8/20 『PSYCHO-PASS サイコパス 3〈B〉』を読んだ
これを読んでる最中に、『PSYCHO-PASS』新シリーズが始まることが発表された。今のペースでいけばちょうどノベライズ作品を読み終わる頃に新シリーズを迎えられそうだ。なんだかんだベストなタイミングで事を運んでいけた。俺にもインスペクターの才能があるかもしれない。
今巻でのメインは都知事選挙編、この話でのキーパーソン?であるAI「マカリナ」は、小宮カリナ限定とはいえ「限りなく人間に近いAI」ということで、これまた並行して読んでる『BEATLESS』との相関性を感じさせた。マカリナのやっていることも言ってみればアナログハックだったしな。
また、各キャラクターのプロフィールや来歴などが前巻より更に多く描かれてて読み応えがあった。廿六木が思ってたよりプリンスだったり、小宮カリナも思ってたより超人的だったり。灼のメンタルトレース適性しかり、免罪体質者以外にも結構なトンデモ体質人間がいるんだよな、PSYCHO-PASS世界。その辺、あんまり認知されてないような、されたらされたで世界観も変わりそうな。
敵側(もしくは非公安局側)の心理描写もノベライズならではの醍醐味でもあり、特に榎宮の梓澤評が辛辣で笑った。でも実際正確ではあった。梓澤廣一の強みは、その安っぽさ、色相の普通さにこそある。免罪体質者のような真っ白でも、度を越した漆黒でもなく、測定不能な透明人間でもない。普通に測定でき、その値もごくごく普通、普通に頭が良いだけ。そうした人間が結局のところ一番厄介であるという真っ当にして面白くもない事実……それが今回の敵であった。いかんせん最初の槙島が稀少性カリスマ性ともにカンストなのでヴィラン格や人気は依然として単独首位なんだけど、社会派アニメ(社会を取り扱ったアニメ、ぐらいの意)のシリーズものとしては、突き詰めていけば当然ぶち当たる相手だったんだな。
それにしても灼のメンタルトレースは、思ってた以上にリスクの高い技術だったようで、もう中盤くらいからずっと現実と幻の区別が曖昧になっていたじゃないか。それでいて単独潜行にもあまり躊躇がないし、今後が心配だ。『3』においてではなく、その先の新シリーズにおいての今後が。肉体が負担に耐えきれなくなってシビュラ化、みたいな末路とかもあり得る。
最後……というか毎巻の冒頭と最後が常守朱の独白でサンドされるが、『3』の間には結局朱ちゃんが何故殺人を犯したのか明らかにならないので、そのへんちょっとどうかとは思う。物語のナビゲーターが目的地に着かずして案内を終了してしまうのだから。『3』への賛否の否のうちいくらかはそれが原因だったんじゃないかな……まあ色々事情はあるのかもしれないけど。とはいえようやく新シリーズも正式発表されたことだし、明かされなかった空白も明らかになりそうなので、安心しておさらいに励めるというものだ。