稽古場レポート 準備号
本稽古に向けて|石田夏希
8月のワークショップオーディションから始まり、集まったメンバーで9月には数回のワークショップを重ねてきた「さようなら、シュルツ先生。」
MODEの本格的な再始動ともなる今回の公演では、ポーランド出身の美術家であり小説家のブルーノ・シュルツの生涯と残された作品を取り扱う。
作品へのアプローチのひとつとして、俳優達による稽古場レポートをはじめたいと思う。準備号と称して、トップバッターは(成り行きで)SNS担当となった石田から務めさせて頂く。
今回私が特に面白いと感じる部分はやはり出演メンバーの多さである。なんと18人もいる。私事ではあるが、今まで参加したどの現場よりも多い。緊急事態宣言下の頃を思い返すとこの人数が同じ稽古場に集っているというだけでもなかなかに圧倒されてしまう。数だけではなく、経歴も出身も見事にそれぞれで、何というか見ているだけで面白い。
というのも、ワークショップの初めの方はシュルツの作品の中からそれぞれが面白いと思った話であったりシーンを持ち寄って話あう。という時間が多く取られていたからである。その後、ではこの話をちょっとやってみましょうか。という演出の松本氏の一声により2グループに分かれそこからまたどうやるかをグループで話し合った。その時間も、大変面白いのである。
決められた話の中のどこを切り取るか、
どこに魅力を感じたのかを基準に考える人。
作者の意図を大事にしたいと思う人。
舞台で観たときに魅力的に見えるかを考える人。本当にさまざまだ。
そこからさらに動いてみるとなると、
面白いと思った“描写“を丁寧にやりたい人。
面白いところを“面白く“やりたい人。
など、台本のない状態での創作というのは、人の価値観や培ってきた演劇観のようなものがこうも如実に現れるのだなと
その多様さ、複雑さがたまらなく面白いし、単純に年齢や身体の癖みたいなものもにも差があるメンバー達でどう舞台にしていくかを想像するとワクワクする。
と、いっても私が勝手にそういう考えなのかなと想像したにすぎないので本当はもっと面白いヘンテコな思考回路を通っているかもしれないし、もっと純粋な何かなのかもしれない。稽古を重ねていくうちに、その辺りを深く知っていけたら、いいと思う。人と出会い、知ることができるのが舞台の良さでもあるし、何となくではあるが人間のもつ複雑さや混沌を知ることは、シュルツの作品を扱うにあたってよい手がかりとなるような気がしている。何にせよ、この先が楽しみで仕方がない。
また、今回は稽古場レポート初回ということで少しだけ堅苦しく書いてしまったが、今後は俳優達が思ったこと感じたこと考えたことを気軽に書いていく自由な場にしたいと思っている。かくいう私も絵を描く人間なので、次は作品を読んでイメージしたスケッチでもアップロードしてみようかなどと考えている。さまざまなアプローチの一つの場として、楽しんでいただければ幸いだ。
2023.10.02
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