12/4 『筺底のエルピス 6 四百億の昼と夜』を読んだ
恒例の「前巻からずいぶん間が空いてしまった」……だが、本シリーズに関しては、今巻と次でもう最新刊に追いついてしまうので、どのタイミング、どのペースで読むべきかと慎重になっていた。と言って別に今6巻を読んだのにたいした理由などはないのだけど。いい感じで……次の巻を読む頃に最新刊の情報が出ているように、なんかうまくいってくれないかな。
ともあれ、今巻。前巻で新たなメンバーと新たな体制を築いて、世界と歴史、そして宇宙に秘められた謎に迫っていくぞと気炎を上げていたら、今巻でその結構な部分が明かされていき、展開の速さに驚きながらも興奮してもりもり読んだ。はっはぁフゥンなるほど、阿黍師匠はほむらちゃんだったか……とか、哀れエンブリオ、どんだけ強くとも人格に魅力がないとメタられて新技お披露目のマトにされる運命だよな……とか、プロフェッサーひとりでどれだけ歴史上の人物担ってんだ、これじゃFGOできないよ……とかまあ、情報量が多い多い。前巻までの情報を思い起こしながら、新情報を取り込みつつ整理していくのが大変で気持ちいい。忘れてる部分も程よくおさらいしてくれるので助かる。
そんなんであらためて思うこの作品の魅力というのは、やはり停時フィールドとゲートという道具の応用力。人類の歴史がその起源から外宇宙の超知性によって監視されてて、影から操作誘導されていたというネタはSFにおいてはわりと珍しくもないのだろうけど、そのネタの為の小道具として持ち込まれたそれらが、見慣れた設定を一変させる。例えるなら踏破者はそれなりにいもする世界一の名山に、見たことない登山道具で、前人未踏のルートを登っていく様を見ているような。それがこのワクワク感か。
世界の秘密が暴かれたところで、襲い来る危機もギアを上げていよいよ最終章に突入した感がある。プロフェッサーは圭に殴られたあたりから、善も悪も超越して使命に邁進しながらも感情を枯れさせつつある黒幕キャラ特有の、後進の可能性に枯れかけた感情を呼び起こされて成仏しそうなムーブしてるなと思ったら案の定退場しかけたけど、そこは歴戦のプレイヤーとしてほぼチートみたいなルールの悪用を見せてくれたので安心した。伊達に歴史上の面白偉人コンプ(推定)してないな。毎巻毎巻、絶望の未来を提示しつつもちゃんと希望のひと欠片を残すことを忘れない構成に今回も大変楽しませてもらった。次巻はどんな災厄が飛び出るのかな? いやもう出てたな……最強キャラがチート装備埋め込まれてる様子が。全くどうなっちゃうの。