神様が忘れていった
神様が忘れていった月や星、置き去りにして朝焼けを待つ。冷たい風が通り抜けていき、なけなしの体温を掠め取っていく。
頭の中、脳細胞が示している世界に過ぎないのに、ここに自分の全てを委ねて、いつの日か後悔する日がきっと来るのだ。
最果てですか?
いいえ、私は風です。
一秒ずつ削られていく寿命を誰も贖ってはくれない。手持ちのカードだけで歩いていく。切ったカードの補充はあてにできなくて。
朝焼けは鉄錆の色。全て光に紛らわせて消してしまうけれど、誰かが死んでいく匂いはどこかに残る。まだ自分が生きていることを確かめながら、長い影を踏んで歩いていくしかないのだ。