くらもとの書き物その2

あいさつ

 どうも、くらもとです。結局、noteは自分の書いた小説の補間と保管に使うことにしました。全く書くことが無いのに週一で文を書くなんて無理なんだ、と強く実感しましたね。
 最近はいくつか小説を書いて、短歌や俳句も詠んでいます。文芸づいていると笑ってしまいますね。現生き死人(うつついき しびと)というペンネームを考え、ウキウキもしています。現を生きるのに死人、人であるのをやめたい気持ちがあるのに、結局人である無情をペンネームにしているので、作った本人はいたく気に入っています。
 前回までに、『天国の恋人』まで紹介したので、次は『永劫の夢』『睡蓮の印象』『おにんぎょうあそび』『こどくなマラソン』『たわむれのむれ』『アリとキリギリス』の6作について書こうかなと思います。よろしくお願いします。

永劫の夢

 これは夢の中の女に恋をする話なのですが、夢の中の女というより、その世界に恋をしているんですね。この夢の世界には元ネタがあるのですが、もっと素敵な世界ですよ、ええ。それはそれは、もう、とってもいい世界です。

睡蓮の印象

 ある日、国立西洋美術館に行ったときの話です。ほぼ実話ベースですが、唯一実話と違うのは、あんな女性は居なかったということですね。
 実際、それまで印象派って好きじゃなかったんですけど、好きになりました。好きになった経緯も一緒、あの空間のあの雰囲気は、目に焼き付いたようで、ぐずぐずに溶けてしまう。人生における記憶も、そうなんです。そうして溶けたものを絵にしたらああなるな、と思うと、ノスタルジーが勝手に刺激されて、好みだなあと考え直すようになりました。

おにんぎょうあそび

 ミステリー作品を読んでいて、自分も叙述トリックをしたい! と思い作ったのがこの作品。結局、叙述トリックになっていないというか、病人一人で話してたなんて、わかりにくくてわかりやすいし、もはや本筋と関係なくて面白味もなかったです。狂人と病人は違ったというのもわかりやすいので、トリックにもならなかったです。
 そういう苛立ちが後半の私小説パートに出ています。おにんぎょうを愛でていた過去の純粋な自分は今もう無く、人形を壊す意地悪さが出ている。私の小説のキャラが味気ないのは、文章力以前に愛が足りてないのだと痛感します。

こどくなマラソン

 スイミーをなにかのきっかけで読んだので、それをモチーフにした小説を書きました。全く陰鬱で、救いがない嫌な話です。いじめは嫌いですが、いじめられるようなメンタリティもあまり好きではないので、いじめられっ子の遠藤は嫌な奴です。
 自分的に復讐は、フィクションの上ではあまり好きではないというか、復讐された側も嫌な思いをするべきという気持ちがないわけではないので、遠藤もその対価を払っているのでしょう。

たわむれのむれ

 チェーホフの『いたずら』(新訳版)を読んで、すごい好きだったので似たような小説を書いてしまいました。
 ああいういたずらをされて、それでも家庭を築けたナージェンカに対する、私の嫉妬というか、否定がここに詰まっています。
 小説内に出てくる「黄金の病」というワードは、私自身すごい気に入っていて、私の持つ恋愛というものを簡潔に表している気がしてとても好きです。
 あと、この小説を読む前にぜひチェーホフの『いたずら』を読んでほしい、そう思いますね。

アリとキリギリス

 有名寓話のアリとキリギリスをパロディーしたのがこの小説です。最近、アリとキリギリスの、アリこそ偉いという説教が、己の怠惰からかわからないけれど嫌いになってきて、なにがアリだキリギリスだと、資本主義社会への嫌がらせを投げてしまいました。

 本筋とは全く関係無いですが、アリとキリギリスで、アリはえらい、アリになれと言う人々は、私の作る『アリとキリギリス』ではキリギリスの役回りの人ばかりです。バカみたいだと思います。あの話で、キリギリスの良くない点というのは、「労働をするアリを馬鹿にすること」と、「キリギリスが生への渇望を持っていること」なのです。
 「労働をするアリを馬鹿にすること」なんて、r>gなどというものが成り立つ資本主義自身が行っていることなのに、働くことが尊いなんて、馬鹿にしていると思います。
 「キリギリスが生への渇望を持っていること」これは、人間社会の通念である、「自殺しないこと」と同義です。これも馬鹿らしいというか、芸術を捨て、労働者として生きることを選んだキリギリスは、音楽家としての精神を殺されていると思うのです。生きることは大切ですが、精神を壊され夢を壊されても生きる価値はあるのでしょうか。

おわりに

 2022年は、何個か小説を書きました。いくら掌編で、お世辞にもいい出来とは言えない小説だとしても、意志薄弱の私がこうもやっているのは、文を書き、文を読む。そうしているのは楽しいなと思うようになったからです。
 読んだり書いたりしようと思うと、世界の見え方が変わってきます。これも楽しい。空の色は何色だろうと思うことすら楽しく見えます。皆さんもぜひやってみてほしいです。俳句でもいいんじゃないかと思います。俳句の方が難しいけど。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?