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1/30 『水車館の殺人〈新装改訂版〉』を読んだ
ドラマ『十角館の殺人』の続編が制作されるらしい。どの『館』かはまだヒミツになっているが、こちらは素直に順番に読んでいこうということで2作目。島田潔が今回も探偵役を務めている。この名前は島田荘司と御手洗潔を合わせたものだっていうのをどこかで聞いたが、年齢も島田荘司と同じのようだ。性格や風貌まで一緒とはまさか思わんけど、ただこの『館』シリーズが現在もまだ続いてるのだとすれば、2025年現在に75歳の島田潔が『館』に挑む、というような展開も期待できるのだろうか。探偵がそうやって現実と足並みを揃えて進行しているシリーズというのを(少なくとも自分は)知らないので、そういうのがあったら面白い気はする。
未来への展望はさておき、今作の事件だが、トリックの大ネタは予想できた。というか、話の構成からして「入れ替わってるんじゃないのか!」と言わんばかりではある。解説でもそんな風に言われてるし。でも解説で言われているように、細部にまで推理を働かせることができたかって言ったら全然だった。全貌を聞いたら、推理するための材料は揃っていたなと思えたのに。
ただ、一連の事件のあらましを見通して見ると、ほんっとさっくり命が死ぬなあ、と虚しさを禁じ得ない。入れ替わりトリックは入念に計画された犯行だったのに対し、使用人の殺害は実に場当たり的だし、その動機も「邪魔だから」「見られたから」でしかない。そのことに対し誰も怒りをあらわにしないところは、まあそういう人たちであったか、たまたま機会が無かったと解釈はできるものの……時代性だろうか? 「殺人≒犯行」に関しては精細でも「死」そのものに対する恐れや畏れみたいなものは不鮮明というか。薬指の切断とかもヤバいことしてるのにあっさりし過ぎてるし、なんかこう、「痛み」が薄いなあという気がする……いやでも中学生の時に読んだ『眼球奇譚』のグロさや痛み描写は今でも印象に残ってるし、あんまり滅多なことは言うもんじゃない。
ラストシーンに対して、あとがきで何やら思わせぶりなことを言っていたが、一体どういうことなのか、現時点ではあまりよくわからない。論理でガチガチに詰めた事実の最後に明かされる、論理を超えた超常的真実というどんでん返し……か? 今後の『館』にもそれはまた立ち現れてくるというのだから、まあ楽しみにしておこう。面白かった。
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