存在を薄めることで
存在を薄めることで、誰の邪魔にもならないように好きに生きたいと考えたりしても、結局どこにもいけない自分を選択していることは変わりなくて。
息が苦しい。
お決まりのさみしさがある。魂がおひとりだからやむを得ないね。そんなことを考え、アンドロギュノスを夢想しながら歩いている。
世界に何も刻みつけられないまま終わるのは、嫌だ。
ガスの膜のような睡魔に触れられて、何か新しい扉を開くわけでなく、ひたすら何かから逃げ続けている。冬はまだ続く。春は来るか分からない。張り詰めた枝のように、神経を尖らせながらまだ生きながらえている。