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RISE174の雑な感想

 先日(2023年12月10日)、後楽園ホールで開催されたRISE174を観戦しに行ってきました。
 メインは鈴木真彦vs大﨑孔稀のRISEバンタム級タイトルマッチ。

 その大会について、試合内容というよりは試合に関係した(というか脱線した)雑なお話を少々と。

 独断と偏見と暴言と戯言と妄想です。
 悪しからず。

 


TEAM TEPPEN


 今大会にはTEAMTEPPENの選手が4人出場しました。いったい何人プロ選手が在籍しているんでしょうかね。おそらく日本で一番じゃないかな。

 ですが、ビジネスとしてのジムの勢いとは裏腹に、ここ最近RISEでの勢いはあまりあるようには感じません。どこからか祇園精舎の鐘の声が聞こえてきたような気がします。

 村上悠佳やTEPPENの為に作られたぽいRISE QUEENバンタム級のベルトは魁塾の聖愛が戴冠しました。
 那須川龍心はまだまだ王者には挑戦出来ないし、風音は引退。現在部屋頭の白鳥大珠も佐々木大蔵に対抗戦で完勝してさあここからだと思ったらフランスでKOされてしまいました(結果はノーコンテスト)

 最近だと、今大会で兄弟王者を誕生させたOISHI GYMをはじめ、宮﨑小雪や田丸辰を擁するTRY HARD GYM、RISE168から聖愛、憂也、政所仁、百花と勝利のバトンを繋ぎ続けている魁塾(WORLD SERIES 2023 Final Roundの聖愛vsテッサ・デ・コム戦が最大の試練になりそう)に、先月女王になったばかりの小林愛理奈が所属する、原口健飛率いるFASCINATE FIGHT TEAMとかは特に勢いがあるって感じがします。

 

 今大会、第1試合から第3試合までTEPPENの選手が続けて出場したんですけど、僕の事前予想は山﨑一央、岩永勝亮、柊真の勝利予想でした(TEPPENの1勝2敗)
 結果はTEPPENの3連勝。これ予想した人あんまりいなかったんじゃないかな。
 
 柊真vsブラックシーサー颯太朗は再戦だったのですが、初対戦後に柊真は那須川龍心が3RにKOした平山龍馬を1RにKOしていて、ブラックシーサーは前戦のNovo戦が微妙な試合だったので(OFGだとしても)、結構差が開いているんじゃないかと思っての予想だったんですが見事に外しました。
 
 勿論、個々の選手が頑張ったのが1番の理由だと思いますが、チームとしての対策がしっかりはまったという印象も同時にありました。

 どこか反撃の狼煙が上がったような気もします。
 勝次も移籍してきて、東と西に80年代生まれの主力選手が在籍することになりました(西は京谷祐希
 ベテランと中堅と若手のミックスがちょうどいいハーモニーを醸し出すまで、あともうちょっとというところかもしれません。もうカウントダウンは始まっているのかも。

 そして、やはり那須川会長の存在ですかね。セコンドではないものの最前列からほぼセコンドと変わらない声のボリュームで指示を出していたのも選手からしたら心強かったのかもしれません。


 
 え?あれ?
 2023年終わりまで試合会場の立ち入り禁止って書いてないかこれ?

 まあでもグレゴリオ暦の2023年なんて一言も書いてないからな。世界中にどれだけの暦があると思ってんだって話でさ。
 きっと僕ごときの乏しい知識では存じ上げない暦なんでしょう。

 ちょっと気になったのは1試合目の将太vs山崎を観ていたら、あれ?RISEって首相撲全面解禁になったのか?って一瞬錯覚するような攻防があったこと。
 ところが第2試合目では岩永がホールディングで減点されてしまいました。減点は仕方のないことだとは思うんだけれど、あまりにレフェリーによってジャッジが違い過ぎるのはどうなのかなと。もちろん人間がやることだし、競技である以上審判の癖等含めて試合をしなければいけないっていうことも重々承知なんだけれど、ちょっと差があり過ぎるんじゃねって思いました。

 

清水俊貴vs牧野騎士


 牧野騎士は前戦(RISE170)の指田戦を見て相当強いなと思っていて、清水俊貴のKROSS×OVERでの試合映像をいくつか見たんですけど、これはKOあるかもなと事前に予想していました。
 ただ前日会見を見たときに、多くの選手がありきたりなコメントをする中、清水がひときわ異彩を放っていたので、そう簡単にはいかないかもと牧野の判定勝利予想に変えました。

