曽野綾子  「いいえ」

もし、

或る人が

「いいえ」

と言う勇気を持っていたら、

どんなにこの世は

生き易くなるのだろう。

「いいえ」ということを言うには

慣れがいるかもしれない。


「いいえ」を聞くことにも

慣れがいるかもしれない。


お互いが

「いいえ」を尊重することができるのなら

その関係は

心地良いものとなる。


「いいえ」が許されない関係は

異常なのだ。


そのことにやっと

世の中に

気がつく人が

多くなってきたように思う。


それがほんとうのあり方。


今までが異常だったのだ。


「いいえ」

と言うことは、

決して、

相手を拒否することでも、


意地悪をすることでもない。

自分の気持ちの表明。

「いいえ」


それは自分の意思だから。


いいも悪いもないのだ。


それは拒否でも

意地悪でもなく

自分の意思だから。


「いいえ」を

ちゃんと

言いましょう。


そして

人の「いいえ」を尊重しましょう。


すると平和。


『人々の中の私』

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