心臓と花 原案

東西の芸術家

451Saa

451Saaは、時には本物のような作品を創る。その作品は刺激的でもあり、普遍的であり、人々の関心を引くことを目的としている。彼の代表作の一つは「心臓に花」という作品で、人間の心臓に花が咲いている様子を描いている。

IZIMA

IZIMAは独創的な芸術家であり、代表作は「心中少女」という一枚の絵。アカウント名をIZIMA148からGnaw1に変える。彼らがまだ十代であったことを示唆しているのは、IZIMAの作品は常に物議を醸していたから、学校名が話題になり、自殺をする。少女。吊られるようにしばしば迫害を受けることになった僕。自分の心はあと僅かで零れることも、示唆していた。_FLOWER 最後に自分のことを笑った。なぜ、あのようなことをしたのだろうか。いくつもの理由が重なる現実を受け入れることもなく、ただ食べたのです。それは死でも生でもなく、望まれたことだった。僕は彼女にそれを伝えると、構わないと言われて、彼女の薄い現実、薄めた現実と僕の理想が合っていて、その現実は誰が決めることもなくやって来て、彼女を疲れさせる。自分が薄めた現実だと彼女は自分に言い聞かせて、彼女は特別に伝えたことを咎めずに、目的は合っていた。

計画と実行

彼女は「15歳ならバレやしないし、その年齢なら機会だとは思わない」と。
「機会って?」と僕が問うと、彼女は
「現実とか年齢とか犯罪とか倫理観とかでやってはならない。それだけで守られている。世界に警告してあげれば良い。どうせそんなの気休めなんだって、湿布と同じ。痛みを和らげるとカモフラージュしているだけの紛い物を皆信じている。別に悪くない」と答えた。
「湿布。」と僕は笑う。
「心臓に花は美しくなると思うよ」と言いました。「犯罪になってもですか?」と僕が問うと、彼女は「作品になれば良いよね。警告するなら、そのくらいしなきゃ」と答えました。「15歳だから良いんじゃないの。」

「計画通りに。どうぞ」と彼女が言い、僕は彼女に近寄り、首元に力を込めて、彼女は抵抗することなくその行為を受け入れた。呼吸が苦しそうで目も浮ついていた。僕は力を込め続けて、その行為も終わると、僕は彼女の身体にハサミを使い、心臓を取り出した。心臓は異様で、奇妙。僕はそれを口に含み、食べることにした。味は酷くて、二口目は吐きましたが、それでも食べ続けた。

SNSへの投稿

夜明け間近、心臓を食べた写真をSNSに投稿しようとした。「心臓に花は美しいと思うよ」と。世間の声が増幅し、「これって本物?」と疑問が投げかけられたのを、僕は画面で朝まで、見たのです。

APRICOT

心臓に魅力を感じた。理由を付け足すことは出来ません。けれど、彼女だけは、決して怒りませんでした。幼い頃から絵を描くことが、日常として、在ったのは、それは絵を教えた先生が、生きる上での、糧を覚えさせる為でもあったのは、事実でした。それはとても煩わしくて、自分の生きる理由になってしまった。それでも心中少女の絵は、僕を超えるようにIZIMAの代表作となり、多くの人々に衝撃を与えた。

心中少女

「心中少女」という絵を描いたのはIZIMAでした。14歳の時、暑い真夏の夜に少女が死ぬ絵を描いた。私はそれは純粋に描いたものであり、他人に対して何かを伝えるためではありませんでした。しかし、その絵はSNSに投稿され、翌日には十万以上の「いいね」を受けたのは、事実でした。

IZIMAは迫害を受ける中で、451Saaからの「どうしてこんな絵を描くのかという世間の批評家なんて気にするな」と。451Saaは心臓に花が開く絵を描こうとしていました。

451SaaとIZIMAの関係

451Saaの視点

451Saaは、IZIMAの作品に強く影響を受けました。IZIMAの絵は独創的であり、451Saaの写実的な作品とは対照的でした。彼らはお互いに刺激を受けながらも、それぞれの役割を果たそうとしてました。
IZIMAの視点

IZIMAは451Saaの技術的な線を、自分の独創性な絵とは違う可能性を信じていました。彼も、彼女も、迫害を受けながらも、自分の作品を信じたのです。しかし、二人の行方は誰にもわからなくなった。

最後のメッセージ

「どうか美しく散らせて」と願いを込めて、自分の意志をSNSに投稿しました。炎の意図は夜明けまで続き、アカウントは頂上を登り続けた。もう紛い物よりも、現実を信じたかった。

心臓と花

「心臓に花が開く絵は美しいと思うよ」と、彼女が言った時に或言葉を、SNSに投稿しました。バラバラの硝子のように反射し、戻ることのない繊細な炎の意図として広まりました。僕は彼女に計画通りにと、約束をして実行をしました。彼女は最後に僕を見た気がして、視線をそらしたのです。


村上先生は、森下やイジマといった才能ある若い芸術家たちを指導していた教師で、彼は絵の技術を教えるだけでなく、彼らの創作活動に深く関わり、時には彼らの作品を評価する役割も担っていました。しかし、彼の指導方法は厳しく、また自身の理想や価値観を押し付ける傾向があった。
自らも絵を描いていたが、満足のいく評価を得られ無くなってきた。自身の未完成の作品を託すように教鞭を取って、指導は徹底的で、技術的な精緻さを追求し、独創性を重視しながらも、しばしば生徒の個性を抑え込むように教えていた。
森下が「心中少女」を村上先生に教えたとき、先生はその作品の価値を認めつつも、どこか俯瞰していました。彼は自分の教え子が自分を超える才能を持っていることに気づき、複雑な感情を抱く一方で、森下の作品が評価されることで、村上先生自身もその指導者としての評価が高まることを望んたのもあります。
村上先生と森下の関係は、単なる師弟関係を超え、精神的な依存や対立も含む複雑なものでした。森下が作品を描くたびに、村上先生はその技術の高さを認めつつも、自分自身が持ち得なかった才能に、嫉妬したのは分かりきったことでした。
また、村上先生はイジマとも深い関わりを持っていました。イジマが「心中少女」という作品を発表し、それが大きな反響を呼んだとき、村上先生はその才能を認めつつも、同時にイジマの精神的な施さや危うさを感じ取っていた。その過程でイジマが抱える内面的な葛藤や苦悩に十分に寄り添うことができず、結果的にイジマの不安定さを助長してしまったことを森下は感じていました。
村上先生の指導法は、結果的に森下やイジマの才能を引き出す一方で、彼らの精神的な負担や葛藤を増幅させる結果となり、指導がもたらした成功は、彼らの才能と精神のバランスの難しさを浮き彫りにしていた。

久野青
久野青の背景と役割

久野青(くの あお)は、物語の中で森下やイジマと深い関わりを持つ重要な人物。彼女は一見すると儚げで病弱な少女ですが、その内面には達観した呆気ない意志や、深い洞察力を持っている。久野青の存在は物語全体に対する重要な視点を提供している。

久野青の性格と特徴

久野青は非常に繊細で感受性のある人物で、幼い頃から病弱だった。頻繁に通うことができなかった学校という敷居で、他の生徒たちとは違う視点から物事を見ていた。彼女の病弱さは、肉体的な制約だけでなくて、精神的な深い洞察力をもたらした。彼女は物事の本質を見抜く能力がある。その視点から森下やイジマの作品に行動を生じさせる。

久野青と森下の関係

久野青と森下の関係は非常に複雑。森下は久野青に対して明白な事実を、抱いており、彼女の存在が森下の創作に大きな影響を与えている。久野青は森下の才能を知り、彼が抱える内面的な葛藤にも敏感に気づく。