 牧野のボディの音は凄まじかったですね。
 僕は滅多に現地には訪れないし、次いつ会場に行けるか全く分からないんですけれど(おそらく暫く無理)、自宅観戦と現地観戦の大きな違いの一つに打撃音があると思っています。
 こればっかりは映像とは全然違います。
 現地でヤバい音だったと思って後で映像で見返すと意外にそんなことなかったりとか。
 ジャッジにも影響がある重要な要素だと思ってます。

 フォロワーさんが最後列まで響き渡った爆発音だったと僕にリプしてくれたんですけれど、僕も、これ内臓破裂したんじゃねえかと思うくらい恐ろしい音でした。
 ですが清水は耐えます。ボディは精神力で耐えましたが、エグい右フックをマトモにもらって意識を絶たれてしまいました。
 僕の今大会ベストKOです。
 牧野は次戦ランキング戦でいいんじゃないですかね。相手が受けてくれればですが。

 余談ですが、この日僕は普段から仲良くさせていただいているフォロワーさんと開場前にお茶をしていました。
 会話の中でその方は、tatsuyakayさんをお見かけしたことはあるけれど、サーバルさんはまだ見たことがないと仰っていたんですが、会場入りしてお互いの席に別れた後にその方の席を見ると、斜め前にサーバルさんがいらっしゃったので、LINEで「前の席にサーバルさんいますよ」と伝えたら、「佇まいがいいですね」と返信をくれました。

 確かにサーバルさんの試合観戦姿は、1つの物事を極めた職人や料理人や芸術家が醸し出す何とも言えない格好良さに近いものがあります。こればっかりは文章では巧く表現できないので仮にまだサーバルさんを見かけたことがない方は探してみてください(笑)

 SNSの世界では、某選手のマネージャーには罵られ、同じく某選手の会長・K-1公式・K-1元Pにはブロックされ、井上尚弥のことを呟けば石をぶつけられ、K-1のことを呟けば槍で突かれ、他団体の微妙なジャッジに物申さないとK-1信者に銃撃されている一見四面楚歌にも見えるサーバルさんが様々な方面から大いに尊敬されている理由の一つを垣間見ることが出来るかもしれません。

サーバルさん何かすみません(笑)

基山幹太vs陽勇


 陽勇は5戦目ながらその実力は既にランキング5~6位には位置していると思っていました。かなり完成度が高い選手なので、基山も大好きな選手の1人ではあるけれど、陽勇の勝利は堅そうだなと。ただ基山のメンタルは尋常じゃないので、判定勝利予想でした。これは割と自信のある予想だったし、多くの人がこの予想だったんじゃないかなと思っています。

 ただ試合内容は僕の想像以上に陽勇が強かったし、基山の精神力も想像以上でした。1R終了時点で足を引きずっていて、腹も効いていたはずだし、並の選手ならとっくに倒れていたと思います。
 陽勇のセコンドの「相手根性あって倒れへんから!」っていう声に「それな!」て心の中で叫んでいました。
 しかし、3R残り1分切ったところで遂にパンチでダウンを奪います。正直この倒れ方は(前のめりに倒れた)止めてもいいんじゃないかなと思ったんですが、基山はすぐに起き上がるし、目は死んでないしで、止めるのも難しかったのかもしれないですね。

 陽勇はこの勝利でライト級ランキング12位になりました。次戦は誰になるんでしょうか。ライト級ランキング8位~11位は既にこの階級で試合をしていないので、僕は一気に5位の塩川琉斗と見てみたいですね。




 

白石 舜vs戸井田大輝


 この試合は白石勝利予想でした。スピードもそうだけど、戸井田の前戦(RISE167)の濱田祐生戦は現地観戦したのですが、このときのパフォーマンスだとちょっと厳しそうだなと。
 実際、序盤は白石ペースで進んでいましたが、1R終盤に一気に逆転して、2R得意の撃ち合いに持ち込み、最後はハイキックでKOしました。
 結構驚きましたね。ここに来て明らかにキックボクサーとして進化している。いい環境で練習できているんだなと思いました。
 こうなるとセコンドでお馴染みの高い声を発していた良星の試合も久しぶりに見たくなっちゃいましたね。セコンド戸井田で。

