3/13 『横浜駅SF』を読んだ
面白かった。
以前から気になっていた作品ではあったけど、いかんせん横浜にも横浜駅にもとんと縁が無いので読んでもちゃんと楽しめないんじゃないか、「横浜駅を知らなくても楽しめますよ!」と宣伝されてもご当地ネタとかあったらしゃらくさく感じてしまうんじゃないか、と思い敬遠していたのだけど、少し前に横浜に行く機会があったので、駅併設の書店で買った。ちょっと乗り降りした程度で買っていいんならとっとと地元で買えよという話だが。
そんなんで読み始めてみれば、まあ横浜駅を知らずとも問題なく楽しめたし、というかむしろ横浜よりも全然おらが地元が舞台となっていたのでびっくりだった。なんだこりゃ、さっさと読めばよかった。主人公が目指していた山も中学の時に登山で登ったわ。エスカレーターこそ無かったけども、高度が上がって息が苦しくなり足を動かすのも辛くなっていくって描写にわかるわかると頷いていた。なんなら今までに読んだSF小説の中でいちばん実感を持って読めていたかもしれない。
内容的には、あとがきでも言われていた『BLAME!』の難易度やさしめ版という感じで、危険はそこまでなく(外の方が多い)電気も食べ物も豊富なのに、殺伐感が漂っている。
1~3章の主人公と4章の主人公がほんのひと時交錯し、大した交流も経ずに去っていく様も、殺伐としつつどこか牧歌的でよかった。横浜駅という「都市」が無限に拡がってはおらず、包むカタチであったからかもしれない。続編じゃもっと全国あちこちの横浜駅が見られるようなので、そちらもちょっと読んでみたい。
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