規格外野菜を活用した商品が完成。「これからもmoctecoが続いているというような感覚で取り組みたい」(6期生:髙橋さん)
「自分で事業をつくる」挑戦を始めた、北海道の高校生・大学生たち。
若者創業支援プログラム「mocteco」の集大成となるDemo Dayでは、若者たちの3ヶ月間の取り組みと、その先に見据えるビジョンを発表します。
2023年12月9日(土)に開催された『mocteco DemoDay 2023』において、規格外野菜の廃棄問題について取り組んだ6期生、髙橋 宏友さんの発表をご紹介します。
年間約500万トンの規格外野菜。「もったいないな」と思った
滝上町から恵庭市の北海道文教大付属高校食物科に進学し、今は主に食品について学んでいます。
私がmoctecoで取り組んだ内容は規格外野菜の廃棄問題についてです。規格外野菜とは、形が悪かったり傷がついているため、市場では販売できない野菜のことを言います。 現在、日本ではその規格外野菜が年間約500万トンも発生しています。
私はこの事実を知り、単純に「もったいないな」と思ったと同時に、これを活用して事業にできるんではないかと思いました。
そこで私は、自宅が野菜を使った商品を開発し、元々値段のつかない野菜に付加価値をつけて商品を販売したいと思いました。
サラダ、ジャム、ディップソース。規格外野菜を活用した商品を試作
moctecoでは、まずはじめに規格外野菜を活用したサラダを作り、そのサラダを無人販売するというプロジェクトを立ち上げました。しかし、このプロジェクトには保存期間と配送の際の温度管理といった衛生的な問題があることが分かりました。 そこで私は保存期間も長く、常温で保存ができるジャムの開発に取り組みました。その後、恵庭市の農家さんと連絡を取り、実際に収穫のお手伝いなどをさせていただきました。
商品が完成したあと、moctecoメンバーが集まり、これまでの成果や目標を話し合う合宿 Day 1がありました。
完成したジャムを持っていき、moctecoメンバーに試食してもらいました。 そこでは、「ジャムというよりスイーツっぽい」という意見や、「クラッカーに乗せて食べるとお酒に合う」という意見をいただきました。このような意見を聞いて、私はジャムからティップソースへ商品を変更し、ギフトとして送りたくなるようなディップソースをコンセプトに商品開発に取り組みました。
DemoDayまで残り約1ヶ月。商品を見直し、完成へ
札幌大通駅にある複合スペースbokashiで試食会も行いました。 私はディップソースを試食してもらう中で、「何かが足りない」「インパクトに欠けている」そう感じていました。
そんな思いを抱えながら2回目となる合宿 Day 2 に参加し、私は今までの悩みを メンター や6期生のメンバーに相談しました。そこで「僕は何でディップソースを開発しようと思ったんだろう」ということを振り返ったとき、「合宿Day1でメンバーに試食してもらったあの瞬間、皆さんが楽しんでるあの空間に魅力を感じていたんだ」と思いました。
合宿Day2の後、「どうしたらディップする瞬間が より楽しいか、より楽しい空間を作り出せるか」を考え、商品開発をし直すことにしました。合宿Day2 からDemoDayまでは約1ヶ月しかありませんでしたが、「DemoDayで自分の納得のいく商品を販売したい」その一心で商品開発に取り組みました。
そして完成した商品が、見た目も美しく食べていても飽きずに最後まで楽しめるディップソース。商品名は『スイートポテトバター』と言います。 味・色が4層に分かれているのが特徴で、食べ進めていくうちに 味が変わっていくため、上の層から下の層へ食べ進める楽しさを味わえます。 また、産地である北海道恵庭産の説明も添えています。
食の魅力をデザインと言葉でスタイルし、人の人生を上向きにしたい
mocteco期間中、自分と向き合う時間がとても多かったです。同期の6期生メンバーが、それぞれ自分のプロジェクトに自信を持って魂を込めて取り組んでいる姿を見て、私は「このプロジェクトにまだメッセージが足りていない」と感じていました。「なぜ自分はこの事業を作ろうと思ったのか」「 なぜ自分は会社を作りたいと思ったのか」 自分の過去や原体験を振り返りながら初心に戻って考え直しました。
私は、自分のもとで働いてくれる人の人生を上向きにできるような会社、働いていて楽しいと思える会社を作りたいと考えていました。ある実業家の方に相談した時、「働いていて楽しいと思ってもらえるような会社を作りたいなら、まず自分が第一に楽しいと思える会社を作らないといけない。自分が一番、時間を忘れてその時間に没頭できる、そういう事業を作らないと本当に楽しい会社作れないよ」というご意見をいただきました。
mocteco期間中も、メンターの方々や 6期生のメンバーと話していくうちに、「自分は何が一番楽しいのか、長時間没頭してできることは何なんだろう」と考えた時に、パッケージを作ることが自分の中で長時間できて没頭できる時間だと分かりました。
これからは、食の魅力をデザインと言葉でスタイルする、人の人生を上向きにするということを目標とし、主にデザインに関することについて取り組んでいきたいと思っています。今回、moctecoで作った商品『スイートポテトバター』は、1つのポートフォリオとして販売していき、デザインにこだわった商品になるよう、さらにブラッシュアップしていこうと思っています。
これからもmoctecoが続いているというような感覚で取り組んでいきたい
moctecoの3ヶ月間、多くの方々にお世話になりました。メンターはもちろん、mocteco6期生の皆さん、農家さんや事業の相談に乗ってくださった方々、本当に感謝しかありません 。このmocteco期間中に多くの出会いがあり、自分の視野が広がっていくことを感じていました。moctecoを終え、事業云々ではなく、自分の人生として大切なことを学んでいると感じました。お世話になった方々に恩返しという意味を込めて、自分は自分の理想へ、夢へ、一歩でも近づけるようにしていきたいと思っています。moctecoを3ヶ月間完走し、これからの1年、 10年、人生の中で、まだmoctecoが続いているというような感覚でこの先も取り組んでいこうと思っています。
moctecoコーディネーターからのコメント
会うたびに目の下にクマをつくり、顔色は悪く…(笑)、3ヶ月間、髙橋さんが頑張っている姿をそばで見させてもらいました。学業もアルバイトもある中で、合宿でのフィードバックを受けて、1層だったディップソースを1週間か2週間後には4層にしてきました。これがどんなにすごいことか。諦めてしまいたくなることでもやり遂げられる力だと思います。 今後、事業がうまくいくかは私には分かりませんが、一つ確かに言えるのは、髙橋さんはすごく頑張れる方だということです。最初に会った時から「自分はやり切る人なんです」ということをおっしゃっていましたが、手も足も動かして、できないことは素直に人に相談したり頼ったりして、それを吸収して形にできたことが本当に素晴らしいと思います。 人が応援してくれる人だとも思います、これからも頑張ってください。応援しています。(moctecoコーディネーター前田さん)
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