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曽野綾子 対価

すべてのものには

対価を

払わねばならない。
ただのものはない、

というのが私の実感である。

すべての物事には対価が必要ということだ。

友達を作るのも、

会話をするのも、

すべて自分が出ていき、

相手の顔の見える距離まで近づき、

時には同行してある場所まで移動し、

同じ困難にも耐え、

誤解を受けることと理解されることの双方を体験し、

その結果、

諦めも覚える。

人間関係を築くのも

さらには

友情を築くのも

対価を支払う。


お互いが困難にも耐えながら

時には

助け合い

そして

許し合いながら

友情は築いていくものだろう。

そうやって

血を流す思いで築くのが

人間関係であり、

友情なのである。

共に多くの困難をともにするからこそ

深い人間関係ができるとも言える。


逆からすると

深い人間関係になるためには

困難と

理解や誤解

そして

諦めを持ちながら

血を流す思いをすることが必要となる

ということだ。


それが必要となる時には

その対価を払う

覚悟を持ってするしかない。


しかし

その後には

固い友情を得ることができる。


そのためには

お互いに

許し合い

助け合う気持ちがなければならない。


そして

大きな困難に対して

双方が対価を払うという気持ちがなければ

友情を築くことは

本当に難しい。


しかし

そんな行動が見えた時には

感激して

泣いてしまうのだ。

『自分の財産』


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