5/24 『PSYCHO-PASS Sinner of the System 上』を読んだ
前回の劇場版同様、映画は一度観ているが一度観たきりで細部は忘れていたのでそのおさらい気分。しかし意外とボリュームが多いしその上2本立てなので思ってたよりだいぶ楽しめた。
まずCase.1。序盤に秘匿通信・ウィスパーモードについて設定の説明があったんだけど、あれそういうシステムだったんだ!と長年の疑問がようやく解消された。映像でも小説でも、テレパシーか脳に通信チップでも埋め込んでるんじゃないかという無言の通信シーンがよく出てきてどういう技術使ってるんだ?と疑問だったのだ。口の中でもごもごとつぶやくだけでも機械が音声に変換して仲間との会話を可能とするシステムだとか。ちゃんと説明されたの初めてじゃないか? もっと早く説明してくれよ……とボヤきたくなるが、意外と説明する機会も無いものか。ともあれ、これを知れただけでももう、元を取ったような気分になった。
お話は映画とそう変わらなかったと思うが、宜野座の戦闘シーンはここまでハードだったろうか。ハードっていうか、ドミネーターも使えぬ状況でパワードスーツ纏った相手にサシで挑むとかジャンルが違うのではないかってレベル。ほんと、鍛えててよかったな……いやそれにしても、戦力差はシリーズ中でも最大級じゃないか?
そんな死闘を演じた宜野座に対し、しかし女性陣の評価は結構厳しいのがなんとも報われない。まあ……監視官時代の振る舞いを考えれば妥当かもしれんが……その頃よりは評価も上向いてるわけだし。頑張ってほしい。
霜月については、映画で観たときも思ったけど、いろいろあった末に自らの立ち位置をしっかり掴むことができたようで、よかったね。シビュラシステムの真実を知りながらもそれを肯定し忠誠を誓う――ただし、絶対視するのはあくまでそのシステムが体現する”正義”であり、下界に降りてきたシビュラの端末に対してまで服従するわけではない。むしろシステムの守護者として対等に接し、彼らが正義を毀損するような振る舞いを見せれば容赦なく弾劾する。その愚直さと傲岸さは、実にらしくて良い。
Case.1のタイトルである「罪と罰」、原作は読んだことないけど、作中での説明からすると、罪を犯しながら罰を受けられずに苦悩する者とは、霜月のことをも指すのかも。しかし彼女はそんな己にしか果たせぬ務めを見つけたということか。それともいずれ罰を受ける機会が訪れるのか。同じようにシビュラと対峙しつつ、最終的にはシビュラの廃棄を志す常守と、ゆくゆくは対立する運命にあることを思うと、まだまだ試練は続きそうである。
Case.2。こうして続けて読むと、ついさっきまでギノの成長した姿を拝んでいたすぐ後に「かつて」の姿をお出しされるので、温度差で風邪引きそう。いや、誤魔化すわけにはいかんというのもわかるが。征陸の罪の証明でもあるわけだし。
メインとなるのは須郷。だが改めてストーリーを追ってみると、初登場である2期であのような過ちを犯してしまった須郷に、後付けでこんな過去エピソードをぶち込んでくるの、鬼かよと思うな……「味方殺しの徹平」じゃあないんだよ。事件の顛末もスッキリできないし、苦みが強い。思えばこの事件でメインで活躍するのは須郷、征陸、青柳と、シビュラの本質には迫らない、システムの中で足掻く・足掻いた人々であった。国家やシステムの巨大な意思と権力に振り回されながら、それでも絶望や憎しみに圧し潰されず、残せるものは何かと探し求める話だったか。
最後に現在に戻り、花城さんの誘いを断るが、そんなんしといて3期で須郷さん外務省側にいるのはなんじゃそりゃってツッコむべきとこだったのだろうか。花城さんの言う「変わらざるを得ない状況」が来たってことなんだろうが、それについてはまだ詳しく明かされてないし。4期が待たれるな。
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