《創作絵本》にじいろのたね
1. 森へ探検にいくララとポポ
ララ「今日はなんだかお天気もいいし、森で探検しようよ!」
ポポ「うん、行こう!あの大きな木のあたりに行ってみたいんだ。」
(2人は家を出て、森に向かいます。道ばたには小さな花や虫たちが見えます。)
ララ「わあ、ちょうちょが飛んでる。きれいだね!」
ポポ「あっ、あそこにテントウムシもいるよ。背中の模様がかわいいな。」
(森の入り口につくと、少しひんやりとした風が吹いてきます。)
ララ「森の中は静かだね。でもなんだかワクワクする!」
ポポ「うん。鳥のさえずりも聞こえるし、探検の予感がするよ!」
2. 不思議な道を発見
(2人はいつもどおりの小道を歩きますが、今日は少し様子が違うことに気づきます。)
ララ「あれ?いつもここに草がいっぱい生えていたのに、今日は歩ける道みたいになってる!」
ポポ「ほんとだ。しかも奥のほうが明るくなってるよ。行ってみよう!」
(2人はその道を進んでいきます。道は木々の間をくねくねと続いています。)
ララ「なんだか森がいつもとちがって見えるね。」
ポポ「うん、でもなんだか楽しい。どんどん行こう!」
3. 光りかがやく小さなたね
(道を抜けると、小さな丸い広場に出ます。そこだけ木漏れ日がまぶしくさしこんで、ふしぎな光があふれています。)
ララ「わあ…すごい。まるで森の宝箱みたい。」
ポポ「ん?なんか地面がきらきらしてない?」
(2人が足もとをよく見ると、虹色に光る小さなたねが落ちています。)
ララ「これ、すごくきれい!虹色に光ってるよ!」
ポポ「手でさわっても平気かな?」
ララ「そーっと触ってみよう。」
(ララがたねを拾い上げると、たねはほんのりあたたかく光ります。)
ララ「あれ?ぽかぽかしてる。まるで生きてるみたい。」
ポポ「こんなたね、はじめて見た!持って帰って育ててみようか?」
ララ「うん!きっとすごいお花が咲くかも!」
4. 家に帰ってたねを植える
(2人はたねを大事に持ち帰ります。家の庭には少しだけ空いている花壇があります。)
ララ「ここに植えたら、お日さまも当たるし、風も通るよね。」
ポポ「うん、ここならいいお花が咲きそう!」
(ポポが土を少し掘り、ララがたねを置き、そっと土をかぶせます。)
ララ「はい、お水あげるね。たねさん、元気に育ってね!」
ポポ「明日にはもう芽が出たりしてね!」
(2人はワクワクして、早く咲くところが見たい気持ちでいっぱいです。)
5. 待てど暮らせど芽が出ない
(次の日、2人は朝早くから庭に行きます。)
ララ「出てるかな…?あれ?なんにもない。」
ポポ「うーん。まだ土がこんもりしているだけだね。もう少し待ってみよう。」
(さらに次の日も、次の次の日も見に行きますが、やっぱり変化はありません。)
ララ「おかしいなあ。もっと水をあげたほうがいいのかな?」
ポポ「それか、土をほじって中を見てみる?」
ララ「でも、そのほうがたねがびっくりしちゃうかも…。」
(2人は少し不安になってきて、あれこれ作戦を考えます。)
6. 焦りすぎてしまう2人
(数日後、まだ芽は出ません。)
ララ「あー、早くお花が見たいのに…。毎日見てるのに全然変わらないよ。」
ポポ「こんなに水をあげてもだめなのかな。日に当てる場所を変えてみる?」
ララ「うん、ちょっと鉢を動かしてみようか。」
(2人は、水をたくさんあげたり、場所を動かしたり、いろいろやってみますが、思うようにいきません。)
7. 森の妖精ココがやってくる
(それでも芽が出ず、しょんぼりしている2人の目の前に、ある日ふわふわと光る小さな妖精が現れます。)
ココ「やあ、こんにちは。ぼくは森の妖精、ココっていうんだ。」
ララ「わあ…しゃべる妖精さん!はじめまして、ララです!」
ポポ「ぼくはポポ。森で見つけたたねを育ててるんだけど、全然芽が出なくて…。」
ココ「うん、見ていたよ。2人が一生けんめい育てようとしてるのは知ってる。でもね、たねにはたねのペースがあるんだ。あせっちゃだめなんだよ。」
