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映画『コンテイジョン』に思う
(ネタばれあり)
今まさにその現実が起こっているという、めまいのするような映画。
「コンテイジョン」とは接触感染という意味らしい。
冒頭の女性が仕事先の香港から戻ってきたところから始まり、咳をしている。
食べていたナッツのアップ。
接触したものから感染するという意味のカメラワーク。
香港で若い男性が仕事から帰る。
ロンドンでの若い女性、持っていたファイルのアップ。その後ホテルで薬を飲もうとして死んでいた。
飛行機内で初めの女性と同じ会社のファイルを持っていた男性。その後、東京でその男性がバスの中で倒れる。
香港でも男性の視界が悪くなってふらついて事故となる。
高層住宅での感染が広がる。同居の女性も男性の遺骨を持ってバスで移動中に死ぬ。
その先の村が後から重要な場所となる。
東京の男性の倒れる動画を見たアメリカのブロガーが、その後社会を混乱させていく。恐ろしいことに現実としてある。
家に着いた女性は、その子どもと空港から送ってくれた同僚にも感染させていた。
その後、女性は痙攣を起こして救急で運ばれた後、死亡する。
その夫がその死を受けとめきれないうちに、自宅で子どもが死ぬ。
次々と感染していく。
感染しない人もいる。ここがコロナと似ている。だから感染を広げてしまう。
多くの事柄を時系列に並べて追い描写することで、寒気がするような緊迫感のあるものとなっている。
感染しそして脳炎になって死んでゆく。
感染の対応として専門家の女性を送るけれども、激務の中で感染してしまい地面に穴を掘り簡易的なビニールに包まれた状態で葬られる。
この痛ましい現状はすでに起こっている。
感染の頻度の調査によって、今後の感染が予測できる。
感染源を突き止めることで、今後の感染を防ぐことになる。
ウィルスを培養してワクチンを作ることで、感染を防ぐことができる。
多くの人が力を尽くしていく。
その中で社会を惑わして利益を得ようとするブロガーが現れる。
惑わされた人たちが治療薬とされたものに群がり、暴動を起こしていく。
陰謀説を信じていく。
しかしその中には真実もある。
生活が上手く回らなくなりゴミだらけ、物を奪い合うことも起こる。
昨年、なぜかトイレットペーパーが品薄となっていた。人間は結局同じようなものとなるということ。
命令に従わなかった研究機関の培養したウィルスを基に、多くの組み合わせからワクチンが57番目に成功する。
研究者が成功したワクチンを打ち、多くの人を診察して感染した自分の父親を見舞いに行く。
ワクチンの順番は、公平なのかビンゴゲームのようなくじで決まっていく。
その裏では、政府機関や医療研究機関の関係者たちとその家族は、優先的にワクチンを手に入れていた。おそらくそれは必要でもあり、そして問題でもあるということ。
中国の村で感染が広がっていたために、ワクチンを優先して得る目的でWHOの調査員を拉致して交渉し、交換条件としてワクチンを手に入れる。しかし、テロには屈しないという中国の方針で、そのワクチンは偽物だった。
拉致された後、村での生活になじんでいたWHO の女性は、解放された後の空港でワクチンが偽物であったことを知り、村に事実を伝えるために?走り出す。
感染源は、
初めの感染した女性が重役を務める会社の森林開発により、住処を追われたコウモリが民家にまできたこと、
その民家の豚小屋で、コウモリが落としたものを豚が食べて、
その豚が出荷され、
その豚を料理する際に、豚の口に触れ血に触れた料理人が、手を洗わないでエプロンでぬぐった後に
最初の女性と握手して写真を撮ったことから始まった。
監督は、
人間の行き過ぎた自然破壊と開発が巡り巡って、人間にその報いがかえってくると言いたかったのではないかと思う。
そして究極の状況においての人間の愚かさと、その中でも任務に尽くしてゆく研究者たちの誠実な使命を果たそうとする姿も。
何よりもこの監督が、今の私たちの現状を10年前に詳細に描いていたことに驚いている。
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