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8/25 『この平坦な道を僕はまっすぐ歩けない』を読んだ

事件が起きないエッセイシリーズ3冊目、オビに「ついに事件が……!?」みたいな思わせぶりな文句が書いてあるからなるほど結婚のことを書いてるんだなと思ったら……書いてねえ! 畜生釣られた! まあ調べてみるとあの電撃結婚発表から2、3ヶ月後がもう連載の最終回だったし、もしかしたら既に最終回分まで原稿を提出していたのかもしれない。書く余地がなかったか。いやでも微妙だけど……書き下ろしがあったんだから書こうと思えば書けたのでは……とするとあえて書かなかったのか。あくまで事件が起きないシリーズとして掉尾を飾ったか。
ただ、改めて見返すと、事件の起きない人生、平坦な道と言いつつ、実はいろんなことに気軽に挑戦している。思いつきで旅に出てみたり、ヘッドスパや鍼治療など、俺が田舎者なだけかもしれないけどマンションの一室みたいなところで営業してるような店にあんな気軽に行くものだろうか。怖くて行けないよ。案の定あんまりいい目にあってないし。事件が起きないだけで、アクションはとっても豊富なんだよな。……いや、めちゃめちゃ鍼挿されて流血沙汰に遭ってるのはさすがに誤魔化せないよ。シンプルに事件だよ。
あと、1冊目や2冊目でどうなってたか覚えてないが、芸人の先輩や同期、後輩とのエピソードを話す時は可能な限り相手をぼかしているのだな。「仕事の先輩」みたいな言い方をして、芸能人という印象を隠している。ラジオなど聴いていれば、誰々のことだなとかなんとなく推測つくが。逆に、中高生時代の友達とかはがっつり名前を出している。芸能人の名前などを出すと日常性が薄れるからだろうか。今やお昼の顔となって毎日のように芸能人と会ってトークする生活を送っているとなれば、鍼治療の件はさて置くとしてもさすがに事件が起きない人生と強弁するのに無理が出てくる。とすると、連載が最終回を迎えたのもむべなるかなといったことだったのかもしれない。日常系アニメで登場人物がみんな超能力持ってたり異世界からの転生者だったり毎日怪獣が街に現れたりしてたら事件の無い日常なんて送れないでしょという話だ(ただそういうアニメは探せば多分ある)。
しかしまあ、であれば今度は事件の起きる人生について書いてもらえばいいわけで、このシリーズ3冊でハライチ岩井が読ませる文章を書ける人だということは広く知れ渡ったことだろうし、遠からずまたお目にかかれる日が来るだろうと思える。それを楽しみに待つ……と言うには日々ラジオやテレビなどで楽しませてもらってるので、待つともなく気楽に待つとしよう。面白かった。

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