 戸井田はマイクでOFGの試合をアピールしていました。そのことにすぐ山元剣心がSNSで対戦アピールをして、戸井田も返信していました。
 2人とも白石からKO勝利をしているし、この2人のOFGなんて絶対面白いに決まっていますが、僕としては通常のグローブでランキング戦が見たいかな。

 僕個人としてはRISEのOFGっていうのはあくまでスピンオフであり、通常のランキング戦に行き詰った選手に光を与えるものだと勝手に思っていて、それが主流になっていくのはちょっと違うんじゃないかなと。
 戸井田も山元もまだまだ上を狙える選手なので、ショートカットするのはちょっと早いんじゃないかな。まずは大通りを歩いて欲しいですね。
 余計なお世話ですが。


平野凌我vs拳剛


 平野の勝利予想ではあったんですが、1Rで決着がつくとは思っていなかったです。
 僕の周りにいた拳剛の応援でいらしていた方達が一斉に帰っていったのは少し胸が痛くなりました。勝利していたとしても、おそらく帰っていたんでしょうけれど、気持ちが違いますよね。

 今大会はチケットはそれなりに売れていたんじゃないかなと思うんですけれど、試合ごとに帰宅されるお客様が多かったような気がします。
 遠征してこられている方にはどうしてもタイムリミットがありますよね。しかもこの日は日曜日でしたし。
 ちゃんと調べた訳じゃなくてあくまでイメージなんですが、他所の団体と比べてもRISEは特に関東圏以外の選手が多いと思うので(この試合は岡山と兵庫の選手の試合だし、メインは大阪と愛知の選手の試合)、何か上手いこと出来ないかなぁとちらっと思いました。

 以前、那須川天心の試合を観た後メインを観ずに帰る客なんかボクシング界にいらない的なtweetがTLに流れてきたことがあるんですけれど、天心のファンなんか遠征してくる人達多いでしょ。そんなことも知らずに何言ってんだコイツと思ったことがあります。
 移動費含めて経済に貢献している人達と、薄暗い部屋で一切の金を落とさず、天心の悪口を書き込み続けることで精神の均衡を保っている奴とどっちがいらねえかって流石に明白でしょ。

 天心アンチの話はさておき(笑)

 僕は平野が結構好きなんですよ。

 アマチュア時代(中学生)に『藤原敏男杯』55キロ級決勝戦で那須川天心と対戦するも1RKO負け。
 その後、ABEMAの企画『VS那須川天心』挑戦者決定トーナメントで決勝に進むも現フェザー級王者門口佳佑に敗れる。
 RISEデビューするも篠塚辰樹にKO負け(今やったら勝つ可能性高いと思うんですけどね。まず実現は無理だけど)
 そこから実績を積み重ね、因縁の門口と対戦するも再び敗北。
 そこから3連勝して(当時SB日本フェザー級1位だった手塚翔太に階級を合わせた上で、KO勝利した試合は圧巻でした)遂にタイトルマッチへ進むも、当時の王者梅井に死闘の末敗れる。

 平野凌我のこの何度でも立ち上がる姿を見ていると、よく言われる現実の人生にやり直しがきかないなんてことは全くないんだなって、しみじみ思わされます。

 那須川天心が少年漫画の主人公なら、平野凌我はちょっと渋めの青年漫画の主人公です。
 是非、また門口に辿りついて欲しいですね。

 平野は以前安本戦をアピールしていましたが、今回はランキング1位の魁斗戦をアピールしていました。タイトルマッチへの最短ルートを選択したのでしょう。
 であれば
 魁斗(1位)vs平野凌我(3位)
 梅井泰成(2位)vs安本晴翔(4位)

 とか見てみたいですが、ここに寺山遼冴あたりが絡んでくると非常に面白いななんて妄想で思っています。

 

憂也vsフランクちゃん


 憂也は倒したかったでしょうが、相手があのスタイルだとさすがに難しいです。フランクちゃんの存在感はRISE初参戦とは思えないものでしたが。

 RISEミドル級現王者の海人は、ホームリングのSBでの試合やGLORYでの試合と忙しいし、本人が対世界を意識しているのは分かるんですが、やはり来年の上半期中には防衛戦をして欲しいです。
 でないとモトヤスックや憂也といった上位ランカーのモチベーション維持が難しいでしょう。この2人の上位にいるイ・ソンヒョンサモ・ぺティと試合をすることが難しいのであれば、僕はモトヤスックと憂也の再戦で挑戦者決定戦でいいのかなと思います。
 来年3月であれば初対戦時から1年は経つわけだし、前回も延長判定だったわけだしね。

