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「二次加害」をなくしたい

昨日来、ジャニーズ事務所の記者会見の様子がTVで流れています。

同時にⅩやFaceBook等SNSでは、事務所や所属タレント、性被害を受けた方々それぞれに対して誹謗中傷やその内容をバカにしたり、茶化すような投稿がより一層見受けられるようになりました。

そのような書き込みを観てとても悲しく、また寂しくも感じたこともあって、以下のようなことをお伝えしたいと思いました。

まず伝えておきたいこと、上記のような投稿は「二次加害」になる可能性がある、という事です。

会見など一連の報道で語られている問題の根本は「性加害」であり「性的虐待」であり、東山氏や井ノ原氏の言葉通りそれは故人がその立場を利用して自身の性癖や性欲を一方的に満たそうとした「犯罪」であり、そこに何百人とも言われる被害者がいる、という事です。

本来責めを負うべき加害者本人は既に故人となっており、残された方々がその責めを負い、背負うべき罪を背負い、被害を受けた方々に対してこれから長い時間をかけて向き合って行く。

確かに昨日の会見を観ていて、個人的に疑問が残ることもあれば、それは少し違うのではないか、と思うところもありました。
そしてそこには憲法や法律で保障された「表現の自由」もあって、個人が言いたいことを自由に発言して良い国に私たちは住んでいます。

しかしだからと言って、そのような重大な犯罪の被害を受けた人たちや、その事務所に所属するタレントさんたちに対して何を言っても良い、というわけではありません。

例えそれが個人を誹謗中傷するものでなく、話し全体を茶化すような、笑いにするような内容だったにしても、それはそれぞれの当事者にとっては心の傷をさらにえぐられるようなことであり、それを言っている方々は「二次的な性加害者」になっているとも言えます。

私もこれまでに数人の性被害者の方々のカウンセリングをしてきました。
(男女どちらも)

「もしあなたが被害を受けたとしたら」と想像してみてください、と言ったところでそれは無理というモノなのですが、その当事者の方々にとって始めはそれを語ることすらつらくて、またそういう犯罪行為を許してしまったと思い込んでしまい、自分自身も責めてしまっていて、口に出すことをためらって来た方々がそれを口にする勇気は、私たちの想像を絶する途方もないモノだ、という事をまず理解して下さい。

そしてそこから「自分の人生」を取り戻していくにも長い時間が掛かり、中には最後までその呪縛から抜け出られないまま人生を終わってしまう方だっているはずなんです。

被害を受けた方々はもちろんのこと、被害を受けた方々とこれから真摯に向き合おうとしている方々や、そういう事があったことを受け入れた上でもその事務所を支えようとしているタレントの方々、それぞれがそれぞれの立場でこれから前を向いて歩き始めようとしている姿勢を笑ったり、バカにしたり、茶化したり、誹謗中傷したりすることは、故人が行なった犯罪に「加担」していることに他なりません。

ひとことで「ココロのケア」といったところでそれは簡単ではなく、これまで何十年も独りで抱えて来た方もいれば、未だにそれを言えずにいる現役の方もいれば、それを言ってしまったら今の地位を無くすのでは、と恐れているタレントさん方だって居るはずです。

この事件についていろいろと思うところはそれぞれあるにせよ、そういった方々のココロの傷をえぐるような暴言は少なくとも吐くべきではないし、どんな言葉が他人を傷付けるのかという事に想いを致すようにしてもらえたら、日本という国はもう少し生きやすく、人に優しい国になれるのに…とも思いました。

私は特にジャニーズのファンというわけでもないし、特定の個人やグループが好きというわけでもないのですが、性被害を受けて苦しんでいる方々がそこに居て、モノも言えずに苦しんでいる現実に少し風穴が開いたと感じている今、その穴を閉じて欲しくない、もっとそれを訴え出やすい環境にして欲しいとの想いから、少し考えを伝えました。


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須藤 勝則
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