黄昏に棲む
手放したものたちが棲む黄昏が爪立てるから胸が苦しい。明くる日も、その明くる日も過去からは逃げることができない。
忘れてしまえば、楽になれるのか。
解き放たれるときが、いつか来るのか。
雲の羽毛に覆われた太陽は、私の苦痛を覗こうともせずに、微睡みの中、死に惹かれている。
彼ならば生まれては死に、また生まれては死ぬ私のことを滑稽に思うだろうか。
結局のところ星屑にすぎない。いずれ彼も同じ運命を辿る。
私も嘗ては彼だったのだろう。だからこんなに彼が眩しい。置き去りにしてきたものたちも、全て過去抜きには成立しない亡霊だ。
朝焼けを見たい。全てを還元するような赤に染まりたい。そうすれば、亡霊たちと微笑みあうことができるから。私の影を、影として抱きしめることができるから。
夕暮れはいつもさびしい。私は走る。走ることで忘れようとする。闇が身体を染めて、全てを消し去るのを待つ。