曽野綾子　無礼

人の考えを

憶測したりするのは

無礼というものだ。

人の考えなど

分かるわけがないという前提を

理解することが必要だ。

人が話す言葉一つとっても

人がした行為一つとっても

そのすべてを理解することはできない。

人間の感情や思考は複雑であり

自分自身においても

瞬時に変化するものであるために

それらを

捉えて理解し表現することは

難しいことなのだ。

自分でさえも

そうであるのに

人の考えなどを憶測することなど

その人に対して

無礼であるという。

その理解することができないということを踏まえて

その絶望を前にして

人と関わることができた際には

その出会いに感謝することしかできない

ということだ。

つまり

人間は

基本的に

孤独なのだ。

しかし

それは哀しいことではない。

むしろ

一人ひとりを自立した存在として

尊重する姿勢を持つこととなる。

この一人ひとりを尊重することが

必要であり

重要なのだ。

『神さまそれをお望みですか』