 

稲井良弥vs石川泰市


 石川の勝利予想でした。それだけ石川が前戦(RISE170)で中島将志をKOしたのはインパクトがありました。
 ですが稲井が返り討ちに。

 さすがに中野椋太vs稲井良弥のタイトルマッチで誰も文句はないでしょう。
 ただやっぱりウェルター級の層の薄さは何とかしなければいけないですね。

 

加藤有吾vs有井渚海


 会場の空気が一変しました。
 盛り上がりだけでいったらメインをも凌駕していたと思います。
 これはRISEの藤波長州になり得るカードかもしれません。
 年一でやってもいいかなと思うくらい(笑)

 有井もいいパンチを加藤の顔面に結構入れていたと思うんですけれど、頭蓋骨がおかしいのか首がおかしいのか顎がおかしいのか分かりませんが、効いた効いてないとかいうより加藤の顔が動かないです。あれ、今パンチ入ったよね?って思うことが何度かありました。
 
 有井はこの試合に至るまで、かなりの準備をして来たんでしょう。
 ただ結果っていうのは一発目に出るとは限りません。これは格闘技やスポーツに限らずです。
 なので怪我やダメージが回復したら、すぐに試合をした方がいい。一番良くないのは自分がやってきたことに疑問を持ってしまって、また準備に時間をかけだすこと。これは負のループになります。
 有井のSNSを見る限りその点は安心しました。
 心も体も大丈夫そうだし、また近いうち試合が観れそうです。

 この選手はやっぱり特別な光を持っています。
 この階級にいる以上、次戦も厳しい相手になる可能性が高いですが、試合を重ねる中で自身が持つ特別な光の等級をどんどん上げていって欲しいと思います。

 大森隆之介もそろそろ復帰しそうですし、松下武蔵も台風の目になりそうですし、来年のバンタム級にも目が離せないですね。
 まずは誰が加藤有吾に勝つか。誰が加藤有吾を攻略するかですね。ここはひとつのテーマです。

 普通に鈴木真彦vs加藤有吾も見たいですけれど。

鈴木真彦vs大﨑孔稀


 鈴木真彦は歴代RISEバンタム級王者の中で最も長い在位期間を誇る王者です。この記録が今後破られる可能性は相当低いんじゃないでしょうか。
 ただ彼は長い期間、王者でありながら、RISE内でも同階級最強と思われることはありませんでした。

 那須川天心がいたからです。

 当然、鈴木も自身が最強であることを証明すべく那須川天心挑戦者決定トーナメントに出場しましたが決勝で志朗に敗れてしまいました。

 それでもファンは勿論のこと、多くの選手が鈴木真彦を変わらずリスペクトし続け、同階級の選手たちで、王者鈴木真彦だからこそ挑戦したいという声も少なくなかったと思います。

 そこには鈴木真彦の強さは勿論のこと、SNSでは寡黙、試合ではこれでもかってくらい雄弁、試合前後の相手選手に対する敬意を込めた発言等にみられる、昨今の格闘技界とは真逆の姿も理由の一つだったんじゃないかなと思います。

 僕も鈴木真彦はずっと応援してきました。
 鈴木真彦を応援するということは、そのファイトスタイル上、ときには胃がキュッとなったり、手の震えが止まらなかったり、精神衛生上あまり良くないことも多々ありましたが笑、それら全て覚悟の上で応援し続けてきました。僕にとって彼はそれだけ魅力がある選手でした。

 ここからはいつもの如く暴言と戯言と妄想になります。

 鈴木真彦は那須川天心との再戦に敗れた後、江幡塁、拳剛(防衛戦) 、江幡睦 、金子晃大、植山征紀(対戦時SB王者)と同階級の日本人強豪に勝ち続けます。
 この後に、志朗とワンマッチで再戦するのですが、僕はここはやはり5Rタイトルマッチで完全決着をつけるべきだったと思っています。
 このときのRISEの判断は、二股じゃないけれど、鈴木真彦、志朗どっちも好き、選べない、みたいで中途半端でした。

