃない。
この髪型は、内田有紀だからカワイイのだ。
内田有紀のブレイク当時、いろんな女の子が内田有紀に憧れ髪を切り、とんでもないことになっていた。
いま、わたしもとんでもないことになっている。
けれど、
「ありがとうございました」
と言って散髪代を払い店を出た。

切り直す、せめてすいてもらう、ということも考えた。
けれど今まで、美容院に切り直してくださいとお願いしたことがないため、迷った。
自分でなんとかできないかな、と思った。
そればかり考え上の空だったから、夕食の鍋が吹きこぼれテーブルが派手に汚れた。
台拭きで何度もテーブルを拭きながら、ああ、明日この髪型で作業所行かなきゃいけないの?と思い続けた。

今さっき、思い立って前髪をドライヤーで上げてみた。
あっ、さっきよりマシかも知れない。  
少しホッとしてタバコを吸いに外に出た。

女らしい感じは遠のいた。
カッコいい系になった、と言いたいところだけれど、そう言うにはわたしの顔はデカすぎる。
買いだめた秋冬物の中の、どれがいちばん似合うだろうか。
決定的に似合わなくなってしまったものもあるだろうか。
今はそんなことを考えている。

外はもう暗い。
秋、そして冬の夕暮れは早い。
今日という1日は終わってゆく。
今夜はぐっすり眠れますように。
そして明日の朝、なるべく前髪を上げた状態で作業所に行けますように。


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