会話の一部

「森下さんは、これから何を描くの?絵、本当に素晴らしいね。これ以上何を、描くの。問題ないくらいに、充分に描けるのにさ。」

久野、先輩。ただ、僕は完璧な作品を描きたいだけなんです。

でも、完璧って怖いよね。
分かっています。でも僕にはこれしかなくて。

久野青は、森下が自分を追い詰める姿を見て心配していますが、彼の決意と情熱を尊重しながらも、彼の作品になることを望んでいます。彼女の洞察力は、結果。死を招きますが、それでも彼女の望んだことでした。
久野青とイジマの関係

イジマとの関係。久野青はイジマの作品を深く理解していた。彼女の内面的な苦悩にも気づく。イジマは久野青に対して、心臓の花のモチーフになった相手として認識しています。

心中少女って、ただの絵じゃない。
見る人に伝わるから、こんなにも反響がある。

「でも、そのせいで私が苦しむことになるなんて、あまり思わなかった。」

「そうやって感じていることも含めて、あなたの作品は真実で、価値があることだと私は思うけどね。」

久野青は、イジマの感情に寄り添いながらも、彼女の作品の持つ価値と影響力を認識していた。イジマにとって久野青は、自分の内面を理解してくれた一人であるが、それは451が彼女を作品にした矛盾になっている。

久野青の影響と結末

久野青の存在は、物語の全体にとって重要な意味を持っているが、彼女の視点や言葉は、森下やイジマが自分自身と向き合い、創作を続けるための重要な支えとなっていたはず。彼女の病弱さ、儚げな存在感は、作品に影響を与えた。
しかし、久野青自身もまた、病弱であるがゆえに限界を感じており、儚さが、物語の中で重要な転機を迎えることになり、彼女の死や消失は、森下やイジマにとって衝撃を与えて、彼らの創作にさらなる深みと複雑さをもたらすことになる。
久野青は、
他者との儚さを象徴しています。彼女の存在は、物語の登場人物たちにとっての灯火である、灯火が消えることで、彼らの作品の意味にもなる。



芸術家と呼ばれることに何の躊躇もなく受け入れる人間がいるものだ。東と西があり、東には451Saa、西には別の芸術家がいた。彼の名はIZIMAだ。IZIMAはアカウント名を 1ZIMA148から Gnaw1に変えた。それから推測できるのは、彼らがまだ十代であったということだ。
451Saaは天才絵師であり、彼の作品は刺激的で普遍的であり、時には本物のような存在感を持っている。
イジマの代表作は「心中少女」という絵だ。イジマと 451、どちらが絵が巧みなのか。独創的なイジマか、写実的な451か。もし材料があったら、芸術家はそれをどう使うのだろうか。人でも物でも、事件でも。その例として、心臓を食べたのは451だったという噂があり、当時のイジマは迫害を受け、最終的に行方不明となった。

FLOWER 僕は最後に、自分のことを笑った。なぜ、あんなことをしたのだろうか。いくつもの理由が重なる現実を受け入れることなく、ただ食べた。それは死でも生でもなかったが、望まれたことだった。僕が彼女にそれを伝えると、「構わない」と言われた。彼女の薄い現実と僕の理想が、たまたま一致していただけだった。
その現実は、誰が決めることもなくやって来て、彼女を疲れさせた。彼女は自分が薄めた現実だと自分に言い聞かせ、特別に咎められることもなかった。目的は合っていた。年齢や現実を考えたが、どれも僕の願いには叶わなかった。これをしたらどうなるか、その考えだけが膨らんでいた。

彼女は「15歳ならバレやしないし、その年齢なら機会だとは思わない」と言った。僕が「機会って?」と尋ねると、彼女は「現実とか年齢とか犯罪とか倫理観とかでやってはならない。それだけで守られている。世界に警告してあげれば良い。どうせそんなの気休めなんだって、湿布と同じ。痛みを和らげるとカモフラージュしているだけの紛い物を皆信じている。別に悪くない」と答えた。
「湿布」と僕は笑った。彼女の家族が言う通り、何重にも肉がついているのに、皮膚の上から湿布を貼って、何の効果があるのか、それを医者に伝えたら「そうですよね」と言われたと言った。僕はそれを聞いて、「それを言うなら、全部嘘かもしれませんね」と答えた。

「嘘?」と彼女は問い返した。「携帯や、読む本や、教科書も、知識も、遊ぶことだって全部嘘。それこそ気休め程度。生きるための付属品で、時々重たくなる理由でしかない」と彼女は言った。「そうだよね。似ているね、私が言ったことに」と僕は答えた。
僕は「心臓は花っていうフレーズが美しいと思って、ノートにメモしたんです」と告げた。彼女は「心臓に花は美しくなると思うよ」と言った。僕が「犯罪になってもですか」と尋ねると、彼女は「作品になれば良いよね。警告するなら、そのくらいしなきゃ」と返した。「15歳だから良いんじゃない」と彼女は続けた。

その声には毒はなく、純粋なもので、彼女を見ていると錯覚に陥りそうだった。
彼女が「計画はどうやって実行するかだよね」と言った。「考えてみたんです。僕が、食べるので、僕が殺します」と僕は言った。彼女は「私が自分で死ぬのは犯罪にはならないよね。食べればなるかもしれないけど」と答えた。
「計画に意味がなくなりますから」と僕は続けた。彼女は「どうやって殺してくれる?」と尋ねた。僕は「首を絞めるのはどうでしょうか、両手で」と提案した。彼女は「その後に食べるってことだよね」と言った。「ええ」と僕が答えると、彼女は「良いと思う。遺体は綺麗なのかな」と尋ねた。僕は「器よりは綺麗かと」と答えた。
彼女は「詳しいんだね」と言った。僕は「違いますよ。刃物は傷を付けやすい。
皮膚は柔らかい。力だけで済むことです」と説明した。
彼女が「計画通りに。どうぞ」と言い、僕は彼女に近寄り、首元に力を込めた。
彼女は抵抗することなく、その行為を受け入れた。彼女の呼吸は苦しそうで、目も浮ついていた。僕は力を込め続け、その行為が終わりかけると、彼女は最後に僕を見た気がした。視線を逸らした彼女を物にする必要があった。僕の目的は、彼女の心臓を食べることだった。次に僕は鞄からハサミを取り出し、彼女の澄んだ白い肌に触れた。まだ温かかった。彼女はもう呼吸をしていなかった。
僕は彼女の服をハサミで切り、心臓を取り出した。初めて手にした臓器は異様で奇妙だった。テレビで見る形とは少し違い、これが本物だと感じた。僕はそれを口に含み、食べようとしたが、味は酷かった。二口目で吐きそうになったが、それでも食べ続けた。
夜が更け、携帯のカメラで彼女の遺体を撮影した。作品として、証拠として。
次に何をすればいいのか分からなかったが、心臓を食べた後、自分の胃が何かを必死に吐き出そうとしていた。僕は耐えようと決意し、SNSにアクセスして、写真を投稿した。「心臓に花は美しいと思うよ」と。世間の声が増幅し、「これって本物?」と尋ねる声が聞こえてきた。僕はそのやり取りを朝まで見続けた。

APRICOT

心臓に魅力を感じた。理由を付け加えることはできなかった。しかし彼女だけは、決して怒らなかった。幼い頃から絵を描くことが好きだった。それは、風景や人、物など何でも描くことが日常だった。居場所を失う経験を他の人はしたことがあるだろうか。だが、他の人ならきっとこう思うはずだ。どんなに場所が変わっても、どこでも生きられる強さを持つべきだと。そう思えた方が楽だ。

自分の色が歪んでいるなら、その感情をキャンバスに出すのは得意だった。花を描いたこともあったが、彩りを考えず単色で仕上げた。「この絵はどう思う?」と人々に聞くのが楽しかった。

