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円の面積を求める方法(3)

(1)~(3)に渡って半径$${r}$$の円の面積を求める方法を考察します。

ここで、直径$${2r}$$と円周の比を定数$${\pi}$$とします。
また、角度は全て弧度法によるものとします。


座標平面上で、円の方程式を積分することで円の面積を求めます。
円の中心を原点$${O}$$に置いたときの、$${y \geq 0}$$部分の半円の面積を、極小長方形の集積として求め、最後に2倍して円の面積を求めます。
円周上の点$${P(x, y)}$$は原点から等距離$${r}$$を保って動くので、点$${P}$$の集合、即ち円の方程式は$${x^2 +  y^2 = r^2}$$で与えられます。
今回は面積$${y * dx}$$の長方形の集積として求めるつもりですので、半円の方程式を$${y=}$$で表します。
$${y \geq 0}$$部分を考えていますので$${y = \sqrt{r^2 - x^2}}$$となります。
この関数を区間$${[-r, r]}$$で積分しますので、半円の面積は$${\int_{-r}^{r}\sqrt{r^2 - x^2} dx}$$です。
根号内部の式から$${1- \sin^2 \theta = \cos^2 \theta }$$が連想されますので、積分変数を$${x = r \sin \theta}$$として置換します。
このとき、積分区間は$${[-\frac{\pi}{2}, \frac{\pi}{2}]}$$に対応します。
$${\frac{dx}{d\theta} = r\cos \theta}$$を踏まえて置換積分を実行すると
$${\int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{r^2 - (r\sin \theta)^2}\cdot r\cos \theta d\theta}$$
$${=\int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{r^2(1-\sin^2 \theta)}\cdot r\cos \theta d\theta}$$
$${=\int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{r^2\cdot \cos^2 \theta}\cdot r\cos \theta d\theta}$$
$${=\int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}}r \cos \theta \cdot r\cos \theta d\theta \, (-\frac{\pi}{2}\leq \theta \leq \frac{\pi}{2}\Rightarrow r \cos \theta \geq 0)}$$
$${=r^2 \int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}} \cos^2 \theta d\theta }$$
$${=r^2 \int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}} \frac{1 + \cos2\theta}{2} d\theta }$$(半角の公式)
$${= \frac{r^2}{2} [ \theta + \frac{\sin 2\theta}{2}]_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}}}$$
$${=\frac{\pi r^2}{2}}$$
半円の面積が$${\frac{\pi r^2}{2}}$$ですので、2倍して円の面積は$${\pi r^2}$$となります。


三角形の集積として円の面積を求めます。
円周上に2点$${P(r\cos \theta , r\sin \theta), Q(r\cos{(\theta + \Delta \theta)}, r\sin {(\theta + \Delta \theta)})}$$(ただし$${\Delta \theta > 0}$$)を取ります。
三角形$${OPQ}$$の面積を求めます。
証明は割愛しますが、2ベクトル$${(a_1, a_2),(b_1, b_2)}$$が作る三角形の面積は$${\frac12 |a_1b_2 - a_2b_1|}$$で求められますので、三角形$${OPQ}$$の面積は
$${\frac12 |r\cos \theta \cdot r\sin {(\theta + \Delta \theta)} - r\sin \theta \cdot r\cos{(\theta + \Delta \theta)}|}$$
$${=\frac{r^2}{2} |\cos \theta \sin {(\theta + \Delta \theta)} - \sin \theta  \cos{(\theta + \Delta \theta)}|}$$
$${\Delta \theta > 0}$$のとき、絶対値が外れて
$${=\frac{r^2}{2} (\cos \theta \sin {(\theta + \Delta \theta)} - \sin \theta  \cos{(\theta + \Delta \theta)})}$$となります。
(ここの詳細な証明も割愛します)
微分の定義式が現れるように式変形します。
$${\frac{r^2}{2} (\cos \theta \frac{\sin {(\theta + \Delta \theta)- \sin \theta}}{\Delta \theta} - \sin \theta  \frac{\cos{(\theta + \Delta \theta) - \cos \theta}}{\Delta \theta})\Delta \theta}$$
$${\Delta \theta \to 0}$$とすると(正確には右側極限)
$${\frac{r^2}{2} (\cos \theta \sin' \theta - \sin \theta \cos' \theta)d \theta}$$
$${=\frac{r^2}{2} (\cos^2 \theta  + \sin^2 \theta)d \theta}$$
$${=\frac{r^2}{2} 1d \theta}$$
$${=\frac{r^2}{2} d \theta}$$
この極小三角形を$${\theta}$$の区間$${[0, 2\pi]}$$で積分すると円の面積になります。
$${\int_0^{2\pi}\frac{r^2}{2} d \theta}$$
$${=\frac{r^2}{2} [\theta]_0^{2\pi}}$$
$${=\frac{r^2}{2} (2\pi - 0)}$$
$${=\pi r^2}$$


三角形の集積として円の面積を求めます。
6では三角形の面積$${\frac12|a_1 b_2 - a_2b_1|}$$をもとに計算しましたが、7では三角形の面積$${\frac12 ab\sin \theta }$$をもとに計算します。
円を$${n}$$等分します。
円における、頂点が円の原点、等辺が半径$${r}$$、頂角が$${\frac{2\pi}{n}}$$の二等辺三角形の面積は$${\frac12 r^2 \sin \frac{2\pi}{n}}$$です。
円全体でこの二等辺三角形は$${n}$$個あり、全二等辺三角形の面積の合計は$${n \to \infty}$$のとき円の面積に収束します。
$${\lim_{n \to \infty} n \cdot \frac12 r^2 \sin \frac{2\pi}{n}}$$
$${= \frac12 r^2 \lim_{n \to \infty} n \sin \frac{2\pi}{n}}$$
$${= \frac12 r^2 \lim_{n \to \infty} 2\pi \cdot \frac{\sin \frac{2\pi}{n}}{\frac{2\pi}{n}} }$$
$${= \frac12 r^2 \cdot 2\pi \cdot 1}$$ ($${\lim_{x \to 0}\frac{\sin x }{x} = 1}$$を使いました)
$${= \pi r^2 }$$


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