 志朗は鈴木真彦に勝利した後、ディーゼルレックに勝利して世界王者に輝くんですけれど、これも正直微妙だなと。
 まず、世界王者の意味があまりわからない。
 世界ランキングがある訳じゃないし、突然、初めてRISEルールで戦う選手を連れてきて、世界タイトルマッチですって言われてもねえ。
 天心は一回も防衛戦をすることが無かったですしね。

 まあロッタンはRISEの世界タイトルマッチきっかけに一気に有名になったし、ペットパノムルンはGLORY王者なので勿論、価値はありますし、16日に行われる

 この防衛戦なんかはお互いRISEルールを3~4戦経た上での対戦なので、滅茶苦茶価値があるとは思うんですけれど、少なくともバンタム級世界王者に関してはどうなのかなと。
 ディーゼルレックより強い(RISEルールで)55kgの日本人選手ってかなりいるでしょう。
 55kgのランカーは勿論のこと、53kgのランカーでも結構いるんじゃないですかね。
 実際、世界王者になった後の志朗は、54kg契約とは言えルベン・セオアネに苦戦(そのルベン・セオアネは政所仁にKO負け)、クマンドーイにはダウンを奪われ敗北と、僕の中の菅原文太がこう言っています。
 「世界王者って何かね?」と。

 一方、鈴木真彦としても、負けはしたけれど、vs志朗2は内容的にどこか消化不良な感じだったんじゃないかな。
 そして微妙な感じで敗れたけれど、それでも王者という立場でK-1との対抗戦に乗り込むことになります。これは振り返ってみると悪手だったなと(決まった当時は興奮していましたが)
 まずRISE内でトップではない、けれど王者という矛盾。そして王者という立場でありながら対抗戦で負けてしまった周囲に対しての申し訳なさとか。

 今回、僕は初めて鈴木真彦の対戦相手を応援しました。

 人一倍責任感が強いであろう鈴木真彦から王者という重い冠を一回脱がせてあげて、そこからリスタートして欲しいというひどく勝手な思いが理由の中の一つにありました。
 ですが、これはあくまで理由の中の1つであって、ほんの少しの割合です。
 圧倒的に大きな理由としては、旧KNOCKOUT時代から応援している大﨑兄弟のRISE史上初兄弟同時王者誕生は僕の悲願だったからです。

 ただ、そのことが実現するときには今まで応援し続けてきた鈴木真彦との対戦になる。その時が来るまで多くのことは考えないようにしてきました。どこか大事なことを先送りにするように。
 ですが、決定したときにはどんな手段を使ってでも必ず現地に観に行こうと大分前から決めていました。

 
 技術や引き出しの多さでは大﨑孔稀の方が断然上です。まあ、大﨑孔稀より技術・引き出しが多い選手なんて、RISE全階級の中で何人いるんだって話ですけども。

 逆に言ったら鈴木真彦より技術・引き出しの多い選手なんて沢山いるでしょう。
 直近で行ったら、イマッド・サヒの方が鈴木よりテクニックはありましたし。
 でも鈴木はKOしているわけです。
 それこそ鈴木真彦が尊敬する武尊よりも技術的に上の選手って少なくないですしね。

 技術的に上の方が勝つなら予想なんて簡単ですよね。
 でも、志朗は玖村に負けたし、玖村は金子に負けました。
 なので簡単な予想ではないことだけは自明だなと。

 ですが、仲の良いフォロワーさんには

 ・大﨑孔稀の首相撲が生きること
 ・結果的には加藤有吾戦を経たことが大﨑孔稀にはプラスになったこと(僕は寺山をKOした時点で挑戦させるべきだとほざいてました)
 ・鈴木真彦はボディを狙ってくること

 は伝えていました。まあ誰でも思いつくシンプルな予想ですが(どーでもいい話ですが、僕はなんドラという順位予想アプリをかなり真剣にやっていて、ガチで景品を狙いにいっているので、このアプリを始めてから事前予想をツイートするのを一切やめました笑)

 特に首相撲に関してですが、首相撲からのワンアタックに関しては大﨑兄弟が断トツに上手いです。
 掴んで攻撃してそのままクリンチに入るのではなく、攻撃してパッと離す。
 加藤有吾戦でも、寺山遼冴戦でもこの技術は存分に発揮されました。
 RISEルールを最も体現しているのが、元々肘有を主戦場にしてきた選手っていうのは何とも皮肉な話だと思います。