だが、突然居場所がなくなる経験をしたことがあるだろうか。僕はそれを経験した。新しい人が来ると誰かが咎めることがあるが、僕なら寄り添うだろう。それでも皆、寄り添いたがらない。九割の人間が同意すると、残りの一割の意見は通らない。僕はその一割の人間だった。心臓の持ち主である彼女も同じく一割の人間だった。似た者同士で意見を出し合った。答えは正しかった。

心臓外科の特番をテレビで見た。新鮮ではなかったが、画面の向こう側の臓器には魅力を感じた。鳥肌が立ち、不気味な感覚がした。普通の感性も持ち合わせていた。

彼女は儚く、透き通るような肌を持ち、黒く長い髪が特徴だった。学校にはあまり来なかったが、来ると目立つ存在だった。彼女が病弱なのは皆が知るところで、普遍的な日常だった。

僕は彼女に尋ねた。「なんで僕の言った計画を受け入れてくれるんですか?」

彼女は「面倒だからって言ったら信じる?」と返した。

僕は「何が面倒なんですか?」と尋ねた。

彼女は言った。「最初に発した現実が面倒。嫌なら来なくていいって、そうやって毎回しがみつく。嫌とは言ってないけど、こじつけるように、嫌なら来なくていい。でも来たら一緒。その現実が自分で決めた理由もなくやってくる。だから終わらせたいのもある。」

僕は「僕の役割と責任は、それを終わらせることも含まれますよね」と確認した。

彼女は「そうだね。いなかった人が消えても現実は同じ。あなたの理想は私と似てる。だから受け入れるだけだ」と答えた。

「でも、肉体を開くときには凶器を使わないとダメでしょ。心臓を食べることが目的なのに、解体の知識はあるの? 15歳だけど、簡単に開くものなのかな?」彼女は問いかけた。

僕は「ハサミを使おうと思って、鋭利なハサミなら15歳らしいでしょ。凶器と言われても納得ができる」と答えた。

彼女は「猟奇的ね。猟奇的なことをして、だから警告になる。ただ邪魔なのは、真似をされることです」と言った。

僕は「真似されても特別にいいと思う。独創性もオリジナルも既存品から生まれるから」と言った。

彼女は「そうだね、でも事件になったらテーマが必要だよね。僕はそれを『心臓に花』事件と呼ぶことにする」と告げた。

彼女は「分かった。じゃあ実行日を決めよう」と提案した。

僕は「そうですね。明日はどうでしょうか。今は?」と答えた。

彼女は「別に、今死ぬのは怖くないよ」と言い、僕は「じゃあ、壊してもいいですか?」と確認した。

彼女は「計画通りに。どうぞ」と言い、僕は実行に移した。

その後、僕は彼女の遺体を撮影し、心臓を食べた。SNSにその写真を投稿し、「心臓に花は美しいと思うよ」と書き込んだ。

世間の声が増幅し、「これって本物?」「作られたものじゃないの?」という疑問が飛び交った。僕はそれを眺めながら、朝までアカウントが注目を浴び続けた。
_With a stupid love「現実を信じたかった。」その意図は、バラバラの硝子の様に、反射する。二度と戻ることの無い繊細な炎の意図 _451。世間に知られるようになってから目的が何なのかを考えるように努めたのは私も含め、皆同じだ。それでも、私たちの考える理由は451は求めた意図になる事も無かった。ねぇ、451,貴方は何がしたかったの。悪意のWebsite、炎上した意図、答えの行方、全てが不明だった。悪意のWebsiteを誰かが創るのと同じように、私たちにだって、彼になろうと思えばなれたのだ。でも出来なかった。彼の意図は常軌を逸したものだった。彼の衝動と行動は、真似が出来なかった。でも言葉なら簡単だ。彼になれる権利を簡単に持てる。だから私たちは、今日も彼に焦点を持って話した。私だけは、真面(まとも)だと、願いを込めて。 狂気的な15歳!! 心臓を食む。心臓を食べた。

名無し420めっちゃグロテスク。これほんと? 名無し421本物みたいだよ!私たちが最初の発見者だよ。名無し425でももう見れなくなってない?422re法的なエラーだよ。 420 451ってこと?421そうそう ってことは絵じゃ無い?425 絵じゃないでしょ。あれは本物の人間。426本物の人間www427それヤバすぎ428そうそう うける 漫画の読みすぎだよ。429厨二病の少年のやった事を責めるの。428 re 429 厨二っぽいな。でも此奴、絵はなかなかうまいよ。428 絵。429絵 428プロみたい 430  確かに 巧みたな。431 何処で習ったんだろ。見出し、天才絵師、偽物を作ってしまうとかwww432 でも炎の意図って何。433 451度じゃない。紙が燃える温度。432 re それ何。433 小説だよ。知らないか。あ、こんな所に集まって喋ってる人間には縁はないか。 434 馬鹿にしてる。法的なエラー451だろ。435 それもあるだろうけと。 436 めっちゃ面白いじゃん。437 うんうん438 凡人には出来ないことだな。439 こんな所に集まって喋ってる人間には関係ないことか?440 そりゃそうだろ。本物なんだから。441 wwwwww442 ねぇ待って。炎の意図って。443 これを狙ってんじゃない。444 詳しく445 だから盛り上がれば盛り上がるほど、天才絵師の価値が上がるってこと。446 ちょっと待って。451www447 爆笑448 本物なの、本当に。449 待って450 何怖い451 だから誰か言ってた小説の451って華氏451度だろ? レイ・ブラッドベリの。_Questioning a world that forbids thinking?一度は思うだろう。自分は誰なのか。自分はなぜ文字を打ってるのか。なぜあのような画面を見ていたのか。でもそれをしたがると、横槍のように邪魔が入る。中の仕組みをしろうともしない。いや違う、中の仕組みを知らない方が都合が良いと伝えている。受動的に着けるテレビの中なら、偽物が本物の愛を伝えたって、必ず受け止めるのだ。「悲惨ですね。彼を助けてあげることをしなかった私たちだって悪い。」と気軽にエンターテインメントをしている。その間に流れるコマーシャルにだって疑問を持ちやしないのだ。そういうもの、として片付ける。なぜ?じゃあなぜ、そうなった。そこまでに辿り着くのに時間をかけて考えない。考えれば、捕まる時代に、考えることを諦めたのだ。考えれば罪が下ると、教え込まれたのだ。その結果を気に入らないのは、テレビを観てる私たちだろう。安全な場所で、善を縫った。安全な場所で言葉を発した。後片付けもせずに、譬えば、戦争が始まれば、戦争に行ってくださいとお偉いさんが伝えれば、一番初めに戦争に行くのが私たちのように、安全なんて守られてもいないのだ。そこにある疑問を、否定する事も肯定する事も出来ず。「命令。」された時にだけ私達はやっと応えることが出来る。そして思うのだ。なぜ、自分達は、あの平和を望んでいたのか、紛い物を信じていたのか、と。全てが紛い物だったと。時は過ぎて、遅くなって、解るのだ。あの時に、行動を起こせば、私たちだって、「命令。」が出来たのだと、時間は私たちに安らぎを与えるけど、諦めや、忘れも覚えさせる。だから、明日戦争に行ってくださいと言われても拒否する権利も、考える権利も、最初からなかったように、行くしか無くなるのだ。安全のためと、お偉いさんの命の負担に疑問を持たずに。ねぇ#そうでしょ。451#そうでしょ451#心臓を食む15歳#何を伝えたかった。#そうやって増えてくハッシュタグにも疑問を持たないで。_Let me scatter beautifully.「どうか。美しく散らせて。」と願い込むのだ。私はあの子だから真似をしたいと錯覚して、gnawと名付けた。今日もまた一人、錯覚の死を、利用するのだ。何を伝えたかった451のトレンドを偶然に見つけた。451の狂気の報道は日に日に熱度が増していく。見出しなら、毎回と言っていいほど、心臓を食むだった。私があの子を利用したんじゃない。あの子が私だったのだと微かに、願い込んで。「今日は綺麗な日だった。恐ろしいほどに、何時もは、青く、暗く、淀むのに、何故か今日だけは、美しくて、愛おしくて。」って誰が言ったのだっけ。gnawだったけ。供述だったけ。あれ……、「私だったけ。」  

