ポップスターの神聖化

【新連載】柳澤田実 ポップカルチャーと「聖なる価値」 第一回:孤独なポップスターの音楽に聖性は宿る|Real Sound|リアルサウンド ブック


Ye(カニエ)は双極性障害を公表し、ここ数年は反ユダヤ主義をはじめ、多くの人を傷つける差別発言をすることもあった。それでも彼を観るために、未だに大勢のオーディエンスがスタジアムに集まる。その中には野次馬も含まれているだろうが、孤独で内省的なアーティストの音楽を体験しに集まる者たちは、無意識的にであれ「宗教的」とも言える領域に踏み込んでいると私は思う。彼らは、例えばYeが、最愛の母を失い、音楽業界、ファッション業界、世論などに次々に戦いを挑み、深く傷ついていることを理解し、だからこそYeとその音楽を愛し、崇拝している。彼の問題行動は一部のオーディエンスを遠ざけたかもしれないが、逆にカリスマ性を強化したことは否定できない。

ポップスターの傷つきやすさ(Vulnerability)と供儀|Real Sound|リアルサウンド ブック


 上記の「彼らは、例えばYeが、最愛の母を失い、音楽業界、ファッション業界、世論などに次々に戦いを挑み、深く傷ついていることを理解し、だからこそYeとその音楽を愛し、崇拝している」って一文は、昨今日本でも似たような風景をよく見かけるようになった気がする。

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