上手な「並」の先生は掲示物の扱いがうまい。
掲示物は厳選して貼ろう
教室にはさまざまな掲示物が貼られ、生徒たちの目に留まるよう工夫がなされています。しかし、ふと周囲を見渡してみると、教室の壁や黒板周りに掲示物があふれていることはありませんか?掲示物は、教育や学びをサポートする重要な手段ですが、数が多くなりすぎると逆効果になることもあります。ここでは、「掲示物を厳選して貼る」ことの重要性と、効果的な掲示物の活用について考えていきます。
掲示物が多すぎませんか?生徒への影響を見直そう
教室の掲示物は、学習の補助や興味関心の喚起のために役立ちます。しかし、掲示物が増えすぎていると、生徒にとって情報の洪水のように感じられる可能性があります。特に、色とりどりのポスターや手書きの掲示物が大量に貼られている場合、何が重要なのかが分かりにくくなるだけでなく、落ち着いて集中する環境が損なわれてしまうこともあります。
また、視覚的な情報が多すぎると、脳は重要な情報とそうでない情報を区別するのが難しくなり、注意が散漫になりがちです。特に幼児や小学校低学年の生徒にとっては、周囲の情報を適切に取捨選択する力がまだ未熟ですので、掲示物の多さがかえって混乱を引き起こし、誤った学習や不安を招くこともあります。掲示物は、必要な情報をシンプルに整理して届けるという目的に従って、厳選することが大切です。
情報の誤学習を防ぐために
掲示物が多すぎると、生徒が意図しない情報を「誤学習」してしまう可能性があります。例えば、複数の算数や国語に関する掲示物があるとき、それぞれのテーマがどれだけ違うものであっても、生徒が混乱して誤ったつながりを学習してしまうことがあります。また、目立つ掲示物ほど、生徒の記憶に残りやすいものです。そのため、同じ内容を学習するにしても、強調するポイントがぶれてしまい、生徒が覚えてほしい内容よりも目立つデザインやイラストに意識がいってしまうことも少なくありません。
また、掲示物が増えることで、情報の取捨選択が必要になり、生徒が「どれが重要か」「何を今見るべきか」と迷う場面が増えます。その結果、重要な情報が埋もれてしまったり、生徒が必要なときにその情報に気づけなかったりすることもあります。掲示物を厳選し、見せるべき情報に的を絞ることで、生徒が本当に必要とする情報を正しく受け取れるように工夫することが大切です。
掲示物が響く期間は意外と短い
掲示物が生徒に与える影響は、貼ってからしばらくの間だけです。最初は新鮮に感じられても、長く貼られていると生徒の意識から外れていきます。たとえば、掲示した当初は興味を持って見てくれても、2週間も経てばほとんどの生徒が意識しなくなってしまいます。これは、「見る」という行為が慣れとともに減少してしまうためであり、掲示物がただの「背景」になってしまうからです。
この点を考慮すると、掲示物の入れ替え頻度も大切なポイントです。同じ掲示物を長期間貼り続けるのではなく、内容に応じて定期的に入れ替え、目新しさを保ちながら学びへの関心を引き続けるように工夫しましょう。また、季節ごとや学期ごとにテーマを変えることで、生徒たちが「今の学び」について常に意識を向けられる環境が整います。
ごちゃごちゃした掲示は集中力を妨げる
教室は学習するための場であり、集中して取り組める環境を整えることが重要です。掲示物が多すぎると、視覚的な刺激が増え、生徒にとっては落ち着きのない環境と感じられることがあります。特に壁一面にポスターや紙が貼られていると、集中を要する場面での静けさや安定感が失われてしまいます。
研究でも、視覚的に過剰な刺激があると、集中力や記憶力が低下する傾向が示されています。教室は、生徒が安定した気持ちで学習に集中できる場所であるべきです。掲示物をあまりに多くすると、生徒が余計な情報に気を取られてしまい、学習の妨げになることもあります。掲示物は厳選し、教室内がごちゃごちゃした印象にならないように心掛けましょう。
効果的な掲示物にするポイント
では、どのようにして掲示物を厳選すればよいのでしょうか?以下のポイントを参考に、効果的な掲示物の活用を心がけましょう。
学習のテーマに合わせる - 掲示物は、今学んでいる内容やテーマに合わせて貼るようにします。単元が変わるタイミングで掲示物を入れ替えることで、生徒がその時期の学びに集中できる環境を作れます。
掲示期間を意識する - 掲示期間を定め、一定期間が過ぎたら新しいものに入れ替えるようにしましょう。こうすることで、掲示物の鮮度を保ち、生徒の興味を引き続けることができます。
生徒と一緒に作成する - 掲示物を教師だけで作るのではなく、生徒と一緒に作成することも効果的です。自分たちで作った掲示物は関心を持ちやすくなり、学びの一部として捉えやすくなります。
そもそも掲示しない
日々の宿題やノートの写しなどを掲示する先生がいますが、非常に几帳面
な先生ならよいですが普通の人には毎日その作業をするのは自殺行為で
す。たぶんそのままになったりできない日が出たりして、だんだん劣化し
ていくことになると思うので、最初から無理なことはやめましょう。
まとめ:掲示物は目的を持って活用しよう
教室の掲示物は、学びの補助として非常に効果的な手段ですが、過剰になると逆効果となり、学習環境を損なう可能性があります。掲示物を厳選し、適切なタイミングで入れ替えることで、生徒たちが集中して学べる教室環境を維持しましょう。また、掲示物の内容や量に工夫を凝らし、必要な情報が伝わるようにすることも大切です。
教員として、「何を伝えたいのか」「どの情報が今必要か」を考え、掲示物の配置に気を配ることが、生徒の学習効果を高め、教室内の落ち着いた環境を作る第一歩です。