@usapyon井島さん。死んだ?笑@_ookkookkGnawって垢、井島なの。 @maiponなにそれ聞かせてだからこれ@_Gnaw1 今日。私はここから飛び降ります。@usapyon 井島、シヌ予定。www@_ookkookk何か書いてある。ねぇ、マイ。お前さ、責任取れるの。@maipon あれ、井島って、誰だっけ? @usapyon 井島さん、さようなら! @_ookkookkなんか詩が書いてあるよ?井島、詩人とか。ええと。どうか美しく散らせて、 だってさ。@maipon 井島らしい。 じゃあ早く散ればいいのに。 @_ookkookk Gnawって何。流行りの事件のこと?重ねているのかね笑笑 いかれてるね。井島らしい。青色のマークが点滅してる。井島……なんかLIVEしてるよ。@maipon なになに笑 空?

@usapyon 井島さん?どうしたのー。美しく散りたいんでしょ!

その時の井島は、カメラ越しに私達を見て、その塔と呼ぶ高い所から、落ちたような気がして、それでも、姿は見れなくて、でも確かに落ちたのは事実だ。下まで、落ちる様子を見たから。でも、井島は、見れなかった。そこから、井島は行方不明になって、どこへ消えたのかも、分からなくなった。ただ文章に、今日は綺麗な日だった。恐ろしいほどに、何時もは、青く、暗く、淀むのに、何故か今日だけは、美しくて、愛おしくて。とだけは書かれていた気がする。


「Gnaw」
錯覚の死、私だけだったのだろうか。美しいと感じたのは。空、真上の空。映したレンズ。美しく散りたいのだと願いを込めて。
「美しく散らせて、美しく散らせて、美しく散らせて散らせて 散らせて」

必要なものだけで生きていたい
必要以上に大きくなりたくない

「美しく散らせて美しく散らせて  美しく散らせて
散らせて 散らせて」

錯覚の死を、利用する。
錯覚の死を、利用する。

他人、
他人に興味無い。
そういった最終警告すら叶わずに。

あなたが間違えたんでしょ?

誰かで、傷つくといつまでも、思っていたいんでしょ?

あなたが間違えたんでしょ?

あなたで傷つくといつまでも、思ってるんでしょ?

あなたが間違えたんでしょ。
あなたが勘違いしたんでしょ。

何も知らないくせに、権利もないのに
知ろうとするから、
欲に負けて、生きて、浅知恵の猿踊り。
欲に負けて、生きる。浅知恵の猿真似。

屋上で猿真似、猿踊り。
クルクル回って、投げた電話。
下まで落ちて、猿芝居。



「左様。左様なら。」






_Even when persecuted, even when dying.心中少女という絵を描いた。その絵は迫害される様になってからも、死にそうな感覚で朝に目が覚めても、私の代表的なイメージとして取り憑いた。14歳になった頃、まだ暑い真夏の夜に、私は絵を描いた。少女が死ぬ絵を、鬱陶しい自分と重なった。自分を殺す絵にしたつもりだった。自分を殺す絵。自分だけを殺してくれる絵。でも他人は違うものだった。その絵を私の価値として批判した。純粋に書いた。それだけのことだった。じゃあなぜ。載せたのだろうか。絵を。SNSに。誰も見ていない。影響力のない。アカウントに。でもそれは嘘のように、花開いた。翌日、その絵は十万以上のいいねを押された。私だと知って知らないフリをするクラスメイトにだって、最初は褒められたものだ。でも、それは私が迫害される始まりでもあったのだ。いいねの中に、手が震えるほど、衝撃を受けたと書いてくれるアカウント名があった。451Saaだ。同じことを、彼も同じように受け止めたのだ。同じこと。ただ純粋に、上手だねって、言葉なんて必要無いほどに、私達の絵はただうまかったのだ。でも載せなければ、わたしは上手く生きられたのかもしれない。心中少女と同じような生き方を、しなくても済んだのだ。それを451にメッセージで話した。「どうして。これだけ描けるのに。何に、怯えてるの。世間の人間なんか何も知りやしない。ただの批評家だよ。創作した人間の気持ちなんか、考えやしないのだから、気にするな。」「そんな批判をこれからずっと持ち続けても、何も怯えないの。」「そうするつもり。」「451はこれから、何を描くの。」「心臓に花が開く絵。」「そうなんだ。それも、綺麗なんだろうね。」

それが現実になるまで。私達は夢の中にいるように、純粋に戦った。西には私が居て、東には、あなたがいた。それだけが、私の生きる糧だ。それなのに、現実はやって来る。

_One day at a time, no more, no less.
『有り触れた題材だと思って。』
画面上に操作して産まれること、全てに抗いたくて。いつかは報われる。いつかは叶うものだ。そうやって信じた現実は、たぶん。人それぞれだ。俯いた時間の中に、形として、産まれた。それは、塵だったのか。塵として作品を作った当人(自分)が、食べることもしなければ、吐気は溜まるばかりだ。その時にいっしゅん芽生えるものだって、一つの勘違いで、夢や希望に履き違える。重たい荷物、鬱陶しい、言葉にしたら臭いだけだ。文章に愛を込めれず。目に見えるものすべてに抗う権利さえないのに、画面に逃げるのだ。
『それが助かる方法なの。』って淡い希望を持って。

現実と虚構様
私は長らくこの題材で、誰にも為にならない物語を、執筆してきました。言葉を混ぜ合わせる中で、どこで虚構になり、現実になったのかと信じて。これから続ける。亜の話にだって、それを「信じた。」と愛を込める、作業なんて簡単なのです。私が欲しいのは、映像です。誰よりも巧みで、誰よりも、達観して、忠実に再現をする才能です。私が教えた子の中では、独りだけ。
『それを巧く表現した人間がいますが。』
作品としても、繊細で、烏滸がましい事もなくて、信じれば美しさを、持っていました。嘘なら、私が可笑しいのでしょう。そんなものすら、創作することが出来ないのですから。では、彼が。自分の思想、計算、頭の中の設計図を全て、表現したら?上手く表現する事の出来ない。所謂、普通の人間には才能あると疑ってしまう事が、私からしたら、普通に見え、ただの現実としか思えないのです。だから作り替えます。有り触れた題材を、愛して。現実になったら面白いと、疑って。きっと人より、少しだけ小賢しいだけで、才能とは言わないから。だから私は映像を、自分の拙い絵で描きます。私よりも、達観した彼の絵では無くて、私より遥かに向こう側に行ってしまった。人間達に愛を込めて。

FloweR_
悪意のポートフォリオとか、嘘とか真実とかに、惑わされて、表現不可になるのは勿体ない。安心して、君がおかしいというのなら、僕はもっと歪んでいる。

夜に響いた。東西関係、東西決戦。イジマの描いた絵を眺める。TRUE False二択の選択肢の中に、東と西。

@451Saa@IZIMA148

「写真だと疑われたことは無い。」イジマが夜中にメッセージを送り付ける。「十四歳や十五歳で、巧みに絵を描ける人間がいたら、それは嫉妬の対象か、疑われるだけか、生きづらくなるだけだよ。いい事があると思う。」「だから真実か嘘ってこと。」素っ気なく返したつもりだった。「アンケートのこと。そうだね。東と西にして、嘘をついてるのはどっちでしょう。聴衆の意見を考えた。」イジマも同じく。「東西関係とか東西決戦って。」「私のクラスメイトには、貴方ほど、描ける人がいないの。狭い世界だけどさ、広い視野を持てば、あなたみたいな人にも出会える。西には私が居て、東には、あなたがいると思って。」「東と西、いいね。」「決戦をしようと思って。私たちのお題は、世間から集めるの。私はそれを独創的に描くから、あなたはもしそうなったら、どう表現する。」 

