9/27 『短物語』を読んだ
これまで様々な折に様々な媒体で書かれた短々編を一まとめにした物語集。短い物語だからミジカナモノガタリ、なんて、相変わらず洒落てるなとは思ったものの、収録作のボリュームとスパンからして、最初期からシリーズを追ってないと何が何やら、どこがどこやら、誰が誰やらとまではいかないまでも、わからない人は多いんじゃないだろうか……どこが身近だ。
しかし最初期からシリーズを追っていた自分はしっかり楽しめたのでよかった。初出一覧を見るに、実はけっこう既読のものとかあったけど、それも随分昔のことだったりするので新鮮に読めた。こうしてざっと読むと、これまでの物語を振り返りにもなっていて、思い出に浸れる。その上でネタバレにも配慮されているので、さっきはああ言ったけど、だいぶ長期化した『物語』シリーズにこれから入りたいんですけどという人にもおすすめしてもいいのかもしれない。いやどうかな。全39編のなかで最も紙幅が多く割かれているのが「かれんブラッシング」と「つきひブラッシング」では何か誤解を与えるかもしれない。
しかし39編。短々編とはいえよくもまあこれだけ、シチュエーションもほぼかぶることなく、それぞれクローズアップされたキャラクターの魅力を引き出しつつお話としてもいい具合にまとめたエピソードの数々を生み出したものだ。西尾維新、短々編の名手だな。それでいてまだまだ短々編は残っているというしこれからも増えていくという。いまに、365日毎日短々編ができてしまうのではないか。それこそ真に身近な物語と言えるだろう。