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6/28 『七つの魔剣が支配するⅪ』を読んだ

休息と調息のⅪ巻。物語としても学園生活としても後半戦にさしかかるにあたって、これまでの日々に対する労いと、これからの日々へ向けての覚悟を、各々が各々なりに定めていく。
まずはゴッドフレイ先輩の卒業。この手のキャラ……主人公たちの良き手本となる先達が、五体満足で無事に卒業できるというのも珍しい。いや無事とは言っても、オフィーリアしかりカルロスしかり、それなりに喪ってきたものはあるだろうが。そのへんはきっと、同時発売の外伝で語られているのだろう。
そして始まる帰省旅行。学園の外の世界を見せたいとの理由からテレサも一行に加わるが、我々読者もキンバリーの外についてはまだまだ知らぬことばかりなので興味深い。この後のアールト家での場面でもそうだけど、作品の世界観や歴史、ある事物にまつわる経緯などの説明を、語りや講義のような形式で巧みに「聞かせる」のが、この作者は上手いよな、と思う。まさしく面白い講義を聞くように聞ける。分量も多すぎず少なすぎずちょっともう少し聞きたいと思わせる、いい塩梅でお出ししてくる。
あちこち遊び回ったりはっちゃけ倒したりしつつ、仲間内の関係性でもやもや曖昧にしていた部分に切り込んで、気持ちを整頓していく。カティはオリバーへの自分の想いにある程度の区切りをつけたようだが、もう少し打ち明けてしまってもよかったと思うぞ、シェラとか見ると。シェラとか。
また、今回は学園外での鉄火場として、普通人との諍いと異端の魔法使いとの戦いという、対照的な2つの戦闘が描かれる。このうち普通人との戦いは、正直まるで勝負にならない。魔法使いと普通人の間には、圧倒的な差があるのだな。でありながら、魔法使いが普通人を奴隷化したりとか、いわゆる能力者と非能力者の衝突みたいなものがあまり描かれないのは、本文中に言われていたように出生率の問題と、その矛先は代わりに亜人種に向けられているからか。
翻って異端魔法使いとの戦闘は、同じ人間、魔法使いでありながら、まったく異なるシステムで襲い来るので興奮する。また呪文の表現が、言葉はわかるけどルビは黒塗りというのが、異端と戦い続けてきたデメトリオ先生の呪文と真逆になっているあたりがしれっとエモい。他の異端の戦闘スタイルや呪文構成なども全部違ってくるのかな、期待しちゃうな。
新学期からは学園側も手を拱いているだけでなく新たな一手を打ち出してきたりなど、新局面が訪れそうなところも期待が膨らむ。あと、アニメも始まるし。要チェックやね。

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