どう表現する。今思えば、これが何もかもの始まりだったのだろう。

東西関係の人気絵師 お題で作品を創る。

皆さんに、伺う事があれば。それは私たちに、どんな作品を描いて欲しいのか。それだけを募集しています。

 決戦は、一ヶ月の間に。募集は、三ヶ月前より受付。

 西にはイジマ、東には451が居る。

その作品を信じるか、嘘として受け止めるのか。

僕たちはSNS上でこれを拡散した。東西関係と東西決戦は、所謂、大人たちの世界では無くて、下品で、稚拙な子供の演目みたいに、注目を浴びた。  

『心臓に花は美しくなると思うよ。』『心臓に花は美しくなると思うよ。』『心臓に花は美しくなると思うよ。』

イジマは 「あなたは何を描くの。これから先。」「イジマは独創的だから自分の思う通りに描いて、僕は写実的に描くだけ。」「きっとそれも綺麗なんたろうね。」「綺麗だったことは無いよ。自覚がある。歪んでるから、美しさに慣れていないだけ。少しでも色があれば、花開くと思うだけ。」「美しさに慣れてないって。」「歪んでいる人間は、機械的で、無謬性の機微を、愛せやしないの。」「無謬性の機微って。」「イジマの絵はこれからどんどん評価される、何も考えずに、描けばいいから。」「どうして。」『歪むことのないように、生きていよう。』発したのは、自分だった。嘘か真実に、異常に惑わされたのだろう。嘘を嘘だと、信じていたのは、自分だったのに。

@451Saaへ「イジマの絵の方が好きなんだけど、あなたって本当に描いてるのー。」

なにかひとつでも、得意な事があると、受け入れられない。子供だと尚更だ。理解してた。でもそれは、積もりに積もって、似非絵師とか、嘘絵師と云われる様になった。自分の心は、あと少しで零れる。その予感だって、充分に、感じていた。

「これ以上は歪むことの無いように。」イジマはなんて答えたのだっけ。

忘れてしまった。

(FloweR 了)

_One day, I looked at it. Just that picture."I decided to die"
私は、傍観して、絵の中に入りたいと思った。451が彼だと、知っている、知っていたと問われるのなら、どちらでもないと応えるだろう。ただ空気中の出来事みたいに、その事象は起きていた。事象は、空気中に澄む特異な色を出して、子供の私達を、摑み取る。影でこそこそ、携帯を触るクラスメイトに、気付かない理由(わけ)もない。451は、同じ空間の、同じ校舎に、透明な色を出して、私達と微睡むのだ。時々、学校ヘ来る私だって、その空気を悟っていた。「田中先生。」と伝えたら、良かったのだろうか。私には、頼る人がいないのだ。いるのなら、このクラスの担任になった。田中先生だろう。彼は、私の背凭れを、気にして、褒める。「清らかで、正しいね。」と背筋をなぞる。でもその裏の意図は。あなたは今日は来れたんだね、という意思。教室の盲点といないわたしの、担任は、運が悪かったのだろう。だから清らかで、正しいと言葉を貼る。私には頼る人が、いないのだ。誰もいない。学校へ来ても、誰もが知らない振りをする。私はこのまま誰にもなれないまま、生きてゆくのだろう。病弱って言葉だけを抱えて。あの子は病気だから、仕方ないよ。私達が優しくしてあげなければ、死んでしまうよ、と余計なお世話を、自分にも他人にも課せて、生きる真似をするだけだ。自分の未来が怖かった。自分の将来が視えなかった。泣きたかった。誰か助けてと発したい。影でこそこそ携帯を使った。今有るのは、事象だ。451に連絡を取ることにした。クラスメイトは誇らしく思ってるのだ。巧みに描ける人間がいることに。私は、其れに成ればいいだけだ。ダイレクトメッセージを開く。「今日会えない。」英語の授業中だ。英語で、感情を綴るならOne day, I looked at it. Just that picture.「I decided to die.」だろう。

_It's neither poison nor medicine, okay?毒にも薬にもならない。水で薄めた絵に、価値は無いと言われた。貴方だけが、特異だと思い、自分だけが、巧みだと考える。その連続は何も産まないよ。教え子にはきっとそう言うのだ。例えば、それが、議論を呼ばない本物の薄い絵であっても無くても。最初から一緒なら、無くてもいい。害にもならない作品を、自分だけが塵だと言って、心做しか、勝手に愛することを、‘’くだらない愛‘’と訳して。

_Bad Habits and Playing the Trigger「なんでですか。」と僕は言った。「だから君の作品を、取引した。」と言えば解るかと、大分風情に溢れた髭の生えた。短髪で、黒茶混じりの髪の毛をして、基本的にスーツで過ごす人間が言った。歳は四十代から五十代だ。会った時は、未だ若かったのだと、髭から気付くものだ。最初は生やして無かった。‘’この人は老けた“と、自分(僕)に訴え欠ける。僕が自分の作品を愛せないことを、この人なら知ってるはずだ。「いや、信じてくれ。君の作品は水で薄めた現実じゃない。」と僕の目の前で言う。「じゃあ、一体、なんですか。」「本物の現実だ。」「現実?」「語弊があるか。君の作品は、公に評価されるべきだ。例えそれでマイナスが付いても、それは一つの評価になる。レビュー、星五ばかりの本みたいな作品とは、違う。あ、これも語弊があるか。」僕は、黙ったままでいることにした。「これは、現実だ。君は、現実を作りかけて、いつも塞ぎ込む。私はそれを、取引した。」自分の頭の中には、嘘絵師、似非絵師が言葉が膨らんだ。擦れた言葉を吐いた。「先生。」と細々に。「僕の絵は、本物ですか。なぜ僕の目から視える世界って、綺麗じゃないんでしょうか。僕の目がおかしいのでしょうか。自分の世界に色が無いと感じるのなら、眼鏡でもかけた方がいいのでしょうか。」先生と呼ばれる人間は、僕をゆっくり見て。「もう一度言おう。君の絵は現実だ。」「現実。」「そう。」

自分の心はあと少しで零れる。その予感だって、充分に感じていた。あとはなにが、残るのだろう。議論を呼ぶこともせずに。

心中少女」

という絵を見た。僕の感覚とは違う。独創的な絵。作者はイジマという人物らしい。少女か死ぬ。それだけの絵は、投稿の次の日には、十万以上の好意的な評価を受けた。それと同時に、なぜ。“そんな“物を描くのかという否定的な声も起きた。レスポンスの欄には、中傷的な言葉も書かれていた。 好意的な意見の中には否定的なものもある。自分だって、経験したことがある。織り交ざられる意見よりも前に、一枚の絵。心中少女は、ただ素晴らしかったのだ。ディテールや、デザイン、腕を切る最中(さなか)の血の滴る。Vivid(ヴィヴィッド)な赤色。全てが計算されている。返信を自ら、送ってみることにした。@451Saa  「初めまして。単純に言うと貴方と同じように絵を描いています。どのように描いたとか聞くとおかしいけど、緻密な線とか絵のデザインとか、完成度が高いですよね。」返事が来るかは分からない。けれど、待つことにした。幼い頃から、特技を持つことを許されなかった。人って、特別なことをする時は、いつも最低で、それと同時に絵が得意なことは、馬鹿にされてきた。それはまるで、生きる糧が無くなるような感覚で、その度に一割の僕の思考回路といえば、大人や周囲の人間は、古い考えなのだろうと受け止めてるのだった。絵よりも、運動(スポーツ)や、勉強、価値があると決まっていることに努力を注ぎ、それ以外のことを、受け入れるのは、駄目だ。他人の価値観には合わないだけだと、納得して生きて来た。でもイジマだけは、正反対に居たのは確かだ。全てを覆せるほどの破滅的な破壊力のある絵 僕は一枚の紙をデスクに置いて、ペンを持った。心中少女の模写をしようとした。全く同じものを創るのは不可能だ。自分の味方は自分というように、己の画力だけを注いだ。下絵の線を引いて、大まなかデザイン、細かな線、走る手とペン。手動的なのに、機械になった様な自分は、傍から見たら、絵を描くロボットだろう。正確に、正確さを。二時間で絵は完成した。あとは色を塗るだけだ。携帯の存在を忘れていた。画面を見る。返信が来てた。

