独身でも、ひとりでも、いたくない

最近、社会の論調で「子供を持たない選択をしている人もいるんだから〇〇すべき」というのを目にする。

このフレーズを見る度に、悲しい気持ちになる。

社会は私のことを、「結婚選択しない人」「子供を作らない人」と見ているのだろう。


でも、実態は全然違う。

シンプルに、「好きな人と結婚できない」「好きな人の子供を作れない」だけだ。


遡ること10年前、私は大学で全体必修講義を受けていた。
忘れもしない、伝統ある講堂の左の列、モニター近くに座った。

登壇者は女子大ならではの「キャリアと育児を両立した、キレイでおしゃれな女性」だった。


全てはここから間違えていたのだ。
浅はかな私、いや、純粋な私は「この人みたいになるんだ!」と思った。
別に目指したい職種だったわけでもないが、単純に、イマドキの女性は誰もがこうやって生きていくものだと思ったのだ。

就活シーズンになれば、「大手で一般職?古い古い、ベンチャーでも良いから総合職一択でしょ!」…そんな雰囲気だったと記憶する。
(もちろん、大手総合職の切符を手に入れた同窓生もそれなりにいたのだろうが)


10年経った今、どうだろう。

自慢できるようなキャリアも、家庭も、ない。

そりゃそうだ、登壇する人は成功者しか来ないのだから。


キャリアも家庭もない、それどころか、近年の経済悪化で「独身貴族」なんて代物でもなく、「独身貧民」だ。


もちろん、自分自身にも反省はある。
でも、掴み取ったステージで、その時なりには精一杯取り組んできたはずだ。

でも、頑張れば頑張るほど、惨めにも思える様々なラベルが貼られていく。
しかも、そのラベルは自ら選んで貼ったかのように見られる。


ちがう!ちがうのに!!


そんな声は社会に、いや、近場にだって届かない。


幼き日に少女マンガを読みながら夢見た「白馬の王子様と夢の時間を過ごしたい」そのひとつしか望んでいないのに。


やれ少子化だ、晩婚だ、と問題の原因に担がれるが、私だって今すぐにでも結婚してポコポコ子供を産めるなら産みたい。
婦人科で手術歴があるから、なおのこと今すぐにでもそうしたい。

でも、好きな人が現れて、私といたいと言ってくれなければスタートラインにだって立てない。


独身でも、ひとりでも、いたくない。

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