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#7 あなた誰って体育館で言われて

先生らしき女の人が体育館内に立っていた。その先生は小柄だったが、髪は短く、強そうだけど、優しそうでもあり、立っているだけで、格好よかった。先生は私に気づいて、更衣室を案内してくれた。私は更衣室内に荷物を置いて、生徒が集まっている体育館に行った。皆が座っていたので私も適当に後ろの方で、身を潜めていた。

しかし、すぐ私の存在を皆が気づき始めた。その中でも、元気のよい背の高い男子生徒が大きい声で"Who are you?"と叫んできた。Who は誰。You はあなた。要するに、「お前誰だ」と問われているのだと、中学校の英語の授業で確かに習った知識を脳みそのどっかから引っ張り出してきてなんとなく理解出来た。私は、英語は好きだったが、いつも試験ではなかなか良い点数は取れなかった。良くて七十五点ぐらい。八十点を超えることはそうそうなかった。私は勉強が苦手だった。または、ただやる気がなく、まじめに勉強をせず、自堕落な生活を過ごしていたとも言える。

普段、このような単刀直入な質問を受けることがないため、私は私自身何者か、情けないが、考えなくてはならなかった。私は、えぇっと・・・、日本人、日本生まれ、女、長所は視力が良いことと、虫歯が無いこと。短所は数えきれないほどあるからここでは省略させて欲しい・・・と、こんな感じで、私は私自身が何者か説明したかったが、英語は苦手でして・・・。えっと、日本生まれって英語でどうやって言うんだっけ? 日本は確かジャパン、私はアイ。出身地って英語で何だっけ・・・?

 私に、「お前は誰だ?」と聞いてきたあの青年は、鋭い目つきで私の方を見て、すごい勢いで私の方に人差し指を差していた。彼があまりにも大きな声で私に問いかけるので、皆が私の方を見ている。私は緊張と英語不得意というこの二点の理由で何も言い返せなかった。私は体育座りで黙って、困った顔で彼を見つめた。


彼は私が何も言わないので、諦めて、周りにいた友人らしき人達と何か会話し始めた。彼らが遠くにいたので何を言っているか聞こえないが、(仮に近くにいて、話声が聞こえたとしても、会話の内容は理解出来ないだろうが)私は彼らをぼっと見つめた。私の心臓はバクバクしていた。


先生が来て、簡単な準備体操や腕立て伏せ、走り込みなどをした。何をしろと先生が言っているのか分からなかったから、ただ周りを見て、皆の動きの真似をした。今日はドッジボールをするみたいだった。二組に分かれて、ボールの当てあいが始まった。ボールが速かったので、私はひたすら逃げた。

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