@IZIMA148「こんにちは。評価をありがとうございます。このような反響に正直驚いて、一人ずつに返事を返してるのですが、貴方も書く人間なのですね。SNSの絵を見させて頂きました。とてもリアルな絵を。」  僕はそれを眺めて、返信を付け足すことにした。画像と共に。

心中少女re

と、送った。

 イジマはそれには直ぐ反応して来た。「なにこれ!凄い。描いたの?私の絵、模写してくれたの。」その会話は、レスポンスとして、他人からの注目も集めた。「色は。」とイジマが聴いた。僕はそれに対してこれから塗る予定と返した。「これは凄いよ。天才だね!」世間の人間達が、会話に集まってきた。要するに、イジマを起爆材にして、僕の名も知れるようになった。

君の絵はもう水で薄めた現実じゃない。

そんなものを捨ててしまえるほどに、現在(いま)の時間は何故か楽しかった。純粋に絵を楽しめる時間が、心地よかった。絵を教えた教師の言葉よりも、イジマと話してる方が楽しかった。本当に、本当だ。それなのに。所詮、他人だという言葉を、知らなかった理由じゃない。他人に焦がれた理由でも無い。胸も焦がれることもなく、イジマの絵は、たとえ、人が死ぬ絵でも、正しい描き方だった。

その楽しい瞬間すら次には忘れてしまった。僕の絵は本当に取引されたのだ。

取引と引金

絵を描く死神が、存在するとしたら。もう自分じゃないことくらいは、理解していた。未だ小学生くらいの子供の能力に、何かを見いだしたから、教えたのでも、無かった。あの少年は、全てを憎んでいるように見えた。この世界の総てを、煩わしいと感じているのだ。初見で、この子の裏側には怪物が存在する。怪物を心に雇うことは、なにかの能力に発火した時に、化けるのだと、自分自身も知っていた。だから、まだ幼い少年に、興味を持った。だから、絵という生きる上で特別に、無くてもいい付属物を与えた。絵の描き方と、知識を。その少年は成長するに連れて、絵の感度も、完成度も、巧みになってゆく。アーティスト名はモリシタ。ネット上の別名義だと451として活動もしてたらしい。でも本当の名前はモリシタ。凡庸な名前で、普遍的。芸術家と呼ばれることに、なんの躊躇いも無く受け入れる人間がいるものだ。彼は其れだった。自分を信じている。死神は、もう自分じゃない。嫉妬したのが、自分の正しい言葉だ。己を超える死神。皮肉にも、創り出した。きっかけは自分なのだから。仲介者に紹介をした一枚の絵は、白髪のアルビノで、瞳なら灰色だ。
「どうして、アルビノなんて描いた。」と聞いた事がある。彼は単純に、明確に。
「異端で、神秘的でしょ。」と応えた。
モリシタは、そういう性格だった。白か黒か、巧みか巧みじゃないか、灰色を嫌うはずなのに、瞳の色なら、正しく灰色なのだ。灰色の瞳として、名付けられた。絵は、仲介者に渡した。適切な評価を受ける為とだけは、彼に、伝えて。幾らで売れるかと尋ねるよりも前に、コレクターと呼ばれる人間の耳に「アルビノ」の情報が、入った。コレクターは、多額の資金でこの作品を買うと言った。 言ったじゃないか。これは、評価だと。噫、もう自分は死神では無いのだと、俯瞰して。

死神
あなたの名前はと、問われるのなら。
七月には、エミリーと名乗った。自分の名前を自由に変える癖があった。出会う人に、その都度は名前はこうだと発する。名前の概念が一つだけであっても、こんにちは、さようなら、はじめまして、と別れては会う事に、なんの躊躇いもなく、名前を変えて自己を紹介した。でもそれは直ぐに嘘だと統一されて、付いた愛称や自分を代表する言葉が“死神”になったのは既に古いことだった。その都度、変える名前に、呆れと憤りを感じた人々が、
「あなたは死神だね。」と云う様になった。死神は生きる上で、自分に価値をつけて、死神だ、死神だと自分に言い聞かせる。それはそれで自分の価値が固定されたようで、生きやすくもなった。死神というアイデンティティが固定したからだ。疑問を持たなかった理由もない。ただ、生きやすくなった。死神と呼ばれる人間の描く作品は、毎回、取引の価値も上がる。ソーシャルネットワーキングのサービスで、東よりも西に住む。イジマと呼ばれる少女の描いた心中少女と題した絵を見た。繊細で、美しくて、臆病で、手組を切るだけの絵。血は滴り、少女の身体が横たわる敷物には、美しい。活きた赤色が鮮明に、映えるのだ。噂が噂を呼んだよりも、自分の教え子から教わった。教え子の少年の名前は森下で、どこか歪んでいる。歪んでいる?いや違う世界を憎んでいる。総てを、煩わしく思っている。それは、会った時から彼の性格や思考回路は、変わってはいないのだろうかと自分に疑問をする。彼は何が変わったのだろう。死神と呼ばれる。私よりも遥かに巧くなったというのに。
「先生。」と彼は怯えて話した。僕の絵は本物でしょうかと、僕はそれに付け足して、現実だと発した。そう。現実。僅か15歳の描く絵は、現実なだけだ。彼にそれを教えたのは、もう何年も前になる。水で薄めた絵を描くなとだけ。描くなら、一緒に生産を出来る人間になれと、絵は世界を救う。絵は総てを救う。それよりも己を救え。世界に敵しかいない君の為にも、そうした方が良いと伝えた。それでも皮肉の様に、自分の進退を決める出来事が溢れると、憎しみに変わるのだ。嫉妬に変わるのだ。己がそれを教えても、人間の本質は変わりはしないのだ。死神を超える。そんな絵を売った。勝手に取引をした。盗作出来るほどの画力もセンスも今の自分には無かった。アーティスト名_モリシタではなく。死神の名前で。
八月には、会う人会う人に対してデービッドと名乗った。デービッドだとしても死神と解る人間達に。
「新作凄かった。」と云われる様になった。モリシタの描いた。“アルビノ“だ。それは数千万円でコレクターに引き渡されて、当面の生活費を得たのだ。彼は、その事実を、知ってても、知らなくても、自分には表情崩さずに接する。教えて貰った恩かと聞いたことがある。モリシタは何にも反応せず。ただ。
「あなたのやったことだ。あなたの自由にすればいい。」と発した。
「あの絵に未練は無いのか。」と聴いたら。
「特別には無い。ただの一枚の絵。」とだけ。
モリシタの癖みたいな表現が言葉でも溢れる。
「先生。その絵、たとえあなたが本当に描いたと言っても直ぐにバレませんか。なんて言うか、先生らしいのは、教え子の私なら、解ることです。」
「嗚呼、それで。」
「でも先生にはあの絵は描けない。」
「だからバレると。」
「ええ、わかる人にはわかるかもしれませんよ。」
「そうか。」と笑って会話が終わる。
噫、それで、九月には、ムラカミと名乗った。


「それで。」
So you ask me. Where are the people who monkey around? Exemplary people spinning around on rooftops. After all, you and others are full of lies, and that's okay. Who do you expect me to believe? Are we to call a lie a lie because surely only the exemplary answer is beautiful and a tribute to the ridiculous? Truth or lie, it's crap. All we need is to accept what is in front of us, or to be able to observe what is in front of us. Come on, time is running out. Quick, go before the blue bites you, before you get shot. I'm here. You have no choice, you have to lie, and what's beautiful about that, no. No, it isn't. It is impossible to live without lying, I wish over and over again. I will say again and again that the illusion that living without lying is beautiful is what makes this composition so bothersome. Who are you? Who are you? Who have you been from the beginning?

