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現場でのコーチング実践エピソード
登場人物の設定
青山 優(あおやま ゆう)
年齢: 42歳
役職: コーチング専門の社内コンサルタント
性格: 温厚で親しみやすく、メンバーの話を引き出すのが得意。論理的思考と柔軟なアプローチを持ち合わせており、部下や同僚からの信頼が厚い。
背景: かつて営業現場のマネージャーとして多くのプロジェクトを成功に導いたが、部下の成長を見届ける喜びを感じ、現在はコーチングに特化した役割を担っている。
坂本 真一(さかもと しんいち)
年齢: 32歳
役職: 営業部門の若手リーダー
性格: 責任感が強く、理論的な考え方を好むが、完璧主義な一面があり、部下に対して厳しくなりがち。失敗を避ける傾向があるため、自分で抱え込むことが多い。
背景: 入社以来、営業成績がトップクラスで昇進。しかし、リーダーとしての経験が浅く、チーム全体を動かすリーダーシップに自信を持てずにいる。
1on1セッションのやり取り
背景
坂本さんのチームは最近、営業成績の低迷やモチベーションの低下が顕著になっていました。青山さんは、坂本さん自身がリーダーとしての在り方を見つめ直し、チームに変化を起こせるようサポートするため、1on1セッションを提案します。
1. ステップ1: Goal(目標設定)
青山:
「今日はどんなことを話したいですか?どんな状態を目指しているか教えてください。」
坂本:
「今のチームは、正直、停滞している感じがあります。みんなのやる気を引き出して、もっと成果を出せるチームにしたいですね。」
青山:
「素晴らしい目標ですね。それが達成できたら、チームはどんな雰囲気になると思いますか?」
坂本:
「みんながもっと意見を出し合って、主体的に動けるようになるといいですね。会議でも活発に話し合えるチームを目指したいです。」
2. ステップ2: Reality(現状の把握)
青山:
「いまのチームの状況について、具体的に教えてください。」
坂本:
「正直、指示を出しても反応が薄いです。自分で考えて動いてほしいんですが、どうも受け身な感じがします。」
青山:
「なるほど。坂本さんご自身は、どのようなアプローチを取っていますか?」
坂本:
「具体的な指示を出すようにしています。ただ、それでも思ったような成果が出ないんです。」
青山:
「指示を出す一方で、メンバーが自分の意見を言う機会を作っていますか?」
坂本:
「……あまりないですね。いつもこちらから話を進めてしまっています。」
3. ステップ3: Options(選択肢の探索)
青山:
「では、メンバーの受け身の姿勢を改善するために、どんな方法が考えられるでしょう?」
坂本:
「そうですね……もっと質問を増やして、考えを引き出すようにするのはどうでしょう?」
青山:
「いいアイデアですね!他には何かありますか?」
坂本:
「メンバーそれぞれの得意分野や強みを活かす役割分担を考えることも効果的かもしれません。」
青山:
「素晴らしい視点です。それを実現するには、まずどんなアクションを取る必要がありますか?」
坂本:
「メンバーとの1on1で、それぞれの強みや希望を聞き出してみたいと思います。」
4. ステップ4: Will(行動計画の作成)
青山:
「具体的な行動計画を立ててみましょう。いつまでに何を行いますか?」
坂本:
「来週中に全員と1on1を実施します。それぞれの目標や希望を聞いて、そこから具体的な役割分担を考えます。」
青山:
「素晴らしいですね。それを実行した後、どんな結果を期待していますか?」
坂本:
「メンバーが自分の役割に自信を持ち、もっと積極的に行動してくれることを期待しています。それが最終的に営業成績の向上にもつながると思います。」
実行と振り返り
坂本さんは計画通り、1on1セッションを実施しました。以下は、その具体的なやり取りの例です。
1on1での質問例
「最近の仕事で楽しかったことやうまくいったことは何ですか?」
「これから挑戦したい仕事や役割はありますか?」
「チームの中で、もっとサポートが必要だと感じる点はありますか?」
メンバーの反応
「もっと提案書作成のようなクリエイティブな仕事を任せてほしいです。」
「新規顧客対応はやってみたいけど、不安があるのでサポートがほしいです。」
坂本さんはこれらのフィードバックを基に、メンバーの役割分担を再構築しました。
結果と学び
チームの変化
1か月後、チームには次のような変化が見られました。
主体性の向上: 提案書作成を任されたメンバーが、クオリティの高い成果を出し、自信を深めました。
チームの活性化: 会議での発言が増え、メンバー同士がアイデアを共有する姿が見られるようになりました。
営業成績の改善: チーム全体の協力体制が整い、営業成績が10%向上しました。
坂本さんの成長
坂本さんは、「指示を出すリーダー」から「対話を通じてメンバーを導くリーダー」へと成長しました。青山さんとのセッションで学んだスキルを継続的に活用し、チームの信頼関係を深めています。
このエピソードの学び
GROWモデルはリーダーシップ改善に有効
→ 明確な目標設定と行動計画が、問題解決への道筋を示す。コーチングはチームの可能性を引き出す
→ 質問を通じてメンバーの意見を引き出すことで、隠れた能力が開花する。対話型リーダーシップがチームを変える
→ 一方的な指示ではなく、対話を通じて信頼と主体性を育む。