5/1 新八角『ヒトの時代は終わったけれど、それでもお腹は減りますか?』を読んだ
面白かった。
作者買いしたはいいものの、正直に言えば、グルメものとか料理ものって俺あんま響かないというか、小説や文章で料理や食事の描写されてもあんまよくわかんないんだよな……とやや不安だった。ナニにナニを合わせればナントカ味が引き立ってナンツァラ、みたいなことを言われても「はーん…………はーーん……?」て感じでピンとこない。料理もしない、基本偏食のジャンクバカ舌なので。ぶっちゃけ作者の前作『滅びの季節に《花》と《獣》は』でも料理のシーンなどあった気がするが、それもピンときてなかった。
しかしそれが今作においてはどうだ、調理シーンはわくわく楽しかったし、出来上がった料理も美味しそうだなと思った。よりにもよって生態系が上にも下にもブチ抜かれた世界でのあからさまにマトモでないグルメSFファンタジーで、その面白さがわかるとはいかに。おそらく、それぐらいの非現実が挟まることでようやく、「『食べれない』が『食べれる』に変わった!」くらいにまで解像度を落とすことでようやく、料理の楽しみを理解できたのでないかと思う。そういえば『ダンジョン飯』は面白く読んでたし、それも同じロジックであろう。
あとは、主人公二人の関係。二人の食事に始まり、二人の食事に終わる。繁栄の時期が過ぎ去り、いつ吹き飛んでもおかしくなくなったヒトの世で更に繊細な関係を、食事でもって繋ぎ、縒り合わせる。続巻も予定されて、引き続き楽しめそうだ。
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