「溺れる。」

薄明かり 幽玄の響きが静かになる。溺れそうなわたし。月光虫の舞う世界に迷い込んでる。沈みそうなわたし。朧の夜に、心臓の鼓動が幽玄の夜に溶けたの。詩情の灯火が、夜に映えて。食べる音。響くのが、一割程度の雑音。呆気ない生命力に唖然として、逃亡する透明の私情。芸術的な感覚が、名もない花を毒と云った、機微の真似。無謬性の愛が煩わしい。世界の総てが煩わしい。最後まで残った。作品の私、心臓の鼓動(beat)と花の香りが響き合う。解けた花束散って、花弁。揺ら揺らと流る命は、世界の警告。世界への警告。終わらせてくれ、終わらせてくれた。幽玄の響きが静かになる。月光虫の舞う世界に迷い込んで、沈む私。溶けた。溶けた。溶けた。

_心臓を食べることを美しいと言ったのは、一割程度の彼女だけだった。
「東西決戦を、なんとなく画面上で、眺めた時。」と、久野は言う。久野青。名前に青が入っている。
「単純に綺麗だって思ったの。」久野は、死ぬ前に僕に対して、話したことだ。
「あなたのこと最初から知っていた。子供よりも大人で、大人よりは重要じゃなくて、繊細に溢れる価値。」久野はどこか諦めても、何故か達観するような言葉使いをする。会った時から、そうだった。
「最初からって。」
「森下さん。あなたの癖がネット上に出てくる。」
「癖。」と疑問風に。
「缶コーヒーを飲むでしょ。同じメーカーで、同じ飲み物を。」
「えぇ。このzofってコーヒーなら今も持っています。」
「森下さんのSNSは、かなりの確率でそれが入ってる。捨てる場所も一緒。皆。」
「皆。」
「苦いコーヒーは飲まないから、それが捨てられるのを発見した時には、気がついたの。」
「なにを、でしょう。」
「学校の自販機で、買わない人間がいることに。」
「僕って、どっかのゴミ箱に捨ててましたっけ。」
「ストーカーみたいで気持ち悪いけど、写真を撮った。記録のために。画面の中のコーヒー缶は、無意識に、同じ場所。美術の部屋の外に捨てている。」
ああそういえばそうだ。僕は家から持ってきたものを、捨てている。確かに、美術部の外のゴミ箱だ。
「無意識的に観察することは、大切ですよね。」と僕は言った。
「無意識的に。じゃあ、絵と同じだとは、思わないかな。私はあまり学校には来ないけど、多くのものを一度に吸収する癖が出来たのかもしれない。」
「それは大切なことですよ、先輩。人や物も観察することが大事ですから。」
「東西決戦。結局、あなたは。嘘だったの、真実だったの。」
「それはくだらないことです。先輩。」
「何故。」
「嘘でも真実でも、どうでもいいことです。」
森下の僕は繰り返す。
「久野先輩。」
「何。」と応える。
「あなたは受け入れることが出来ましたか。その二枚の絵を信じることが出来ましたか。」
「私は、単純に綺麗だと思った。イジマっていう人の絵は、繊細で緻密で、美しくて。」
僕は時間を置いて、はい。と言った。
「あなたが描く絵も、だった。」
その時、無理に微笑んだ。先輩が言ったことが総ての真実だった。それで咄嗟に彼女なら作品に出来ると、自分を信じた。
「心臓に花が開く絵は美しいとは、思いますか。」
「新しい作品。」
「そうしようと思って。」
「どんな感じ。」
「僕のイメージは、少女です。世界に何時も独りで居て、死ぬことに躊躇いはなくて、心臓を食べられて、その空いた穴から花が開く。」
「そうなんだ。独創的なんだね。今度は。」
それが現実になるまでもなく、事実、久野先輩は常に死を意識していた。
「じゃあ、先輩。なんで、あなたはそんなに。」
え。なに。なんか言った。聴こえなかった。ごめん。もう一度。言って。
「なんでもないです。」
先輩の秘密をこの時に知った。
突然目の前が暗くなった様な錯覚。
「モリシタくん。心臓は、美味しかった。」
10%の僕たちが出来ることは限られている。だから早く。憔悴しても、しなくても、美しいことをしなければならなかった。


_Hydrangea and subject

全てが青くしなってしまえばいいのに。しなう。応える。目の前の紫陽花を観察しながら、ウイは喋る。どんなに自分が汚れていても、誰かを愛せるのなら、それはまともな事だろう。無理なら、応えるだけでもいいはずだ、全てが結局、終わってしまうのだ。世界も、明日も、消えてしまう。人間がそのように脆かったのだ。過ごしやすい時と場所が、突然。奪われるような、世界から溢れた自分と、色彩感覚のように色の着いた周りの人々。何も書けなくなった自分。何を咎める。誰を咎める。この物語の登場人物なら、みんながみんな自分を責めている。誰も信用していない。そうだ。だから、半分嘘つき。いや、滑稽なほど、嘘で出来ている。騙して、生きている。素直に生きれなかった。最初にしまえばいいと応えた。いや、それよりも、離反しているのだ。飽きてしまった。飽きてしまった。誰かにも、他人にも興味を示さなくなった。それは、唯一の希望でもあり、薄っぺらい。草臥れた事実でもある。誰かが教えてくれないから、命令されることを望む、というより。誰かに応えるという健気さを、失ってしまった。どんどん加速して、スピードに乗って、折れてしまったのだ。そういう人間だ。仕方ない。
「それでいいよ。何も期待していないから。」
期待すればするだけ、損をする。挙げ句の果てに、心が無くなる。そうやって繰り返す心臓の鼓動と、感情と感覚。無くなってもいいから、早く。自分の美しさをくれと願う。それが出来ないなら、自分が消えてしまえばいい。誰かを消してしまう前に。そう思ったのに、それでも、青。青だけは、自分の描く被写体を超えて、少女の死ぬ絵よりも、立派な作品に、なってしまったのだ。これから、続く話は、登場人物の、嘘と真実だ。


「先輩の青ってなんて意味ですか。青って時間だと思うのですが、違っているんでしょうかね。」「時間の色彩ってこと。」「青いまま枯れてゆくって歌詞があるでしょ、だから歳だと思って。」「青が好きなの。」「特別な色だと昔から思って、ねぇ先輩。もし世界の首都が消えたらどう思いますか。」「綺麗になると思うよ。」「嘘と真実って難しいですね。」「簡単だよ、嘘って告白して、その後真実を述べればいいだけ。」「小学生の頃、自分って形成された漢字、上と下で意味が合う用にって提示する課題の時に、出した覚えがあります。そしたら、難しいねってクラスメイトに言われました。」「自に分けるだものね。確かにわかりやすい課題とは合ってはいないよね。」「でも深く調べれば解ることでしたよ。」「なんて意味。」「言葉を増やさなきゃならない作業で、会話を無理矢理容れる時に必要なことです。」「自分。」「えぇ。」「象系文字なんです。人が目を保つ。」「へぇ。」「自分自身。」「そう。」「刀で分ける、分割する。」「詳しいよね。無駄な物知りって意味あるのかな。」「本当ですね。」「時間は大切だと思うけど、応えられない自分はもっと悪い。」「そうですよね。」「うざい質問と応答の繰り返しみたいに。」「ねぇ、首都が消えるだけで、この最低な仕組みは変わりますかね。」「変わるかも知れないよね。」「冷めてますね、なんか。死ぬからですか。」「他の人と感覚が違うからなのかな。」「諦めていますよね。」「それもあるよ。」

