何者でもないわたしの成長記録〜働きたくないわたしが副業をすることになるまで〜
「会社、辞めようと思ってます」
5月の終わり、上司にそう伝えた。
1ヶ月ほど前に、2つのチームが統合されて、新しく上司になったばかりの人。
上司になったといっても、今はもうほとんどリモートワークだし、WEBミーティングで顔を合わせる程度の関係性しかない。
そんな薄い繋がりの奴に、突然辞めると言われて、わたしが彼の立場だったらどうしただろうか。きっと「そっか、次の仕事は決まってるの?」まずはそう聞いただろう。
彼も同じだった。
それで、きっと辞める側はこう答える。
「決まってます」
これが普通。
だけど。
私は違った。
「決まってません」
「じゃあまた、どうして?」
「目標金額が貯まったので」
「何をするの?」
「フリーライターになりたいと思ってます」
「今、外に向けて書いてるものってあるんだっけ?」
「ありません」
「勝算はあるの?」
「ありません」
これには、上司も困った顔してた。
貯金があるといってもいくら貯まったのかわかったもんじゃない。何か動き出しているわけでもない。勝算もない。
こんな奴うまくいくわけないもんね。
わたしだってそう思う。
何考えてんだ。社会甘くみんな。って。
けど、なんか、今じゃないといけない気がしたんだよな。
わたしってイエスマンで優柔不断だから。
嫌だなと思う環境でも言い出せずに過ぎるのを待ってしまうし、何か新しいことに挑戦したいと思っても環境を変えるのが怖くてズルズルと続けてしまう。
だから、今、言えると思ったタイミングで言わないと。
とは言ったものの。
結局、辞めれなかった。
「もう少しこの会社で経験積んでからにしたら?」
「やりたい仕事を渡すようにする」
「副業っていう選択肢もあるよ」
そう言われて、もう辞める理由が見当たらなくなった。
あいつが嫌い、とか、もう正直働きたくない、とか、評価下がるの怖い、とか。
もちろん辞めたい理由なんて本音のところでは色々あった。だけど、そんなの言えるわけない。最後の最後になってもなお、わたしは嫌われるのが怖いから。いつだって無難な理由を並べてしまう。
何日か経って
「〇〇さんが副業でライターの仕事をやってるらしくて、仕事も紹介できるらしいよ」
そう、上司から連絡がきた。
わざわざ聞いてくれたんだ
というありがたさと、
ああ、これでまた辞める理由がひとつ消えた
という絶望が同時にガーンと押し寄せた。
ぼんやりする頭の中、そういえばこの間
「自分探しの旅の終着点は『自分は何者でもない』ことを知ること」
と書かれた記事を見たな、なんて関係のないことが浮かんだ。
じゃあわたしには、自分探しの旅は必要ないってことだ。
26年間生きてきて、ただ、生活している中で、自分は何者でもないことを幾度となく痛感してきた。何者でもない自分をいちばん近くで見てきた。
自分探しもできないわたし。
会社すら辞めれないわたし。
何者にもなれないわたし。
とりあえず、副業をはじめることになった。
いつか、会社を辞められるその日まで。
自分探しの旅に出られるその日まで。
そんな小さな成長記録。
どうか見守ってもらえないだろうか。
その日が決まったら、一緒にカウントダウンをしてもらえないだろうか。
また、わたしが流されないように。
流されて戻ってこないように、背中を押して。
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