ララ「でも、たねをほっといたら枯れちゃいそうで心配で…。」
ココ「たねはね、土の中でいっしょうけんめい準備をしてるんだ。すぐに芽を出せるわけじゃないんだよ。だからあせらず見守ってあげよう。やさしく水をあげて、お日さまに当てて、後はたねの力を信じてあげてね。」
ポポ「そっか…ぼくたち、早く結果がほしくて、いろいろ動かしすぎてたかも。」
ララ「うん。もっとそっとしておいてあげたほうがいいのかな。」
ココ「うん。そのほうがたねも安心して目をさますことができるよ。」
8. そっと見守り、気づく優しさ
(ココのアドバイスを聞いた2人は、少し行動を変えます。)
ララ「今朝はお水をあげたし、今日はあんまり触らないでおこう。」
ポポ「うん。『まだかな、まだかな』って思うけど、たねの気持ちになってみたら、ゆっくりがんばってるのかもね。」
(こうして2人は、毎日ほんの少しだけ水をあげ、やさしく声をかけるようにします。「たねさん、がんばってね」「今日はいいお天気だよ」などと応援してあげます。)
9. ついに芽が出る朝
(ある朝、ララが庭に出ると、土の表面がぽこっと盛り上がっています。)
ララ「ポポ!見て、何か出てるよ!」
ポポ「わあ、本当だ!ちいさな緑色の芽だ!やったあ!」
(2人は大喜び。そこには本当に、小さな芽が顔を出しています。)
ララ「こんなにうれしいなんて、思わなかった!ちっちゃいけど、ちゃんと生きてるね。」
ポポ「さわらないように、そーっと見てよう。毎日、少しずつ大きくなるのを見守ろう。」
10. にじいろの花が咲くまで
(そこからは毎日、芽が少しずつ大きくなり、葉っぱが増えていきます。2人はうれしくて、日記までつけるようになります。)
ララ「今日は葉っぱが1枚増えたよ。」
ポポ「明日はもっと伸びてるかな。大きくなあれ!」
(そしてある日、つぼみがつきます。つぼみはほんのり虹色に光っています。)
ララ「つぼみができた。これ、開いたらどうなるんだろう?」
ポポ「絶対きれいだよね。早く見たい!」
(数日後、つぼみが少しずつふくらみはじめ、ついに花びらが開きます。)
ララ「わああ、すごい!!虹色の花びらがひらいてる!」
ポポ「こんな色、見たことないよ。まるで本物の虹みたい!」
(花はやさしい光を放ち、2人のまわりを包みこむように輝きます。)
11. 学んだこと
(ココが、ふわりと姿をあらわします。)
ココ「2人とも、本当によくがんばったね。たねはすごく幸せだろうな。」
ララ「ありがとう、ココ。あなたのおかげであせらずに待つことができたよ。」
ポポ「うん。ぼくたち、早く花が見たくていろいろやりすぎてたんだよね。でも、たねの気持ちになってゆっくり待ってあげたら、こんなにきれいな花が咲いた。」
ココ「たねだけじゃなくて、人や動物にも、いろんなペースがあるからね。みんなゆっくり成長しているんだよ。そこに気づいてくれたならうれしいな。」
(2人はにじいろの花を見ながら、あったかい気持ちでいっぱいになります。)
12. 次の冒険へ
ララ「にじいろのお花、見るだけで心がぽかぽかするね。大切にお世話しよう!」
ポポ「うん。ちゃんと水やりして、日当たりも見てあげよう。今度はあせらずにね!」
(ララとポポは、にじいろの花のまわりを少し掃除して、花壇をきれいに整えます。)
ララ「よし、これでバッチリ。ところでポポ、またあの森に行ってみない?このお花みたいに、まだ見ぬふしぎがあるかもしれないよ!」
ポポ「そうだね。きれいなお花も咲いたことだし、次はどんな発見があるか楽しみ!」
(2人は元気いっぱいに身支度をして、再び森へ探検に出かけます。その背中を、にじいろの花とココがやさしく見送ります。)
ココ「2人とも、また会おうね。焦らず、ゆっくり、そして仲良くね!」
(2人の笑い声が遠ざかると、にじいろの花はそっと風にゆれて、ほんのり光りながら森や庭を明るく照らしていました。)