_False モリシタ
三角形の窓があった。一軒家の窓の中で見る向こう側の人達と、部屋の中にいる自分。手で輪郭を作って、絵のタイトルにした時に、ひとつの作品が完成した。三角形の窓の向こう側には、はしゃぐ子供。笑う大人。飛び回る音。庭があった。手を振る幼い男児。こっちおいでよ、と。それに対して、時間を置いて。笑顔で拒否をする。僕はここで描いているから。それが完成したら、あなた達の元へ行くよと約束をして。でも出来なかったんだ。でも出来なかったら、他の人は足掻くのかな。筆を置いて、手を伸ばしてでも、行くべきだろうか。それとも、部屋の中に僕と二人きりで、対面する村上先生の言う通りにするべきだろうか。描いた絵を見せたら、違う、そうじゃない。御前には、価値がない。教えた通りに描け(えがけ)と、アレンジは要らない。怒る教師は、僕の手をたたいて、ほら、こうだよ。ほら、こうだよと筆を添える。ふと視線を外して、窓の外を観た。楽しそうな風景。この人達は、誰だったけ。僕と、なんの関係があったのだっけ。椅子が倒れる音。びっくりして、視線を戻したら、村上先生が、笑ってた。とても汚い目で、汚い。汚い。汚い。あの頃の僕の家には、時が止まったままの人が居て、天井が空いた。開放感のある階段を登るとひとつの部屋があった。十九歳で、生きることを諦めた病弱な人間がいた。窓の外の人達はその人を支えるのに必死で、僕を観ようとはしなかった。僕の作品を深く知るのは、村上先生と、僕しかいなかった。だから僕は必死で先生にしがみついたし、先生は必死で応えてくれていると思ったのだ。先生は、上の階を気にして視線を配る。それに対して、気にせずに、鉛筆で、絵を描くのが日常だった。僕の世界には先生しかいなかった。或は、十九歳のままで生きているその病弱な人間か。彼女は生きているものの、生気は無かった。もう午後。起きているのかと心の病んだ人間の神経をすり減らすことの無いように、僕と窓の外の人達と、先生達は、心配をする。これは一生続くのかとか、当時は悩んでいたものだったのに、でもそれも呆気なく終わった。病は人を呑み込むことを知ったからだ。遂には、その少女というのか、大人未満というのか。其の人間は、部屋の中で、死んだ。全てに絶望をして、ベットの上で、眠ってたんだ。人の死に触れたことあるとか、第一発見者は誰とか。事件を検索する度に、病んだ心とか、その鮮明な赤色とか、覚えてなかった訳じゃない。僕は二階の部屋にキャンパスを持って言って、“其れ“を描いた。色は赤色で、本物の色を使った。先生は、二階の部屋に上がって来て、この絵と少女の状態を知った。両方を観て、この少女を描いたのかと、そうだと応えた。先生は僕を捕まえようとした。心の中で繋ぎ止めるように。でも僕は誰にも捕まらなかった。その一枚の絵から、僕の構図は、正確になった。でも色だけは足せなかった。透明のまま、透明のままで。そうだ。誰も僕を捕まえられなくなったのだ。あの頃から、ずっと。先生も、三角形の窓の外の人達も、僕自身を誰もが観なくなった。いや違う。諦めたのだ。僕自身が“其れ“を。

flaming イジマ
イジマってさ?あの井島なの、井島愛花。
って、軽口で言われた。わたしの垢が炎上する前の狼狽えた言葉が、胸に刺さる。
混紡(こんぼう)に紡ぎたくて、赤い絵の具を使った。ヴィヴィッドに死にゆく少女。心中未遂?なんだよ、それ。古いなぁ。いつの時代の人間だよ。レスポンスが酷くなりつつあった。でも良いんだよ。頭が有れば、幾らでも解決が出来るし、それ以上に、盛り上がることもできる。意図的に面白いなって、炎にすることもできる。犯人なんて知らなくてもいいし、行方不明のままで良いのだ。それよりも、自分が消えてしまう様な気がした。このままだと。わたしが。憂鬱な月曜日が来た。わたしはまた。あの場に行かなくてはならない。
「愛花。ちょっと話があるから。」と何も知らない母さんが。
「なに。」
「あんた。もしかして、この絵をネットに載せたの。」目が見開く。
「イジマって、あんたじゃ無いの。」と立て続けに。
「イジマがわたしでも、わたしじゃなくても、母さんには…あの絵は、描けないよ。」
「学校で騒ぎになってるのは、知っているの。」なんのことかわからなかった。
「これを見て、この絵を見て、本当に自殺未遂をした子がいるの。」えっなにそれ。わたしははぐらかす様に喋る。
「じゃあ…それって、誰なの。」
「愛花の隣のクラスに、加々見さんっていう女の子がいるでしょ。その子、愛花だと知って、あなたの絵に憧れて、腕を切ったの。」
「そんなことわたしに言われても困る。わたしだって大変なんだよ。これは。そんな事の為に描いたんじゃないよ。自分の為に描いたの。」もう無理で、泣きじゃくるように喋った。
「愛花、アカウントを消しなさい。」
「わかったから、もう話しかけないで、学校へ行くから。」
「愛花、そんなで通えるの。」
「通える。」
「どうして。」
「だってわたしの世界には学校しかないもの。そのアカウントは、わたしの世界じゃ無いんでしょ。迷惑かけるなら、消すから安心して。」
じゃあ、行ってきます。とだけ返して、母親の顔を見ずに通学することにした。
イジマってあの井島なの、井島愛花。
ぴろんぴろんぴろんぴろん。と立て続けになる音。
色んな垢名からコメントが来てた。
“自殺未遂してる子がいますよ?あなたの責任でしょう“ 違うそうじゃ無い。
“早く消せよ、垢。“ なんで。
“お前が死ねよ“ っえ。わたしは歩く足を止めた。かたんかたんかたんかたん。
目の前に電車が来る。踏切の合図の音が鳴る。そっか、わたしが死ねば良いんだ。誰かを傷つけたのだから。かたんかたんかたんかたん。一歩、二歩、って飛び込めば。死ねるんだよね。心中みたいに。でも通勤ラッシュで、朝のこの時間帯に、死んだら、家族にも迷惑かかるのかな。じゃあやめた方がいいのかな。学校へ行っていいのかな。また何かされるのかな。どうすればいいんだろう。どこにも逃げ場も行くとこも無いよ。ねぇ。どうしよう。涙が出てきた。ふと視線を、スマホに向ける。451Saaのニュース。メンションが来た。@451Saaってもしかして、心臓食べた犯人? あぁそうか。そんなものなのだ。ヒト(他人)なんて、、所詮。検索ランキングに、自殺未遂、絵のワードが並んだ。わたしの垢は、炎に燃えた。嫉妬も入ってるとか、擁護する声も聞こえたけど、聞こえたふり。やってしまったのは私だ。私の責任だ。そうだ。だから早く私も、そうしなくてはならないのだ。早く、早く。泣きながら歩くと、世間の目は怖いものだ。学生が、こんな時間に、学校にも行かずに泣いている。側から見たら滑稽に映る。答えなんて明確に、残忍なのに、愛してしまったのだろうか。わたしは、あの絵に取り憑かれてる。

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