 以前も書いたことがあるんですけれど、鈴木真彦は勝利した試合でも、何かシナリオに則って演技をした役者というよりは、終始アドリブだった演者の印象があります(勿論、試合前プランはあると思うけれど)

 ですが、この試合の鈴木は違いました。
 しっかりプラン通りに戦っているように見えました。無理やり顔面狙いで倒しにいくのではなく、カーフとボディで削り続けて終盤勝負という、自分よりテクニックが上の相手に対して最も効果的な王道のありふれたシナリオに則る。耐久力・攻撃力は自分の方が間違いなくあるわけだし。
 
 これこれ。この鈴木真彦がずっと見たかったんだよ。
 距離感も抜群だったし、ここ数年で1番動きがいいように見えました。

 余談ですが、帰宅してからABEMAの映像を見直すと、実況アナが「鈴木もここ最近はこのカーフをよく出します」とか言っちゃってたんですが、鈴木真彦はRISEの中でかなり早い段階からカーフキックを取り入れていた選手です(まだカーフキックという言葉が一般的に浸透する前から)
 どの試合かは忘れてしまいましたが、当時解説の宮城大樹が、鈴木選手が足の下の部分を蹴っているローはなんなんでしょうかね?的なことを言っていて、カーフ知らないんだな、MMA見てないのか、そりゃあキックっていつまでもメジャーになれんわなと嘆息したことを何となく覚えています。

 閑話休題

 一方、大﨑孔稀からしたら、最も警戒すべきは序盤の1,2R。
 オフェンスよりもディフェンスに重きを置いていた(どちらかと言えば)感があるので、ほんの少しだけ距離が遠いです。
 ただ、徐々に首相撲やポジショニング、ディフェンスの良さ等でじわじわと差がついて来ました。

 鈴木真彦サイドの戦略は決して間違っていなかったと思います。
 以前の大﨑孔稀だったら4,5Rに仕留められていた可能性が高いです。

 煽りVにもあった通り、大﨑孔稀は決して順風満帆でここまで来た訳じゃありません。
 これまで数々の失敗をしてきました。
 でも失敗しない人間なんていないじゃないですか。
 大事なのはその失敗を無意味なものにしないということ。
 月並みですが、あの事があったから今の自分があるという風にする為には、その後の自分の行動が大事なわけです。

 タネヨシホにボディで逆転KOされたことも、RISEデビュー戦で政所仁にダウンを奪われ負けたことも、計量オーバーしてしまったことも、志朗に延長Rで勝ち切れなかったことも、それらすべてを教訓とした結果が今回、最高の状態の鈴木真彦相手にしっかり差をつけて勝ち切れたわけですから。

 
 そして、今回の試合を観たときに鈴木真彦はまだまだ強くなると思いました。
 悔しいのは勿論だと思うけれど、5Rフルに戦って、RISEでのワンマッチでは天心や志朗に負けた時よりも納得の敗北だったんじゃないのかな。
 マジでここからです。確実に次戦を見たいと思わせる動きでした。

 金子との再戦はどうなるかわからないし、再起戦は誰になるかわからないけれど、個人的にはディーゼルレックとやって志朗より早く倒して欲しい。
 他にはクマンドーイvs田丸辰がどういう結果になるかわからないけど、クマンドーイとも見たい。志朗との比較として。

 これからは団体を背負うとか所属ジムを背負うとかは一切忘れて、誰に対して気兼ねすることなく、鈴木真彦の旗を振りながら問答無用で爆撃しまくって欲しい。
 爆撃しまくったその先にはリベンジしたい選手との再戦が見えてくるはずです。

 今大会、RISE史上初の兄弟王者が誕生しました。
 でもこれはあくまで序章にすぎません。
 なにせRISEの53kgと55kgですから。ここからが超大変なんだから。
 いつまでこの政権を維持できるか。

 まずは16日に再起戦がある兄、大﨑一貴。
 そして、来年には防衛戦です。

 過去1、最強のチャレンジャーですよ。マジのマジで過去1番。
 僕はこれ肘無しキックボクシング53kg世界一決定戦だと思ってます。

 大﨑一貴vs政所仁
 
 
 この試合のことを考えだすと、気が触れてしまいそうになるので、まずは一旦忘れますけども。

 兎にも角にも、大﨑兄弟おめでとうございました。
 感動をありがとう。


 この写真を見ながら妻がしくしく泣いていました(笑)
 

(了)
 
 


 

 
 


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