新宿方丈記48・「大切なことは何?」
年が明けた。2021年。
大掃除が何も片付いていないのにお正月が来てしまった、そんな気分だ。実際のところは粛々と大掃除を進め、いつになくすっきりとした部屋で年越しを迎えたけどね。ここにこんなこと書きたくなかったけれど、いつかまた平穏な日常が訪れた時に、ああ、と思い出して懐かしく思えるように、あえて書くことにした。
年が変わっても世界は何も変わらない。コロナの勢いは加速するばかり、逼迫する医療施設の状況、定まらない行政の対応。楽しくない映画を見ているような毎日だ。しかもつまらないのに長い、終わりが見えない映画みたいだね、全く。
私は感染するリスクなんて、誰しも平等だと思っている。だから感染させないための対策はきっちりやるし、たとえ自分が感染しても仕方なかったと思うし、ましてや感染源の人を責めるなんてとんでもない。一番大切なのは一人一人の自覚。できる限りの対策をしていても感染することだってあるし、それはもう仕方のないことだ。ずっと家から出ずに自粛を全うしている人たち、それはひとえに家から出て経済を回している人たちが大勢いるからだということを、忘れないでほしい。全国民が一歩も家から出ないで自粛していたら、もうとっくに国が終わっていたはずだ。それに対する補償も何もないのだから。人それぞれいろんな事情があるけれど、完全に自粛できた人や、リモートで働ける人達ばかりではないのだ。みんな自分の生活や家族、文化や、人として楽しく生きるための日常を守るため、できる限りの事をやっているのに、それが批判の対象になるのは狂っているよ。今はあえて、ストレスに感じる人や場所から距離を取るようにしているけれど、それって仕方ないとはいえ、悲しいし馬鹿馬鹿しい。
2021年。それでも日々は続いていく。だからもうちょっと、人に対して優しくなるべきだね、自分も含めて。