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2024年11月の記事一覧

11/28 『漫才過剰考察』を読んだ

令和ロマンが今年もM-1に挑戦するということは、去年優勝直後にもう言ってたし、その後の快進撃を見てもそうなんだなという感じだし、きっと今年も決勝までは大方行くことだろうとは思っていたが、二連覇まで決めるかどうかはかなり難しいだろうとごく自然に思っていた。それはやっぱり相当難しいし、連覇は偉業度としては最高だけど待望度としてはやっぱり新王者だし。と思っていたのが、本書を読んだらちょっと連覇もなかなか有り得るんじゃないかという気になってきた。それは実力や考察による説得力というのも

11/26 『怪傑レディ・フラヌール』を読んだ

3部作ということはあらかじめ予告されてたけど、まさか本当に3作で完結するとは。珍しいこともある。 スマートにまとまったのだからこちらもスマートに感想を書こうと思ったけど、読みながら抱いていた感想は、しかし読んでる間にあらかた本文中で言われてしまった感がある。道足くんの父親ディスもここまでくると果たして額面通り受け取っていいものかどうか、彼が父親を否定すればするほど二代目を襲名した彼自身への自己批判のようにもなってきて、自己批判というかたちをとっているからこそ父を否定できるのか

11/22 『答え合わせ』を読んだ

NON STYLE石田による漫才論をまとめた本。いやもう、NSCで講師を務めているのだから、これはもはや講義録とか呼ぶべきものなんじゃないか。とても勉強になる……活かす場があるかは知れないが。養成所の講師や賞レースの審査員も務めつつ、今現在もプレイヤーとして舞台に立ち続けている著者の、今現在における漫才に対する向き合い方を、今現在舞台で戦い続けている漫才師たちの名前もじゃんじゃん出しながら語っていくので、講義でありながら、臨場感のようなものがある。来月のM-1に向けて、モチベ

11/16 『ジェノサイド 下』を読んだ

父の謎の遺言、謎の潜入作戦、謎のパソコンソフト、謎の新生物……と幾重にもミステリアスの糸が張り巡らされていた上巻から、下巻はそれらの糸が大きくうねりながら人類種の命運という一本の手綱へと縒り合されていく怒涛のサスペンスへ。ストーリーが単調にならないように研人たち日本サイドとイエーガーらアフリカサイドに加えルーベンスから見たアメリカ政府サイドの視点も加わる(正確には上巻の第二部開始時点からもう加わってるけど)。まったくエンターテイメントとしての作品強度の高さに敬服する。「まるで

11/12 『コズミック 世紀末探偵神話 新装版』を読んだ

初めてノベルス版を目にしたのは高校生の時、図書館で。しかしその時はさわりだけをちょろっと覗いただけで引き返し、ちゃんと読んだのは大学生の時。面白かったと記憶しているが、当時は世紀の怪作と謳われたその存在を受け止めるだけで精一杯だった。精一杯面白がったのだ。あれからだいたい15年、今読んでみてどういった感想を得るのか、自分で自分にドキドキしながら読んでみた。 ただ……15年って思ってた以上に長い年月で、いざ読みだしたら、内容を全然覚えてなかったことに気づいた。登場する探偵たちや

11/2 『ジェノサイド 上』を読んだ

名前だけはどこかで耳にしていて、面白いと聞いていたのでいずれ読もうと思っていた作品。高野和明さんは初めて読む作家だが、これはもはや擦り倒されてるネタかもしれないけど、本を開く直前まで高野秀行さんと混同していた。いや開いた直後までかな。カバー折り返しの著者略歴を見て気づいたから。『クレイジージャーニー』を観ていて、「へーあの『ジェノサイド』を書いた作家さん、今は世界の納豆を追いかけてるんだー」とか思っていた。失礼でありました。 タイトルからして物騒だし、どんな話なのかと戦々兢々